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トランプ大統領の一般教書演説に敏感な米株のセクターとは?

by • February 6, 2019 • Latest News, NY TipsComments Off3321

Those Sectors Could Be Affected By The Trump’s State Of The Union.

トランプ大統領の一般教書演説は、皆様にとって想定の範囲内だったでしょうか?

予想通りだったとしても、やはりこのセクターに打撃を与えたに違いありません。はい、ヘルスケア関連です。特に製薬会社や保険会社、薬剤給付管理(PBM)を運営するドラッグストアなど、トランプ大統領が超党派の取り組みとして薬価引き下げを呼びかけただけに、頭痛薬が欲しいのでは?

既に超党派での協力関係は構築され、2月26日には薬価の価格設定をめぐり米上院財政委員会で公聴会が開催されます。公聴会ではファイザーをはじめメルク、ジョンソン・アンド・ジョンソン、アストラゼネカ、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ、サノフィ、アッヴィーの幹部が証言する予定。ここでは公聴会に出席を求められていないものの、PBMであるCVSヘルスのほか、保険会社ユナイテッドヘルスなどにも影響が及ぶ公算大です。

逆に上昇が期待されたセクターはインフラ関連でした・・・が、トランプ大統領の一般教書演説では具体的な内容に乏しく、単に補修・修繕以外に最新技術の分野への投資が必要と言及された程度。これでは、実現性が乏しいと判断されてもおかしくありません。

インフラ投資は、一般教書演説での両党の拍手喝采を得た数少ないトピックのひとつです。もっとも、財源が問題。トランプ氏陣営が2016年の米大統領選前に描いた青写真ではビルド・アメリカ債を連想させるアイデアに加え、商務長官並びに通商製造業政策局局長に就任する前のロス氏とナバロ氏の案として民間企業に1,370億ドルの税控除を与えインフラ事業を担ってもらう計画が存在しました。ところが、今回の一般教書演説でトランプ大統領は一言も触れず。民主党陣営はこちらでご紹介したように税制改革法に盛り込んだ法人税減税引き下げを逆行させる案を検討しているだけに、トランプ大統領や共和党が呑み込む可能性は非常に低い。トランプ氏、既に減税巻き戻しには断固反対する意思を明確にしていますからね。インフラ投資の財源をめぐり、落とし所を探る闘いの火蓋がまもなく切って落とされるのでしょうが、乗り越えるべき障害は高く険しい。オロビル・ダムの放水路損傷など米国のインフラが深刻な老朽化が進むなかでも、マービン・ゲイの名曲”Ain’t No Mountain High Enough”といった具合にはいきそうにありません。

米国土木学会(ASCE)、米国のインフラ環境に対し2013年に続き2017年も「D+」判定。
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(出所:ASCE

そうなると、トランプ大統領が一般教書演説でシリアやアフガニスタンからの駐留塀分削減・撤退へ意思表明したとはいえ、カウンター・テロリズムに集中する意欲を強調しただけに、防衛関連が手堅いとも考えられます。2018年12月22から開始した政府機関の閉鎖では、雇用統計をリリースする米労働省のほか、国防総省が対象外でした。2018年9月時点で予算が成立していたためです。一般教書演説でも米軍への称賛を惜しむことのなかったトランプ大統領ですから、ボーイングのエアフォースワンをめぐり迫ったように値下げ交渉を強要すれども国防費を拡大させる方向に変わらないでしょう。

(カバー写真:Matthew Thompson/Flickr)

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