Lower Rates Push Existing Home Sales To 3-Month High.
全米リアルター協会(NAR)が発表した米5月中古住宅販売件数は年率534万件と、市場予想の530万件を超えた。前月の521万件(514万件から上方修正)を2.4%上回り、3ヵ月ぶりの水準を回復している。住宅市場の書入れ時を迎え、金利低下が追い風となり販売件数を押し上げたようだ。前月比では持ち直したものの、前年比では1.1%減と15ヵ月連続でマイナスだった。
内訳をみると、一戸建てが475万件と前月の463万件(修正値)を2.6%上回り、ヘッドラインと同じく3ヵ月ぶりの水準を回復した。複合住宅は1.7%増の59万件と2ヵ月連続で増加した結果、7ヵ月ぶりの高水準だった。
中古住宅販売件数、一戸建てと複合そろって増加し複合は7ヵ月ぶりの高水準。
4大地域別では、全て増加し前月の2地域を上回った。複合住宅の比率が高い北東部が4.7%増(4ヵ月ぶりに増加)の67万件だったほか、中西部は3.4%増(2ヵ月連続で増加)の122万件だった。また、住宅市場規模が最大の南部が1.8%増(4ヵ月ぶりに増加)の232万件、IT企業が集まり住宅価格の高騰が著しい西部も1.8%増(2ヵ月連続で増加)の113万件だった。
在庫件数は前月比4.9%増の192万件と2ヵ月連続で増加し、2018年7月以来の高水準となった。前年比では2.7%増と10ヵ月連続でプラスとなる。なお、在庫件数は2016年12月に165万件と1999年以来での最低を更新していたが、以降は回復基調に入っている。販売が減少し在庫が増加した結果、在庫相当は前月の4.3ヵ月と、2018年9月以来の長さに延びた。
中央価格は前月比4.0%上昇の27.77万ドルと、4ヵ月連続で上昇し過去最高を更新した。前年比では4.8%上昇、2012年3月以降続くプラス基調を保った。前年比で平均時給の上昇ペースを上回るペースを維持した。販売日数は26日と、前月の24日を下回りつつ前年同月に並んだ。NARは、販売件数の53%が1ヵ月以内に買い手がついたと説明した。
買い手の内訳は、以下の通り。
・不良債権物件(差し押さえ物件と、ショートセールつまり担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅)2%<前月は3%、前年同月は3%
・新規購入者32%=前月は32%、前年同月は31%
・現金購入者19%<前月は20%、前年同月は21%
・住居用ではなく投資向け13%<前月は16%、前年同期は15%
発表元のNARのローレンス・ユン米エコノミストは、結果を受け「金利低下により世帯の購買力を高め、買い手が良好な環境を活用すべく動き始めた」と評価した。ただ、引き続き「在庫ひっ迫と底堅い需要を支えに、住宅価格は過去最高を更新した」と指摘。割高感が続いており、在庫ひっ迫の解消が必要との認識を明らかにした。
――MBA住宅ローン申請件数の購入指数と米30年物住宅ローン固定金利を比較すると、足元の金利低下で購入指数が上昇していることが一目瞭然です。
問題は値ごろ感ですが、こちらでご紹介した通り、依然よりは緩和しつつあります。住宅市場の改善につき足場が固まるかは、引き続きFedの政策かじ取りと米中通商協議の行方に掛かっていることでしょう。
(カバー写真:Mr.TinDC/Flickr)
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