NFIB Small Business Optimism Declines As Trade Friction With China Intensified.
米6月NFIB中小企業楽観度指数は103.3となり、市場予想の103.1を上回った。前月の105.0には届かず、5ヵ月ぶりに前月以下となる。米中通商協議が物別れに終わった5月は、トランプ政権による約3,000億ドル相当の追加関税措置の検討開始に加え、ファーウェイの禁輸措置導入両国間で緊張が高まった。6月29日開催の米中首脳会談で最悪の事態は回避したものの、不透明な部分が多くセンチメントを押し下げたとみられる。なお、過去最高は2018年8月の108.8。同指数は、米連邦準備制度理事会(FRB)が公表する労働市場情勢指数(LMCI)に含まれる。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のジュアニタ・ドゥガン最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「中小企業主は設備投資だけでなく業績見通しを引き下げ、見通しも後退させた」と振り返った。背景に「人手不足に加え、州レベルでの規制」を指摘。前月に続き、6月ベージュブックや米5月ISM製造業景況指数と一線を画し、通商政策や追加関税措置をめぐる不確実性については言及しなかった。ただ、別のコメントでは追加関税措置の影響により、仕入れ価格に上昇圧力が加わっていると付け加えた。
内訳をみると、13項目中プラス圏にのせた項目はこれまでの流れを受け継ぎ10項目だった。そのうち、プラス圏のうち前月を上回ったのは2項目で「販売価格の引き上げ」と、「在庫の積み増し」が該当した。マイナス項目は、これまでの3項目から2項目へ減少。「在庫満足度」がマイナス圏を脱しゼロとなった。以下は、項目ごとの変化。
「求人件数」36%<前月は38%、6ヵ月平均は37%
「賃金引き上げ」28%<前月は34%、6ヵ月平均は33%
「設備投資を拡大した」26%<前月は30%、6ヵ月平均は27%
「事業拡大に良いタイミング」24%<前月は30%、6ヵ月平均は24%
「賃上げ見通し」21%<前月は24%、6ヵ月平均は21%
「採用見通し」19%<前月は21%、6ヵ月平均は19%
「売上拡大見通し」17%<前月は23%、6ヵ月平均は19%
「販売価格の引き上げ」17%>前月は10%、6ヵ月平均は13%
「経済がより良くなる」16%=前月は16%、6ヵ月平均は12%
「在庫を増加させる」3%>前月は2%、6ヵ月平均は1%
「在庫満足度」0%>前月は−4%、6ヵ月平均は−3%
「信用状況が緩和」−3%>前月は−5%、6ヵ月平均は−5%
「黒字トレンドにある」−7%>前月は−1%、6ヵ月平均は−6%
――GDPの6割を担うとされる中小企業のセンチメント、ISMと足並みをそろえ低下。
中小企業のセンチメントは、追加関税措置と世界経済減速の逆風受け、再び鈍化の兆しが見えてきました。ただ、利下げを示唆するFedをはじめ主要国の金融政策は緩和寄りへシフト中。豪やインドなど一部では利下げを開始済みで、金融市場の追い風が悪材料を吹き飛ばせるか見極めが必要です。
(カバー写真:Maryland GovPics/Flickr)
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