Housing Starts Decline Again, Construction Permits Hit 2-Year Low.
米6月住宅着工件数と米7月NAHB住宅市場指数をおさらいしていきます。
米6月住宅着工件数は年率125.3万件と、市場予想の126万件に届かなかった。前月の126.5万件(126.9万件から下方修正)を0.9%下回り、4ヵ月ぶりの低水準となる。前年比では0.9%減と、5月を除く減少トレンドを維持した。
内訳をみると、一戸建てが前月比3.5%増の84.7万件と過去4ヵ月間で3回目の増加となった。一方で、複合住宅は2018年1月以来の高水準だった前月から9.2%減の40.6万件、5ヵ月ぶりに減少した。前年比は一戸建てが0.8%減と、5ヵ月連続で減少。複合住宅は24.5%増と、3ヵ月連続で増加した。4大地域別では、2地域で増加し前月と変わらず。北東部が前月の反動で2桁増だったほか、中西部も前月から増加しただけでなく2桁増となった。一方で、西部は2ヵ月連続で減少、最も住宅市場規模の大きな南部は前月から減少に転じた。
米6月建設許可件数は122.0万件となり、市場予想の130万件から大きく後退した。前月の129.9万件(124.9万件から下方修正)を6.1%下回り、2017年5月以来の低水準。2018年10月は131.6万件と2007年8月以来で最高だったが、同水準から大きく後退した。内訳をみると、一戸建てが0.4%増の51.9万件と2ヵ月連続で増加した一方、複合住宅は16.8%減の40.7万件と直近で最低となった。
米6月建設中件数は0.5%増の113.5万件と、前月の112.9万件を上回った。とはいえ、2007年12月以来の高水準となった116.3万件以下が続く。一戸建てが0.6%減の51.9万件と5ヵ月連続で減少した一方で、複合住宅が1.5%増の61.6万件と2ヵ月連続で増加した。
住宅着工、リセッション前の水準には遠い。
――住宅着工件数の一戸建てのうち75%が住宅市場に流入すると試算されるため、63.5万件が販売向けとなる見通しです。足元の新築販売件数を小幅ながら上回るため、在庫逼迫の解消に時間が掛かる公算が大きい。建設許可件数が約2年ぶりの水準に落ち込んだことも気掛かりな上、建設設中件数も増加ペースが緩やかな状況で、住宅在庫の状況が改善する日は近くなさそうです。
▽米7月NAHB住宅市場指数、米中首脳会談後に小幅改善
米7月NAHB住宅市場指数は65となり、市場予想と前月の64を上回った。金利低下と米中首脳会談での通商協議再開に伴い、第4弾の追加関税措置が見送られセンチメントが小幅に改善している。内訳をみると、一戸建て現況指数は72と前月の71を超え5月の水準へ戻したほか、一戸建て見通し指数も71と前月の70から上昇。客足の動向を表す見込み客指数は48と前月の47を超えつつ、9ヵ月連続で分岐点の50以下となった。
NAHB住宅市場指数、金利低下も建設労働者と用地の不足を背景に伸び悩み。
地域別では、2地域で上昇し前月の1地域を上回った。特に西武が75と前月の69から急伸、少なくとも1年ぶりの高水準をつけ全体を押し上げた。その他、南部が2ヵ月連続で68を経て69へ上昇している。一方で、中西部が54と4ヵ月ぶりの水準へ下振れし、北東部も57と3ヵ月ぶりのレベルへ低下した。
発表元である全米ホームビルダー協会(NAHB)のグレッグ・ウガルデ会長は、結果を受け「一戸建ての需要は堅調だが、手頃な住宅を建設する上で建設業界は人手不足と用地不足などの困難に直面している」と振り返った。ロバート・ディエス首席エコノミストは「建設業者は価格を抑制しようと努力するものの、住宅価格の上昇率は賃金の伸びを上回る」と指摘。金利が低下したものの「値ごろ感に乏しく、様子見姿勢を貫く潜在顧客が多い」と結んだ。
――NAHB住宅市場指数は小幅改善したほか、建設資材コストは引き続き前年比で落ち着いています。
(作成:My Big Apple NY)
ただし人手不足は、トランプ政権の移民流入抑制強化策もあって簡単に解消されない見通し。値ごろ感で一部緩和がみられたのも束の間、住宅市場の試練は続きます。
(カバー写真:Laura Taylor/Flickr)
Comments
アメリカ人がマイホームに食指を動かさないのは・・ Next Post:
米6月鉱工業生産は公益が弱く予想以下も、自動車など製造業が下支え