36405131212_7d8f7cdda2_z (1)

米4~6月期実質GDP成長率・改定値は下方修正、個人消費以外が鈍化

by • August 30, 2019 • Finance, Latest NewsComments Off2411

U.S. Second Quarter GDP Growth Revised Down, Everything Except Consumer Spending Slowed.

米4~6月期の実質国内総生産(GDP)成長率・改定値は、前期比年率2.0%増と市場予想と一致した。速報値の2.1%増から下方修正されている。前期の3.1%増から鈍化したとはいえ、潜在成長率の水準を保った。前年同期比は2.3%増と前期の2.7%増を下回り、2017年4〜6月期以来の低水準だった。

GDPの7割を占める個人消費は前期比年率4.7%増と、市場予想並びに速報値の4.3%増を上回った。GDPへの寄与度は3.10%ポイントと、速報値の2.85%と前期の0.78%ポイントを超え、2017年10~12月期以来の高水準だった。

▽個人消費の内訳

・耐久財 13.0%増、2014年4~6月期以来で最大>速報値は12.9%増、前期は0.3%増
・非耐久財 6.8%増、2003年7~9月期以来で最大>速報値は6.0%増、前期は2.2%増
・サービス 2.8%増、3期ぶりの高い伸び>速報値は2.5%増、前期は1.0%増

民間投資全体の寄与度はマイナス1.11%ポイントと、速報値のマイナス1.0%ポイントから下方修正された。1年ぶりのマイナスで、落ち込みは2015年10~12月期以来で最大となる。足を引っ張ったのは在庫投資で、寄与度はマイナス0.96%ポイント速報値のマイナス0.86%ポイントより弱く2014年1~3月期以来で最大だった。住宅投資は、マイナス幅基調をたどる。企業の設備投資を示す非住宅固定投資もマイナス0.11%ポイントと、速報値のマイナス0.1%ポイントから下方修正された。構築物投資が速報値から下げ幅を縮小し機器投資は速報値と変わらなかったが、無形資産の下方修正が響いた。

▽民間投資の内訳

・民間投資 6.1%減、1年ぶりの減少で2015年10~12月期以来で最大の落ち込み<速報値は5.5%減、前期は6.2%増
・固定資本形成 1.1%減、2015年10~12月期以来の減少<速報値は0.8%減、前期は3.2%増
・非住宅固定投資(企業の設備投資) 0.6%減、2016年1~3月期以来の減少=速報値は0.6%減、前期は4.4%増
>構築物投資 9.4%減、2016年1~3月期以来で最大の落ち込み>速報値は10.6%減、前期は0.4%増
>機器投資 0.7%増=速報値は0.7%増、前期は0.1%減と3年ぶりのマイナス
>無形資産 3.7%増<速報値は4.7%増、前期は10.8%増と1年ぶりの高水準

・住宅投資 2.9%減、5期連続で減少<速報値は1.5%減、前期は1.0%減
・在庫投資 690億ドル<速報値は717億ドル増、前期は1,160億ドル

4~6月期の成長率・速報値、個人消費が企業部門や純輸出などの弱さを相殺。

gdpq2
(作成:My Big Apple NY)

国内の最終需要(変動が大きい貿易と在庫を除く)は前期比年率3.6%増と、前期の1.8%増を上回り1年ぶりの高水準だった。国内総所得は2.1%増と、逆に前期の3.1%増を下回った。

gdp2
(作成:My Big Apple NY)

純輸出の寄与度は、0.72%ポイントと速報値の0.7%ポイントのマイナスとなり前期を除いて3期目のマイナスとなる。政府支出の寄与度は0.77%ポイントと、速報値の0.9%ポイントに届かなかった。

▽純輸出

・純輸出の寄与度 0.72%ポイント<速報値は0.7%ポイントのマイナス、前期は0.5%ポイント

▽政府支出

・政府支出 4.5%増、2期連続で増加<速報値は5.0%増>前期は2.9%増
・連邦政府 8.1%増(防衛支出が3.1%増、非防衛財は16.0%増)>速報値は7.9%増、前期は2.2%増
・州/地方政府 2.3%増<速報値は3.2%増、前期は3.3%増と2016年1~3月期以来の高水準

GDP価格指数は2.4%上昇し、市場予想と速報値と一致した。前期の0.9%も超えている。コアPCEデフレーターは1.7%の上昇にとどまり、市場予想と改定値の1.8%以下に。FOMCのインフレ目標値「2%」以下を続けインフレ鈍化の状況を確認した。

企業利益は、税引き前・在庫評価・資本減耗調整を除くベースで前期比5.3%増だった。3期ぶりに増益に転じ、2014年4~6月期以来の高い伸びとなる。前年比では2.7%増と、前期の2.2%減を相殺した。税引き後ベースは4.8%増と、5期ぶりの高水準となる。前年比は1.7%増と、こちらも前期の2.0%減から転じた。

gdp_cp
(作成:My Big Apple NY)

――米4~6月期実質GDP成長率・改定値は個人消費が大幅に上方修正されたものの、設備投資をはじめ企業部門、住宅投資、純輸出、政府支出が下方修正され、速報値から小幅に引き下げられました。一方で、企業利益は増益に転じております。ただ、企業が設備投資や在庫投資を鈍化させた結果、企業利益を確保した感も否めず。米中貿易戦争や世界経済の減速が下押しすれば、いずれ個人消費や労働市場に跳ね返ってくる可能性もあり、今回の結果はFedに「保険的な利下げ」の根拠を与えたと言えなくもありません。

(カバー写真:photoheuristic.info/Flickr)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.