ADP Private Payrolls Soar, While Hiring Plans Disappoint In January.
1月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定をおさらいしていきます。
米1月ADP全国雇用者数は前月比29.1万人増となり、市場予想の15.7万人増を上回った。前月の19.9万人増(20.2万人増から下方修正)を超え、2015年5月以来の高水準となる。平年を上回る気温が、娯楽・宿泊や建設などの雇用を押し上げた。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、今回はサービスと財とも増加。
セクター別では、サービス部門が23.7万人増と前月の17.8万人増(修正値)を上回った。内訳をみると、雇用をけん引してきたセクターである教育・健康(前月4.9万人増→7.0万人増)のほか、娯楽・宿泊(同0.9万人増→9.6万人増)が大きく伸び全体に寄与。専門サービス(同4.1万人増→4.9万人増)も支えた。情報(同0.5万人減→0.2万人増)は増加に反転。一方で、貿易・輸送(同6.8万人増→0.8万人減)、金融(同0.8万人増→0.2万人増)は鈍化した。
財部門(製造業、建設、鉱業)は5.4万人増と、前月の2.1万人増(修正値)を上回り2ヵ月連続で増加した。内訳をみると、好天に恵まれ、建設(前月3.5万人増→4.7万人増)と増加基調を維持したほか、製造業(同1.0万人減→1.0万人増)と増加に転じた。ただし原油先物が下落に転じるなか、鉱業(0.4万人減→0.1万人減)が12ヵ月連続で減少した。
ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受け「平年より温暖な気温が雇用を押し上げた」と説明した。業種では「娯楽・宿泊、建設で顕著となっている」と指摘。もっとも「天候要因を除けば12.5万人増と試算され、失業率が低位安定する水準と合致する」と結び、ゴルディロックス経済が継続するとの考えを示唆した。
――今回、暖冬を受けて大幅な雇用増を確認しました。とはいえ、前月に大きく外した事情もあり、額面通り受け止められないのがつらいところ。2016年以降のADP全国雇用者数と米雇用統計・民間就労者の誤差をみると、平均6.0万人で、ADPが上振れる傾向にあります。果たして、今回は面目躍如となるのでしょうか。
▽米1月チャレンジャー人員削減数は増加、年初来の採用予定数は過去最高
米1月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比27.8%増の67,735人と5ヵ月ぶりに増加した。11ヵ月ぶりの高水準となる。前月比2倍となり、こちらも増加に転じている。
なお2019年の人員削減予定数は前年比10.0%増の592,556人だった。
発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのアドリュー・チャレンジャー副社長は、結果を受け「テクノロジー企業の人員削減が押し上げてり、前月から10倍以上に増えた」と説明した。こうした変化につき、チャレンジャー氏は「サービスの転換に合わせ、管理職の人員を削減し官僚的なカラーを排除しているため」と分析する。そのほか、再編を余儀なくされている業種として「イノベーションが加速する自動車と小売で顕著」と指摘した。
人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。
1位 テクノロジー 13,869人(全体の20.4%)
2位 小売 10,444人(全体の15.4%)
3位 産業財 6,098人(全体の9.0%)
4位 ヘルスケア 5,610人(全体の8.3%)
5位 自動車 5,437人(全体の8.0%)
州別動向は、以下の通り。2019年は人口が多いカリフォルニア州、ニューヨーク州、マサチューセッツ州、テキサス州、イリノイ州が入っていた。
1位 オハイオ州 11,357人(全体の16.8%)
2位 イリノイ州 7,157人(全体の10.6%)
3位 カリフォルニア州 6,751人(全体の10.0%)
4位 ニューヨーク州 4,811人(全体の7.1%)
5位 カンザス州 3,398人(全体の5.0%)
リストラ実施の理由別ランキングは以下の通り。2019年は主に再編、閉鎖、コスト削減、契約喪失が上位に入った。
1位 再編 22,424人(全体の33.1%)
2位 閉鎖 18,943人(全体の28.0%)
3位 理由なし 5,407人(全体の8.0%)
4位 コスト削減 3,900人(全体の5.8%)
5位 契約喪失 3,852人(全体の5.7%)
採用予定数は、前年同月比68.6%減の23,229人だった。2016年以来の低水準となる。
1位 小売 8,000人(全体の34.4%)
2位 テクノロジー 2,800人(全体の12.1%)
3位 航空 2,275人(全体の9.8%)
4位 ヘルスケア 2,000人(全体の8.6%)
4位 輸送 2,000人(全体の8.6%)
――今回、人員削減数は減少したものの、採用予定数が大幅鈍化しました。ADPと反する結果になったことを踏まえると、ADP通り上振れしたとしても、今後は10万~15万人のレンジに収れんする可能性を残します。
(カバー写真:COD Newsroom/Flickr)
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