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米6月小売売上高、2ヵ月連続で増加も喜べない理由

by • July 16, 2020 • Finance, Latest NewsComments Off3266

Retail Sales Grows 2-Month In A Row, But You Can’t Be Too Optimistic About Personal Spending.

米6月小売売上高は前月比7.5%増と、市場予想の5.0%増を上回った。過去最高だった前月の18.2%増(17.7%増から上方修正)を含め、2ヵ月連続で増加。経済活動の再開に伴い、回復を続けた。NY市でブロードウェイのチケット販売が2021年1月3日まで延期されるなど、ミュージカルやコンサートなど屋内の娯楽が引き続き制限されるなかで、有形の支出余地が広がったとみられる。ただし、6月26日のテキサス州とフロリダ州を皮切りに、足元で少なくとも23州が経済活動再開の一時停止や規制の再導入に踏み切っており、今後の行方には不確実性が残る。

自動車とガソリンを除いた場合は6.7%増と、市場予想の4.2%増を上回った。過去最大の伸びだった前月の12.1%増(12.4%増から下方修正)に続き、増加している。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も5.6%増と、市場予想の3.6%増を上回った。過去最大の伸びを記録した前月の10.1%増(11.0%増から下方修正)を含め、2ヵ月連続で増加した。

小売売上高は前年比で1.1%増となり、4ヵ月ぶりに増加に転じた。

チャート:小売売上高、5月と合わせ25.7%増となり過去3ヵ月間の減少(23.4%減)を相殺

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(作成:My Big Apple NY)

前月比の内訳をみると、主要13カテゴリー中10種で増加し、前月の全業種には届かなかった。前月に続き、ロックダウン中に春を飛び越え夏を迎えた事情もあり、服飾が2ヵ月連続で大幅増加したほか、家具やスポーツ/趣味/スポーツなども、前月に続き売上高を牽引した。電気製品に至っては、過去最大の伸びを更新している。一方で、巣ごもり需要を受けて好調だった食料・飲料や無店舗が減少したほか、建築・庭園もマイナスに転じた。前月比の項目別詳細は以下の通り。

(プラス項目)

・服飾→105.1%増、2ヵ月連続で増加<前月は176.7%増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は26.2%増
・電気製品→37.4%増、2ヵ月連続で増加し過去最大の伸び>前月は36.5%増、6ヵ月平均は2.1%増
・家具→32.5%増、2ヵ月連続で増加<前月は79.1%増、6ヵ月平均は7.4%増

・スポーツ用品/書籍/趣味→26.5%増<前月は78.0%増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は9.0%増
・外食→20.0%増、2ヵ月連続で増加<前月は31.5%増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は2.0%減
・雑貨→17.7%増、2ヵ月連続で増加し過去最大の伸び>前月は16.4%増、6ヵ月平均は0.4%減

・ガソリンスタンド→15.3%増、2ヵ月連続で増加し過去最大の伸び>前月は11.9%増、6ヵ月平均は2.9%減
・自動車/部品→8.2%増、2ヵ月連続で増加<前月は48.7%増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は3.2%増
・ヘルスケア→3.5%増、2ヵ月連続で増加>前月は1.5%増、6ヵ月平均は0.6%減
・一般小売→2.7%増、2ヵ月連続で増加<前月は5.9%増、6ヵ月平均は0.6%増
(百貨店は19.8%増、2ヵ月連続で増加<前月は36.2%増と過去最大の伸び、6ヵ月平均は1.0%増)

(マイナス項目)

・建築材/園芸→0.3%減<前月は12.2%増と4ヵ月ぶりに増加、6ヵ月平均は2.0%増
・食品/飲料→1.2%減<前月は2.2%増、6ヵ月平均は2.4%増
・無店舗(主にネット)→2.4%減、6ヵ月ぶりに減少<前月は7.2%増、6ヵ月平均は3.5%増

――米6月小売売上高は、経済活動の再開に合わせ前月に続き改善をたどりました。しかしながら、コロナ禍直前の2月比でみると、13業種のうち6種しか2月の水準を上回っていません。小売売上高全体でも、0.5%減とわずかながらマイナスです。

チャート:2月比での13業種動向、6種が2月の水準を超えるも外食を含め7業種は引き続きマイナス

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(作成:My Big Apple NY)

特に服飾は2ヵ月連続で前月比100%オーバーの伸びを示すも、2月比では22.8%減なんですよね。さらに外食はというと27.4%減と、激しく落ち込んだままです。服飾はオンライン化と在宅勤務への移行が影響し、今後も苦戦が強いられることでしょう。何より外食は、経済活動再開の一時停止や規制再導入のターゲットであり、閉店が相次いでもおかしくありません。2月当時の雇用統計・非農業部門就労者数で外食を含む娯楽・宿泊の雇用は約1割を担い、5~6月の雇用統計の回復の大部分を占めていただけに、米経済の回復の足取りを引っ張ること必至でしょう。

(カバー写真:Andreas Komodromos/Flickr)

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