This Region Keeps On Adding U.S. Treasuries While Trump Administration Increases Pressure.
6月対米証券投資は、679億ドルの売り越しだった。前月の159億ドルの売り越しに続き、2ヵ月連続で流出した。
〇海外投資家の詳細は、以下の通り。
・民間 919億ドルの買い越し、2ヵ月連続で流入
→社債以外、全て買い越し（米国債と政府機関債は3カ月ぶり、株式は3カ月連続）
・海外中銀を含む公的機関 130億ドルの売り越し、流出に反転
→売り越しの大半は米国債、株式も流出、政府機関債と社債は少なくとも4カ月連続で買い越し
〇海外投資家の米国債投資
民間と海外中銀を含む公的機関は合わせて288.9億ドルの買い越しとなり、前月の366.9億ドルの売り越しから転じ4カ月ぶりに流入した。なお、3月は過去最大の流出を記録し3,107.9億ドル、4月は1,876億ドルの売り越しとなった。海外全体の保有高をみると、7兆300億ドルと統計開始以来で2回目の７兆ドル台に乗せた。
・民間 918.5億ドルの買い越し、前月の254.8億ドルと合わせ2ヵ月連続で流入
・海外中銀を含む公的機関 206.3億ドルの売り越し、前月の100.0億ドルの買い越しから反転
〇米国債以外では、民間と海外中銀を含む公的機関合わせて以下の通り。
・政府機関債→380.2億ドルの買い越し、前月の24.3億ドル含め2017年4月以降続く流入基調を維持
・社債→166.0億ドルの売り越し、4カ月ぶりの流出
・株式→285.2億ドルの買い越し、過去最大の流入を記録した5月の797億ドルを含め2カ月連続で流入
〇6月の金融市場動向
外出禁止措置を緩和した州で第2波が直撃しテキサス州とフロリダ州を皮切りに経済活動再開の一時停止に踏み切り、リスク選好度が低下した。ダウは25,000ドルを割り込む展開となったほか、米10年債利回りは米5月雇用統計の好結果を受け一時は約3カ月ぶりに0.8％台に上昇したものの、米連邦公開市場委員会（FOMC）で回復の道筋が遠いと示されたこともあり、0.6％台へ押し返された。油価は戻りを試し、約3カ月半ぶりに40ドル台を回復した。なお、米国人の海外証券投資は342億ドルの買い越し、米国外への流出基調を保った。
〇国別での米国債保有高トップ5動向
4月の流れに続きブラジルの代わりにルクセンブルクがランクインした状態が続いた。1位は日本で変わらず、2019年6月対米証券投資で2017年5月以来初めて中国を抜いてからトップを保つ。
チャート：トップ5の米国債保有高の推移。
（作成：My Big Apple NY）
〇上位15ヵ国における米国債保有高ランキングの変化
6月は多少の変化がみられた。注目は香港で、今回ランキングを一つ上げた。ドル・ペッグ制を敷く香港は人権問題を背景にトランプ政権から圧力を受けるなかでも、米国債を積み増し中で、6月は前年比で22.6％増と少なくとも上位15ヵ国の間で積み増し幅3位だった。その香港に対し、7月にトランプ政権の強硬派が国家安全法の導入方針を受け、トランプ政権の強硬派が7月初めにドル・ペッグ制の弱体化を検討、結果的に断念したが、７月に影響が現れるか注目である。上位15ヵ国における米国債保有高ランキングの変化は、以下の通り。
・6位に香港が浮上、代わりにブラジルが7位に転落
・9位にケイマン諸島が浮上、代わりにベルギーが10位に転落
・サウジアラビアが16位に転落、代わりにカナダが15位に浮上
※ブラジルとサウジアラビアが米国債保有高を取り崩す理由は、こちらをご参照
チャート：米国債保有高上位15ヵ国・地域の動向
（作成：My Big Apple NY）
〇米財務省が公表する主要保有国リスト
主要保有国リスト（米国債保有高300億ドル以上）入りした国は、前月に続き33ヵ国・地域となった。2019年11月当時の35ヵ国を下回りつつ、4月に入っていなかったベトナムが5月に続き300億ドル以上の米国債保有高を維持していた。なおベトナムはトランプ政権と接近中であり、2月にトランプ氏が訪問したインドと同じく、米国債を積み増す国のひとつ。ベトナムの6月米国債保有高は、前年比22.1％増の303億ドルだった。
（カバー写真：Jamal Afzal/Flickr）
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