Black Friday Online Sales See A Dip For The First Time.
今年の感謝祭明けのブラックフライデーは、オミクロンの確認を受け世界同時株安が進むと同時に、年末商戦も失望を誘う結果となってしまいました。
その前に、全米小売業協会(NRF)の予想を振り返ってみると、2021年の年末商戦売上高を前年比8.5~10.5%増の8,434億~8,590億ドルと予想。金額、増加率で過去最大となる見通しを示していました。
チャート:年末商戦の売上高見通し
ネットの年末商戦売上高につき、前年比11~15%増の2,183億~2,262億ドルと予想。ネットの年末商戦売上高のシェアは、20年に過去最高をつけた26%付近となるか注目されていました。
チャート:ネット売上高のシェア、前年通り過去最高近くか
(作成:My Big Apple NY)
今年の年末商戦では、Buy Now Pay Later(BNPL)=ツケ払いサービスの押し上げ効果も期待されています。コロナ禍で普及したBNPLは、コーナーストーンアドバイザースによれば、2021年には、前年比3倍増の994億ドルに拡大する見通し。ツケ払いサービスの利用者は全米人口の3分の1近くを占める若い世代に多く、 2021年にジェネレーションZ世代(18~23歳)の36%、ミレニアル世代(24~40歳)の41%が利用する見通しとなっている点も特徴となっています。
チャート:BNPL売上高、2021年に3倍増と大胆な予想に
(作成:My Big Apple NY)
楽観的な見通しと裏腹に、前述の通りブラックフライデーの売上高は芳しくありませんでした。
アドビ・アナリティクスによれば、前年比1.2%減の89億ドルと過去最高だった前年の同21.6%増の90億ドルに届かず。統計開始以来、初の減少を迎えました。アドビ・デジタル・インサイトのビベク・パンデヤ氏は、結果を受け「米国人は今年、年末商戦開始前に手頃な値段で買い物するなど、戦略的な手段に打って出た」と振り返ります。感謝祭のネット売上高は、前年比横ばいの51億ドルでした。
オミクロンの報道もあって、気になるのは客足動向です。センサーマティックは27日、実店舗への客足は前年比48%増加したと報告しました。ただし、2019年を28%下回り米国での年末商戦はコロナ前の水準を回復できませんでした。センサーマティックは、結果についてアドビ同様「年末商戦の値引きを前倒しして客足を分散させたため」と分析します。確かに、こちらでご紹介しましたように供給制約を背景に、小売業者は10月から開始していましたものね。
個人的には、オミクロンが確認される前の11月初めから人の出入りの回復ペースが鈍化していた点が気掛かりです。11月25日の感謝祭で人の出入りがぐっと減少したのは、祝日により、職場だけでなく小売・娯楽での人出が落ち込んだためと考えられる半面、20年11月は同時期にそれほど減少していませんでした。今後、オミクロンの影響で下振れするか、試されます。
チャート:人の出入りは、感謝祭を背景に減少
ブラックフライデーに話を戻すと、人気商品は任天堂のスイッチの他、ワイヤレスVRヘッドセットの”メタ・クエスト2(旧オキュラス・クエスト)”、ゲームソフト”ジャスト・ダンス 2022”や”スパイダーマン:マイルズ・モラレス”、エアポッド、12インチのiPadなどが並びました。
ブラックフライデーの売上高は幸先の良いスタートを切りませんでしたが、アドビはサイバーマンデーの売上高は102億~113億ドルを予想。オミクロンの影響で米国人がネットでの買い物に集中するならば、前年超えを達成しそうですが、果たして結果はいかに?
※追記:サイバーマンデーのネット売上高は前年比1.4%減の107億ドルと、初の前年割れとなりました。ブラックフライデーに続き、前年比マイナスの敗因は①買い物前倒し、②通常より小幅な値引き、③在庫不足――が挙げられます。個人的には、その他の要因として、貯蓄率低下や生活必需品の高騰による裁量消費余地の縮小も影響したと考えます。いくら賃金の伸びが力強くても、インフレ率が上回ってくるので実質賃金はマイナスの状況。加えて、エネルギーや食品などが高騰しているため、米国人の財布の紐が例年以上に固くなってもおかしくありません。
(カバー写真:DealDrop.com Images/Fllickr)
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