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米1月ADP全国雇用者数は減少、人員削減予定数は低水準もワクチン拒否の影あり

by • February 4, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off1754

The Surprise Drop In Payrolls In The ADP National Employment Report.

1月のADP全国雇用者数、チャレンジャー人員削減予定数、新規失業保険申請件数をおさらいしていきます。

米1月ADP全国雇用者数は前月比30.1万人減となり、市場予想の18万人増に反する結果となった。前月の77.6万人増(80.7万人増から下方修正)から減少に転じ、2020年12月以来のマイナスとなる。感謝祭明けにオミクロン株が南アフリカで検出され、米国では21年12月後半から感染拡大が一気に広がり、1月半ばに過去最多の新規感染者数を記録するなか、予想外に弱い結果となった。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。

チャート:ADP全国雇用者数、20年12月以来のマイナス

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、サービス部門が27.4万人減と前月の64.5万人減(修正値)を上回り、13ヵ月ぶりに減少した。内訳は以下の通り。
・専門サービス→0.3万人減、21ヵ月ぶりに減少<前月は12.0万人増
・情報→0.8万人減、6ヵ月ぶりに減少<前月は1.1万人増
・金融→0.9万人減、18ヵ月ぶりに減少<前月は2.3万人増
・教育/健康→1.5万人減、21ヵ月ぶりに減少<前月は8.1万人増
・その他サービス→2.3万人減、13ヵ月ぶりに減少<前月は3.5万人増
・貿易/輸送→6.2万人減、13ヵ月ぶりに減少<前月は13.5万人増
・娯楽/宿泊→15.4万人減、13ヵ月ぶりに減少<前月は23.9万人増

財部門(製造業、建設、鉱業)は前月比2.7万人減と前月の13.1万人増(修正値)に反しマイナスとなった。11ヵ月ぶりに減少した。内訳は以下の通り。

・鉱業→0.4万人増、12ヵ月ぶりに増加>前月0.4万人増
・製造業→2.1万人減、11ヵ月ぶりに減少<前月は6.9万人増
・建設→1.0万人減、11ヵ月ぶりに減少<前月は6.0万人増

ADPリサーチ・インスティチュートのニラ・リチャードソン首席エコノミストは、結果を受け「オミクロン株感染拡大の多大な影響を受けたが、一時的にとどまる見通し」と振り返った。また「大部分の業種で減少を確認し、特に娯楽・宿泊は21年10~12月期の大幅増加から減少に転じた」という。企業の規模で最も大きな打撃を受けたのは「中小企業で、2021年12月の雇用増加をほぼ全て打ち消した」と結んだ。

▽米1月人員削減予定数は前年比で11カ月連続で減少、通期では統計開始以来で最低

米1月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比75.3%減の1万9,064人と、12ヵ月連続で前年比で減少した。前月比では0.06%増と若干ながら2ヵ月連続で増加した。

チャート:人員削減予定数、前月比ではほぼ横ばい

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(作成:My Big Apple NY)

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスは、今回の人員削減予定数の半分以上にあたる5,757人がワクチン接種拒否によるものと説明した。

チャート;ワクチン接種拒否を理由とした人員削減数

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(作成:My Big Apple NY)

チャート:業種別、ワクチン接種拒否による人員削減予定数(2021年は通期)

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(作成:My Big Apple NY)

同社のアンドリュー・チャレンジャー副社長は、今回の結果を受け「企業は採用に際し困難に直面しており、特にヘルスケアは燃え尽き症候群との闘いを経て離職者が増加中だ」と振り返った。また、人手不足を受け「採用枠を拡大している」と付け加えた。

バイデン政権によるワクチン義務化は、1月13日に米連邦最高裁判所が6対3(共和和党大統領に指名された長官を含む6人の判事全員が支持)で施行の差し止める判断を下した。ただし、政府から資金援助を受ける医療機関の従事者に対する接種義務化については、同様の懸念はないとして5対4(ロバーツ長官とカバノー判事がリベラル派3人と共に支持)で導入を認めた。

なお、人員削減予定数の理由の「ワクチン接種拒否」は2021年の6月に初めて登場しており、それ以降、1月4日までのワクチン接種完了を義務化した規則を受けて1月に急増した。なお、対面サービスが必要となる業種でワクチン接種義務化に慎重が声が上がり、1月に入り米郵政公社(USPS)は接種完了時期の先送りを要請していた。同様の措置を求めた百貨店メイシーズは人手不足に加えオミクロン株感染拡大もあって、月〜木曜日の営業時間短縮を決定した。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。21年12月は1位がヘルスケア、2位が倉庫、3位が金融、4位がサービス、5位が製薬だった。

1位 ヘルスケア 5,053人
2位 倉庫 3,051人
3位 サービス 1,786人
4位 娯楽・宿泊 1,691人
5位 消費財 1,432人

1月の州別動向は以下の通りで、カリフォルニア州(1位)とノースカロライナ州(9位)以外、人口の順位でトップ10に入らない州が食い込んだ。ノースカロライナ州は、同州にある通販会社QVCの工場火災を受け、約2,000人が解雇された状況を反映した。2021年の州別では、1位がカリフォルニア州、2位がテキサス州、3位がワシントン州、4位がイリノイ州、5位がニューヨーク州となり、ほぼ人口上位ランキングに沿うかたちとなった。

1位 メリーランド州 3,455人
2位 ノースカロライナ州 2,020人
3位 カリフォルニア州 1,908人
4位 ケンタッキー州 1,293人
5位 ワシントン州 1,080人

2021年のリストラ実施の理由別ランキングは以下の通りで、前述した「ワクチン接種拒否」は10位だった。4位に入った「工場閉鎖」は前述のノースカロライナ州での工場火災によるもの。2021年の理由別では、1位が閉鎖、2位が再編、3位が市場動向、4位が需要低下、5位がコスト削減だった。

1位 ワクチン接種拒否 5,757人
2位 閉鎖 5万8,712人
3位 市場動向 5万4,160人
4位 工場火災 1,953人
5位 再編 864人

採用予定数は1月に前年同月比7.7%増の7万7,634人だった。前月比では13.7%減と、減少に転じた。

チャート:1月の採用予定者数、2021年や2019年と同じく7万人台

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、単月で以下の通り。年末商戦を控え、小売と輸送が目立った。

1位 テクノロジー 1万6,818人
2位 ヘルスケア 1万166人
3位 政府 9,113人
4位 小売 5,901人
5位 サービス 2,073人

(カバー写真:Ivan Radic/Flickr)

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