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米3月小売売上高はガソリンが押し上げ、実質では0.7%減とマイナス

by • April 14, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off2563

Retail Sales Growth Is Nothing But A Number Without Inflation, Actually It Fell By 0.7%.

米3月小売売上高は前月比0.5%増と、市場予想の0.6%増を下回った。前月の0.8%増(0.3%増から上方修正)に届かなかったものの、3ヵ月連続で増加。過去8ヵ月間で、7回目のプラスとなる。自動車とガソリンを除いた場合は0.2%増と、前月の0.1%減(0.4%減から上方修正)からプラスに反転。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)は0.1%減と、市場予想の0.2%増に反する結果となった。前月の0.9%減(1.2%減から上方修正)を含め、2ヵ月連続で減少した。

チャート:米3月小売売上高、前月比で過去8ヵ月間で7回目のプラスに

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(作成:My Big Apple NY)

内訳をみると、主要13カテゴリー中、前月比で10種が増加し、前月の速報値ベースの7種を上回った。最も力強い伸びを示したのは3月11日に4.33ドルと過去最高値を付けたガソリン価格を背景にガソリン・スタンドで、その他、一般小売、電気製品、スポーツ用品・趣味、服飾といった経済活動正常化で恩恵を受ける費目が目立った。一方で、無店舗、ヘルスケアなどが減少。供給制約が続く自動車も弱い。GMとフォードは3月31日、半導体不足を理由にミシガン州の工場において約1週間の生産停止を発表しており、4月も減少が続く見通しだ。費目別の詳細は、以下の通り。

(プラス項目)

・ガソリン・スタンド→6.7%増、2ヵ月連続で増加<前月は8.9%増、6ヵ月平均は3.5%増
・一般小売→5.4%増>前月は0.2%減と過去4ヵ月間で3回目の減少、6ヵ月平均は1.1%増
(*百貨店は0.3%減、3ヵ月ぶりに減少<前月1.7%増、6ヵ月平均は0.2%増)
・電気製品→3.3%増、3ヵ月連続で増加<前月は0.3%増、6ヵ月平均は1.1%減
・スポーツ用品/書籍/趣味→1.7%増、2ヵ月連続で増加>前月は1.3%減、6ヵ月平均は0.2%増

・服飾→2.6%増、3ヵ月連続で増加>前月は0.5%増、6ヵ月平均は0.4%増
・食品/飲料→1.0%増>前月は0.3%減、6ヵ月平均は0.5%増
・外食→2.5%増、2ヵ月連続で増加>前月は1.0%減、6ヵ月平均は0.4%増

・家具→0.7%増、3ヵ月連続で増加<前月は2.7%増、6ヵ月平均は1.1%増
・雑貨→0.8%増、3ヵ月連続で増加<前月は1.3%増、6ヵ月平均は1.1%増
・建築材/園芸→0.5%増、8ヵ月連続で増加<前月は0.9%増、6ヵ月平均は1.8%増

(マイナス項目)

・無店舗(オンライン含む)→6.4%減、2ヵ月連続で減少<前月は3.5%減、6ヵ月平均は0.8%増
・自動車/部品→1.9%減、3ヵ月ぶりに減少<前月1.5%増、6ヵ月平均は1.2%増
・ヘルスケア→0.3%減、2ヵ月連続で減少<前月は0.6%減、6ヵ月平均は0.1%増

チャート;米3月小売売上高、前月比のカテゴリー別

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(作成:My Big Apple NY)

小売売上高の前年同月比は6.9%増と、前月の18.2%増を下回った。それだけではなく、バイデン政権下で施行された追加経済対策でのバラマキを実施する前の21年2月以来の小幅な伸びにとどまる。

チャート:3月、前年比は21年2月以来の低い伸び

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(作成:My Big Apple NY)

チャート:3月小売売上高、費目別の20年2月比

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(作成:My Big Apple NY)

――小売売上高はガソリンが押し上げ、堅調な伸びを達成しました。ガソリンを除くと、無店舗や自動車・部品などが押し下げ前月比0.3%減とマイナスに転じます。さらに、小売売上高からインフレを除く場合だと同0.7%減と下げ幅を拡大するのですよ。ガソリンや食品などの価格上昇が響き賃金上昇が物価高に追いつかず、徐々に消費者の購買力が低下しつつあり、小売売上高より実質ベースの個人消費支出を注視すべきでしょう。

チャート:米3月小売売上高、ガソリンを除くと前月比は0.3%減

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(出所:My Big Apple NY)

チャート:米小売売上高、ガソリン高を一因に前年同月比も伸び鈍化

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(出所:My Big Apple NY)

その個人消費支出は2月、実質ベースで3ヵ月連続でマイナスでしたが、3月小売売上高に基づけば大幅改善は見込めそうにありません。また、新型コロナウイルス感染者数が米国で再び増加し、ペンシルベニア州フィラデルフィアで屋内でのマスク着用の義務化を再開し、米国疾病予防管理センター(CDC)が輸送機関でのマスク着用要請を5月3日まで延長したとあって、経済活動の再開で花開いた個人消費が鈍化するリスクもはらみます。3月に開始した利上げや、今後の量的引き締め効果も勘案すべきでしょう。

(カバー写真:Jernej Furman/Flickr)

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