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米10月人員削減予定数は増加、年末商戦の臨時雇用は前年比37%減

by • November 3, 2022 • Finance, Latest NewsComments Off2688

Job Cuts Hit Highest Since February 2021, Hires Continue To Slow.

米10月ADP全国雇用者数は前月比23.9万人増と、市場予想の19.5万人増を上回りました。では、人員削減予定数と米新規失業をみていきましょう。

米10月チャレンジャー人員削減予定数は前年同月比48.3%増の3万3,843人だった。5ヵ月連続の増加となる。前月比でも12.9%増となり、2カ月連続で増加した。人員削減予定数自体は、2021年2月以来で最多となった。

チャート:人員削減予定数、10月は前月比と前年同月比そろって増加が続く

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チャート:人員削減予定数、20年2月以来で最多に

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(作成:My Big Apple NY)

単月では増加したものの、年初来では前年同期比15.7%減の24万3,338人と、1993年の統計開始以来で最低を更新した。

チャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマス社のアンドリュー・チャレンジャー・シニア・バイス・プレジデントによれば「第4四半期は、予算決定や設備投資計画が終わる事情から人員削減が発生しやすく、今後増加し始めるだろう」と予想。また、Fedの利上げを受け「2023年はさらに人員削減が増える可能性がある」とも警告した。

人員削減が多かったセクターのランキングは、単月で以下の通り。マイクロソフトやインテルの千人規模のリストラが報じられたように、テクノロジーの人員削減数が顕著だった。

1位 テクノロジー 9,273人
2位 サービス 4,157人
3位 倉庫 2,602人
4位 ヘルスケア 2,196人
5位 建設 2,177人

人員削減が多かったセクターのランキングは、年初来で以下の通り。半導体不足が生産活動に影響した自動車、決算が弱かったテクノロジーが目立つ。

1位 自動車 2万8,975人、前年同期は1万5人
2位 テクノロジー 2万8,207人、前年同期は1万781人
3位 ヘルスケア 2万6,046人 前年同期は2万5,630人
4位 小売 2万191人 前年同期は1万7.319人
5位 サービス 2万156人 前年同期は2万5,161人

州別動向は年初来で以下の通りで1、2、4、5位は人口別でのトップ5に入る州が並んだ。1位のカリフォルニア州が突出して多いのはIT関連の人員削減、3位のミシガン州は自動車セクターのリストラ増加が背景とみられる。

1位 カリフォルニア州 6万1,623人 前年同期は4万3,164人
2位 ニューヨーク州 2万5,799人 前年同期は1万3,678人
3位 ミシガン州 1万6,375人 前年同期は4,102人
4位 ペンシルベニア州州 1万3,916人 前年同期は9,351人
5位 テキサス州 9,718人 前年同期は4万493人

リストラ実施の理由別ランキングは、前月比で以下の通り。供給制約の深刻化や強まるインフレ圧力が影響したのか、コスト削減が1位となった。

1位 理由不明 1万1,951人
2位 閉鎖 6,273人
3位 再編 4,864人
4位 コスト削減 4,584人
5位 市場動向 2,684人

リストラ実施の理由別ランキングは、年初来で以下の通り。

1位 閉鎖 5万3,018人
2位 理由不明 5万891人
3位 コスト削減 5万157人
4位 市場動向 3万2,332人
5位 需要低下 1万2,791人

採用予定数は10月に前年同月比4倍増の23万3.380人となり、3カ月ぶりにプラスに転じた。前月比では逆に37.5%減と、年初来で6回目の減少となった。

チャート:10

10月の採用予定者数、年末商戦の臨時雇用が支え増加も2020年、2019年比では弱い

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(作成:My Big Apple NY)

セクター別では、単月で以下の通り。年末商戦を受け小売が牽引した。

1位 小売 19万4,130人
2位 政府 2万8,061人
3位 テクノロジー 4,781人
4位 サービス 2,262人
5位 製薬 1,314人

年末商戦の臨時雇用は59万200人だった。2021年の93万9,300万人から37.2%減少、2020年の84万9,350人以下にとどまり、年末商戦の見通しがそれほど明るくない様子を映し出した。

▽米新規失業保険申請件数、2019年平均の水準近くを維持

10月29日週までの米新規失業保険申請件数は21.7万件と、市場予想の22.0万件をわずかに下回った。前週の21.7万件(21.8万件から下方修正)と変わらず、低水準を保つ。

10月22日週までの継続受給者数は148.5万人と、前週の143.5万人(修正値)を上回った。約7カ月ぶりの水準へ増加した。

失業者に占める被保険者の割合は1.0%と、過去最低に並んだ前週の0.9%近くを維持した。

チャート:米新規失業保険申請件数は、2019年平均の水準近くで推移も、継続受給者数は約7カ月ぶりの水準へ戻す

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(作成:My Big Apple NY)

――米10月チャレンジャー人員削減予定数は、米10月ADP全国雇用者数や米9月求人数の増加に反し、弱い結果となりました。特に、臨時雇用のペースの鈍さが気掛かりです。米新規失業保険申請件数は増加しなかったとはいえ改善もせず、力強い労働市場は静かにゆるやかに変化しつつあるようです。

(カバー写真:Michael Hunter/Flickr)

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