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米12月個人消費は2カ月連続で減少、貯蓄率は改善―インフレは減速

by • January 28, 2023 • Finance, Latest NewsComments Off2092

Saving Rate Improves As Consumer Spending Declines 2-Month In A Row.

米12月個人消費支出は前月比0.2%減と、市場予想の0.1%減より下げ幅を広げた。下方修正された前月の0.1%(速報値は0.1%増)に続きマイナスとなり、米12月小売売上高が2カ月連続で減少した動きと整合的である。

個人所得は前月比0.2%増と市場予想と一致した。前月の0.3%増(0.4%増から下方修正)と合わせ、11カ月連続で増加した。

個人所得が増加を続けた一方で消費支出が2カ月連続でマイナスとなった結果、貯蓄率は3.4%と前月の2.9%から大幅に改善し7カ月ぶりの水準を回復した。2022年9月は、1959年のデータ公表以降、2005年7月の2.1%に次ぎ過去2番目の低水準となっていた。

詳細は以下の通り。

〇個人消費支出

個人消費の結果は以下の通り。名目ベースとインフレを除く実質ベースともに増加した。

・前月比0.2%減、市場予想の0.1%減より弱い、前月は0.1%減
・前年比7.4%増と24ヵ月連続で増加、前月は7.4%増
・実質ベース前月比0.3%減と2ヵ月連続で減少、前月は0.2%減
・前年比では2.2%増と22ヵ月連続で増加、前月は1.7%増

耐久財と非耐久財は、年末商戦での需要前倒しやガソリン価格の伸び悩みなどが響き2カ月連続で減少。サービスは外食などが押し上げ22ヵ月連続で増加した。

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 1.6%減と2ヵ月連続で減少、前月は1.3%減
・耐久財 1.9%増と2ヵ月連続で減少、前月は3.0%減
・非耐久財 1.4%減と2ヵ月連続で減少、前月は0.4%減
・サービス 0.5%増と22ヵ月連続で増加、前月は0.5%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成;My Big Apple NY)

チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人所得

個人所得の結果は以下の通り。

・前月比0.2%増と11カ月連続で増加、市場予想と一致、前月は0.3%増
・前年比では4.6%増と9ヵ月連続で増加、前月は4.7%増
・実質ベース前月比0.2%増と3カ月連続で増加、前月は0.2%増
・前年比では0.4%減と11カ月連続で減少、前月は0.8%減

個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は22ヵ月連続で増加し、社会福祉も失業保険やメディケイド、その他が押し上げ増加を促した。家賃収入も引き続き力強い伸びに。なお、米疾病対策センター(CDC)は21年8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下したため、販売用物件の減少も重なって家賃の上昇が進行した。足元、新規契約分の家賃は前月比で下落が指摘されているが、家賃は基本1~2年契約のため、下落が反映されるまでラグを伴う傾向がある。

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/所得 0.3%増と22ヵ月連続で増加(民間は0.3%増、政府部門は0.2%増)、前月は0.3%増
・経営者収入 0.3%増と3カ月ぶりに増加(農業は3.4%減、非農業は0.5%増)、前月は0.1%減
・家賃収入 0.8%増と11ヵ月連続で増加、前月は0.6%増
・資産収入 0.1%増と11ヵ月連続で増加(金利収入が1.0%増、配当が0.9%減)、前月は0.1%増
・社会補助 横ばい、前月は0.2%増
・社会福祉 横ばい、前月は0.2%増(メディケア=高所得者向け医療保険は0.9%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.1%増、失業保険は4.3%増、退役軍人向けは0.5%増と増加基調を維持、その他は0.9%減)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:My Big Apple NY)

〇可処分所得
・前月比0.3%増と11ヵ月連続で増加、前月は0.3%増
・前年比は3.2%増と8ヵ月連続で増加、前月は3.1%増
・実質ベースの可処分所得は0.2%増と3カ月連続で増加、前月は0.2%増
・前年比は1.7%減と13ヵ月連続で減少、前月は2.3%減

〇貯蓄率
・3.5%、前月の2.9%を上回る。2022年9月につけた2.4%は2005年7月の2.1%に次ぎ1959年のデータ取得以降で2番目の低水準

チャート:個人消費は、再び貯蓄を取り崩して拡大

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(作成:My Big Apple NY)

〇個人消費支出(PCE)デフレーター
→Fedの積極的な利上げにより需要が落ち着くなか、前年比はそろって減速した。

・PCEデフレーターは前月比0.1%上昇、市場予想の0.2%以下、前月は0.1%
・前年比は5.0%上昇し2021年9月以来の低い伸び、市場予想の5.5%を下回る、前月は5.5%
・コアPCEデフレーターは前月比0.3%上昇、市場予想と一致、前月は0.2%
・コアPCEの前年比は4.4%上昇し2021年10月以来の低い伸び、市場予想と一致、前月は4.7%

チャート:CPIと合わせ着実に前年比で鈍化

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(作成:My Big Apple NY)

――インフレ減速の流れが続き、米1月ミシガン大学消費者信頼感指数・確報値でも明確になりました。1年先のインフレ期待は3.9%と、2021年4月以来の低水準です。お陰で、消費者センチメントは改善をたどります。

チャート:米1月ミシガン大消費者信頼感、短期のインフレ期待が著しく改善しセンチメントを押し上げ

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(作成:My Big Apple NY)

個人消費の伸びが鈍化したため、貯蓄率も7カ月ぶりの水準を回復しました。個人は低下したとはいえ景気後退懸念がくすぶるなか、財布のひもを引き締めつつあるようです。短期的に個人消費の減速は免れませんが、中長期的には景気の下支えとなりそうです。

(カバー写真:gato-gato-gato/Flickr)

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