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米12月個人消費は好調、コアPCEは21年3月以来の3%割れ

by • January 29, 2024 • Finance, Latest NewsComments Off3607

US personal consumption in December was strong Core PCE fell below 3% for the first time since March 2021

米12月個人消費支出は前月比0.7%増と、市場予想の0.4%増を上回った。前月の0.4%増(0.2%増から上方修正)も超え、3カ月ぶりの高い伸びだった。

〇個人消費支出

個人消費の結果は以下の通り。名目ベースは増加した半面、インフレを除く実質ベースは減少した。

・前月比0.7%増と2カ月連続で増加、市場予想の0.4%増を上回る、前月は0.4%増
・前年比では5.9%増と21年1月以降の増加トレンドを維持、前月は5.5%増
・実質ベース前月比0.5%増と2カ月連続で増加、前月は0.5%増
・前年比では3.2%増と21年3月以降の増加トレンドを維持、前月は2.7%増

チャート:個人消費、前月比ベースでの名目と実質の違い

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(作成:Street Insights)

耐久財は自動車・部品が前月比1.1%増と押し上げた。また、家具も0.5%増と2カ月連続で増加したほか、年末商戦効果で宝飾も2カ月連続で増加した。非耐久財は食品・飲料が0.5%増と増加基調を維持したほか、服飾が1.6%増と2カ月連続で増加したほか、ガソリンも1.9%増と3カ月ぶりに増加に転じた。サービスは住宅関連やヘルスケア、輸送サービス、娯楽が増加した一方で、外食は横ばいに転じた。

個人消費支出の内訳(前月比ベース)
・財 0.9%増と3カ月ぶりに増加、前月は0.1%減
・耐久財 1.1%増と2カ月連続で増加、前月は0.7%増
・非耐久財 0.9%増と3カ月ぶりに増加、前月は0.6%減
・サービス 0.6%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、前月は0.6%増

チャート:個人消費、前月比の項目別内訳

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(作成:Street Insights)

〇個人所得

米12月個人所得は前月比0.3%増と、市場予想と一致した。前月の0.4%増に届かなかったものの、増加基調を保った。

個人所得の結果は以下の通り。

・前月比0.3%増と2022年2月以降の増加トレンドを維持、市場予想と一致し、前月は0.4%増
・前年比では4.7%増と2022年4月以降の増加トレンドを維持、前月は4.6%増
・実質ベースは前月比0.1%増、3カ月連続で増加
・前年比では2.0%増と2月以降の増加トレンドを維持、前月は1.9%増

個人所得のうち、名目ベースで賃金・給与は12ヵ月連続で増加したものの伸びは鈍化した。一方で、家賃収入が引き続き力強い伸びとなり全体を支えた。なお、米疾病対策センター(CDC)は21年8月、新型コロナウイルス感染予防策対策として、感染率が高い地域を対象に新たに21年10月3日まで住宅立ち退き猶予期間を設定。しかし、家主や不動産団体が撤回を求め提訴し、米連邦最高裁判所が21年8月26日に無効の判断を下したため、販売用物件の減少も重なって家賃の上昇が進行した。足元、新規契約分の家賃は前月比で下落が指摘されているが、家賃は基本1~2年契約のため、下落が反映されるまでラグを伴う傾向がある。

所得の内訳は、名目ベースの前月比で以下の通り。

・賃金/給与 0.3%増と12ヵ月連続で増加(民間は0.3%増、政府部門は0.7%増)、前月は0.4%増
・経営者収入 横ばい(農業は4.9%減、非農業は0.1%増)、増加トレンドを6カ月で止める、前月は0.4%増
・家賃収入 0.2%増と7ヵ月連続で増加、前月は0.2%増
・資産収入 0.3%増と6ヵ月連続で増加(金利収入が0.8%増、配当が0.2%増)、前月は0.7%増
・社会補助 横ばい、前月は0.4%減と軟調な推移が継続
・社会福祉 0.1%増、前月は0.5%減(メディケア=高所得者向け医療保険は0.2%増、メディケイド=低所得者層向け医療保険は0.1%減、失業保険は0.4%減、退役軍人向けは0.2%増と増加基調を維持、その他は0.2%減)

チャート:個人所得、前月比の項目別内訳

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(作成:Street Insights)

〇可処分所得
・前月比0.3%増と2022年1月以降の増加トレンドを維持、前月は0.4%増
・前年比は6.9%増と2022年5月以降の増加トレンドを維持、前月は7.1%増
・実質ベースの可処分所得は0.1%増と3カ月連続で増加、前月は0.5%増
・前年比は4.2%増と年初来からの増加トレンドを維持、前月は4.4%増

〇貯蓄率
3.7%、前月の4.1%を下回り2022年12月以来で最低。2019年平均の7.4%以下が続くが、1959年のデータ取得以降で3番目の低い伸びとなった2022年6月につけた2.7%から改善基調を継続、過去最低は2005年7月の2.1%。

チャート:個人消費の伸びが鈍化し、貯蓄率を小幅押し上げ

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(作成:Street Insights)

チャート:貯蓄額は2019年の平均値割れ

〇個人消費支出(PCE)価格指数

PCE価格指数は市場予想と前月と一致も、コアは前前年比はそろって前月を下回った。特にコアの前年同月比は2021年5月以来の低い伸びとなる。

・PCE価格指数は前月比0.2%上昇、市場予想と一致 前月は0.1%の低下
・前年比は2.6%上昇、市場予想と一致、前月は2.6%
・コアPCEデフレーターは前月比0.2%上昇、市場予想と一致、前月は0.1%
・コアPCEの前年比は2.9%上昇、市場予想の3.0%を下回る、前月は3.2%

チャート:2023年12月はコアPCEが2021年3月以来の3%割れ

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(作成:Street Insights)

――個人消費支出は力強かったものの、貯蓄率の低下を招き1月以降の裁量的支出の縮小を示唆します。過去、年末商戦で貯蓄を取り崩した後に1~3月期は冬本番もあって貯蓄を積み増し、消費を抑える傾向にあるだけに、今回もその流れを踏襲すれば景気減速と判断されそうです。一方で、コアPCEの前年比が2021年3月以来の3%割れを迎えました。個人消費が鈍化すれば、インフレ減速と合わせ、Fedに利下げの時期を検討させる材料となりそうです。量的引き締めの縮小も、念頭に入れるべきでしょう。

(カバー写真:honey fangs /unsplash)

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