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米4月雇用統計・NFPは鈍化し失業率は上昇、利下げ期待再燃

by • May 3, 2024 • Finance, Latest NewsComments Off29399

Weaker Than Expected Job Numbers Bring Rate Cuts Expectaions Back On.

米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、市場予想を下回りました。さらに、労働参加率が横ばいだったにもかかわらず、失業率は上昇。平均時給は市場予想以下となり、賃上げ圧力の後退を確認。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が5月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、3月FOMCに続き「予想外に労働市場が弱まるならば、政策対応(利下げ)の用意がある」と発言したように、労働市場は高金利に押し下げられつつあるようです。

予想より弱い米4月雇用統計に加え、米4月ISM非製造業景況指数が49.4と2022年12月以来となる分岐点の50を割り込んだ結果を受け、FF先物市場で9月の利下げ織り込み度は47.5%と、前日の45.5%から小幅上昇しました。年内利下げ確率は、再び2回が切り返しつつあります。ただ、米4月ISM非製造業景況指数は仕入れ価格が約1年ぶりに60を超えたため、利下げ期待の高まりは小幅にとどまっているようです。

画像;FF先物市場の反応(NY時間13時時点)

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(出所;Fedwatch)

結果を受け、ゴールドマン・サックスのチーフ・エコノミスト、ヤン・ハチウス氏は7月利下げの予想を維持。一方で、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙のニック・ティミラオス記者は影響は限定的と指摘、6月FOMC前にもう1回、米雇用統計を控えるほか、Fedにとって今回の弱含みは予想の範囲内とX(旧ツイッター)に投稿していました。

チャート:米4月ISM非製造業景況指数は約2年半ぶりに50割れ、仕入れ価格指数は3カ月ぶりに60乗せ

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(出所:Street Insights)

ドル円は4月29日、5月1日の実弾介入(日銀当座預金残高見通しベース)の影響もあって、米4月雇用統計の結果を受けて一時151.86円まで急落。米4月消費者物価指数(CPI)後の上げ幅を打ち消しました。しかし、米4月ISM非製造業景況指数の仕入れ価格が60乗せを迎えたこともあり、一時153円を回復するなど、値が荒い展開となっています。その他、利下げ期待バックオンでゴルディロックス経済万歳と読み取り、米株高・米債高(利回りは低下)を迎えました。

日足チャート:ドル円は米4月雇用統計直後に152円割れも、その後は下げ幅を縮小

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(出所:TradingView)

今回の雇用統計のポイントは、以下の通り。NFPの減速や失業率の上昇を始め、弱い材料が目立ちます。

(労働市場にポジティブ)

・家計調査の就業者数、2カ月連続で増加
・フルタイムの就業者は5カ月ぶりに増加

(労働市場にネガティブ/ニュートラル)

・NFPが市場予想や前月を下回り、6カ月ぶりの低い伸び
・過去2カ月分は2.2万人の下方修正
・平均時給の伸び、前月比と前年同月比ともに市場予想以下(インフレ抑制の観点ではポジティブ、購買力の観点でネガティブ)
・週当たり労働時間、2020年4月以来の低水準近くへ戻す
・民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)、前月比横ばい、前年同月比は伸び鈍化
・労働参加率は前月と変わらず
・就業率、4カ月ぶりの水準へ改善した前月から低下
・不完全就業率は2021年11月以来の高水準
・失業者のうち自発的離職者が減少、解雇者数が増加し企業の雇用に対する慎重姿勢を示唆
・パートタイムの就業者数は6カ月ぶりに減少、複数の職を持つ者も減少

筆者としては、①NFPの減速、②平均時給の鈍化トレンド維持、③民間総賃金の伸び鈍化、④週当たり労働時間の短縮、⑤パートタイムが減少しているものの不完全就業率が上昇ーーなどを受け、米労働市場の調整が本格化した兆しが現れたと受け止めています。

以下は、今回の雇用統計の詳細。

〇非農業部門就労者数

米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比17.5万人増となり、市場予想の24万人増を下回った。前月の31.5万人増(30.3万人増から上方修正)からほぼ半減し、6カ月ぶりの低い伸びだった。

NFPの内訳をみると、民間就労者数は前月比16.7万人増と市場予想の18万人増を上回った。5カ月ぶりの低い伸びとなる。前月の24.3万人増(23.2万人増から下方修正)も超えた。民間サービス業は15.3万人増と、前月の20.4万人増(19.0万人増から上方修正)を下回った。

チャート:NFPは増加トレンドを維持も伸びは鈍化、失業率は2022年1月以来の高水準に戻す

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(出所:Street Insights)

2月分の3.4万人の下方修正(27万人増→23.6万人増)と合わせ、過去2ヵ月分では合計で3.4万人の下方修正に。とはいえ、3月の上方修正と合わせても、2過去2カ月分で2.2万人の下方修正となる。2023年以降では、15回のうち速報値ベースで12回目の下方修正に。以前から筆者が指摘し2023年7月に入ってウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も記事で取り上げたように、NFPは労働市場を過大評価している可能性が引き続き意識される。

チャート:NFPと修正幅(グレー枠は2023年での修正幅)

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(出所:Street Insights)

サービス部門のセクター別動向は11業種中で8業種で増加し、速報値ベースで9業種を下回った。今回最も雇用が増加した業種は7カ月連続で教育・健康、次いで輸送・倉庫、小売が続いた。その他、公益は横ばい。専門サービス(派遣含む)と情報は減少した。専門サービスは6カ月ぶりに減少しており、テクノロジー関連のほか幅広い専門分野での雇用減を示唆する。

(サービスの主な内訳)

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(出所:Street Insights)

財生産業は前月比1.4万人増と、6カ月連続で増加。業種別をみると、建設が13カ月連続で増加したが、伸びは2023年4月以降の増加トレンドで最も小幅だった。製造業は3カ月ぶりに増加。逆に鉱業・伐採は3カ月ぶりに減少した。

(財生産業の内訳)

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(出所:Street Insights)

チャート:業種別、雇用の増減

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(出所:Street Insights)

チャート:20年2月との比較、民間サービス部門は前月の4.3%増→4.5%増と25ヵ月連続でプラス圏をたどると共に上げ幅を広げた。政府を含めたサービス部門の11業種中、当時の水準を超えた業種は、小売の前月が下方修正されたため、10業種に戻した。輸送・倉庫、専門サービス、情報、金融、公益、卸売、教育・健康、小売、政府。一方で、小売は微減、その他サービスが引き続きマイナスをたどった。

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(出所:Street Insights)

財部門は3.5%増と前月と変わらず、24ヵ月連続でプラス圏を守った。建設が前月の7.8%増→7.9%増と伸び拡大に寄与した一方で、製造業は前月は3カ月連続で1.4%増だった。鉱業・伐採は引き続きマイナスをたどった上、前月の5.7%減→6.3%減に拡大した。

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(出所:Street Insights)

〇平均時給

平均時給は前月比0.2%上昇の34.75ド ル(約5,280円)と、市場予想と前月の0.3%を下回った。ただし、2021年2月以降の上昇トレンドを維持した。前年同月比は3.9%、市場予想の4.0%並びに前月の4.1%を下回り、2021年6月以来の4%割れを迎えた生産労働者・非管理職の前年同月比も4.0%と、前月の4.2%を下回り、2021年5月以来の低い伸びだった。

チャート:平均時給、生産部門・非管理職と合わせ前年比で2021年6月以来の低い伸び

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(出所:Street Insights)

〇週当たり労働時間

週当たりの平均労働時間は34.3時間と、市場予想と前月の34.4時間を下回った。2020年3月以来の低水準だった1月の34.2時間を辛うじて上回ったが、2006年以来の最長を記録した2021年1月の35時間を下回り続けたままだ。財部門(製造業、鉱業、建設)が39.7時間と前月の39.9時間から短縮、1月は34.5時間と2020年6月以来の低水準を上回りつつ、引き続きコロナ禍で最長となった2022年2月の40.3時間以下が続く。米4月ISM製造業景況指数の50割れと、整合的だ。全体の労働者の約7割を占める民間サービスは3カ月連続で30.3時間で、2006年以降で最長を記録した2021年5月の33.9時間以下が続く。

チャート:週当たり平均労働時間は再び短縮

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(出所:Street Insights)

〇総労働投入時間、民間の総賃金

総労働投入時間(民間雇用者数×週平均労働時間)は就労者数の伸びが前月から大幅に減速したほか労働時間が前月から短縮したため、前月比で0.2%減と前月の0.2%増を下回り、3カ月連続ぶりに減少した。平均時給が前月を下回る伸びで、労働所得(総労働投入時間×時間当たり賃金)は前月比横ばいと増加トレンドを5カ月連続で止めた。

民間部門の総賃金(雇用者数×週平均労働時間×時給)は前月比で横ばいとなり、2021年3月からの増加トレンドが一服した。前年同月比は5.6%増と、前月の5.9%増から鈍化。ただ、3カ月平均は前月の5.3%→5.6%増と鈍化トレンドから反転した。

チャート:民間部門の総賃金は鈍化

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(出所:Street Insights)

〇失業率、労働参加率、就業率、不完全就業率、長期失業者

失業率は3.9%と市場予想と前月の3.8%を上回り、2022年1月以来の高水準へ戻した労働参加率は前月通り、62.7%。一方で、失業者数が前月比6.3万人増、就業者数が同2.5万人増と、それぞれ小幅だったが失業者の伸びが就業者を上回り、失業率の上昇につながった。

自発的離職者数は78.5万人と減少に反転、2019年平均を下回った。自発的離職者数に占める失業者の割合は前月の12.7%から低下、ただし、これは解雇者が増加するなど、他が増えたためだ。

チャート:自発的離職者数は減少

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(出所:Street Insights)

自発的離職者数が減少した一方で、解雇者数(一時的な解雇ではなく再編やM&Aなど会社都合での解雇者、派遣など契約が終了した労働者)は、前月比10.7万人増の237万人と増加に反転2021年11月以来の高水準近くへ切り返した。ただし、水準自体は増加傾向を保つ。解雇者数の割合は前月の35.0%→36.3%へ上昇し、失業者のシェアで1位を維持した。さらに、解雇者数が労働人口に占める割合は1.05%と、2021年12月以来の高水準をつけた。その他、一時解雇者は前月の12.1%→13.3%と4カ月ぶりの水準へ戻した。解雇者数や一時解雇者数の増加の陰で、再参入者は前月の29.7%→29.5%、新規参入者は前月の10.5%→8.8%へ低下した。

チャート:失業者に占める解雇者

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(出所:Street Insights)

チャート:解雇者は増加

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(出所:Street Insights)

チャート:労働人口に占める解雇者比率は2021年12月以来の水準へ上昇、2019年の水準超え

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(出所:Street Insights)

解雇者数の増加などが失業者数を押し上げるなか、サーム・ルール(失業率の直近3ヵ月移動平均と過去1年間での最低水準の差が0.5pt以上なら、1年以内に景気後退入りするとの説)を確認すると、4月は0.37ポイントと前月の0.3ポイントを超えコロナ禍での景気回復局面で最高を記録した。景気後退入りのサインとなる0.5%乗せに近づいた格好だ。

チャート:サーム・ルール(直近3カ月の移動平均と過去1年間の最低水準の差)、コロナ禍後の回復期で最高に

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(出所:Street Insights)

労働参加率は前述したように、2カ月連続で62.7%20年2月(63.4%)以来の高水準を回復した2023年11月の62.8%を下回った。

就業率は60.2%と前月の60.3%を下回った2020年2月(61.1%)以下が続く。

チャート:労働参加率は横ばい、就業率は小幅低下

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(出所:Street Insights)

経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている者などを含む不完全就業率は過去2カ月連続で7.3%を経て、今回は7.4%へ上昇し2021年11月以来の高水準。家計調査でパートタイムが減少するなかで、米景気減速を示唆するように高水準となった。

チャート:不完全就業率、2021年11月以来の水準へ上昇

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(出所:Street Insights)

失業者とは、①失職中、②過去4週間に職探しを行なった、③現在、勤務が可能――の3条件を満たす必要がある。失業期間の中央値は9.5週から8.7週へ短縮した。一方で、27週以上にわたる失業者の割合も19.6%と前月の19.5%から上昇した。

チャート:長期失業者が全失業者に占める割合

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(出所:Street Insights)

〇病気が理由で働けないとする人々

「病気が理由で働けない」とする人々は今回、前月比3.7万人減と3カ月連続で減少し107.1万人。引き続き、コロナ前平均の2015‐19年の平均値を上回ったが、冬が終わりを告げるタイミングでインフルエンザやコロナが再拡大が落ち着きつつあるようだ。

チャート:「病気が理由で働けない」とする人々は2015-19年の平均値を上回る水準が続く

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(出所:Street Insights)

〇家計調査の就労者内訳

足元、事業所調査(給与台帳ベース、NFPや平均時給、週当たり労働時間など、CES)と家計調査(聞き取り調査ベース、失業率や労働参加率など、CPS)の就業者数の数字を比較すると、今回はNFPが17.5万人増に対し、家計調査の就業者数は2.5万人増と2カ月連続でNFPと足並みをそろえ増加した。

チャート:NFPと家計調査の就業者数の結果、2カ月連続でそろって増加

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(出所:Street Insights)

家計調査の就業者数を雇用形態別でみると、フルタイムが前月比94.9万人増と大幅に5カ月ぶりに増加した。伸びは2023年3月以来の強さとなる。一方で、パートタイムは逆に同91.4万人減と大幅に6カ月ぶりに減少。コロナ禍で経済活動が停止した2020年4月以来の大きさとなる。複数の職を持つ者は同9.3万人減と減少に反転。今回、パートタイムの一部がフルタイムに転じた可能性を示唆する半面、パートタイムと複数の職を持つ労働者の減少は、企業が需要低下に陥る筒ある兆しと考えられ、5月の結果を待ちたい。

チャート:フルタイムは5カ月ぶりに増加し、パートタイムは6カ月ぶりに減少

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(出所:Street Insights)

チャート:複数の職を持つ者は前月比で減少も、高止まり

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(出所:Street Insights)

米労働市場の堅調ぶりの証左として低水準で推移する米新規失業保険申請件数が挙げられるが、過去と比べ増加しない一因として、①給付額が米国内のインフレを加味していない、②パートタイムで働いた方が時給がよい(ex:カリフォルニア州でファストフード店の時給が20ドルへ引き上げ)--が挙げられる。実際、2022年以降の米新規失業保険申請件数・4週平均の月末値とパートタイムの就業者を比較すると、両者は概ね反比例の関係にあり、失業者は失業保険よりパートタイム勤務を選択しているようだ。ただ、米景気減速でパートタイムへの流れが流れが止まれば、米新規失業保険申請件数が増加する余地がある。

チャート:米新規失業保険申請件数・4週平均とパートタイム就業者数は、概ね反比例の関係

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(出所:Street Insights)

NFPと家計調査の就業者数の動向の、どちらを信用すべきか悩むところだろう。米労働統計局によれば、NFPを含むCES(他に平均時給、週当たり労働時間が含まれる)は、他指標とコロナ禍を経て同様に回答率が低下をたどる。直近のデータをみると、CESは2023年9月に41.8%、雇用動態調査(JOLTS、求人件数などを含む)は32.4%と、それぞれ低水準を保った。失業率や労働参加率などを管轄するCPSは対面と電話での聞き取り調査となるなか、2023年10月に71.3%と、他と比較して高い。こうした違いを踏まえれば、CESの結果よりCPSの方が信頼性が高いように見える、しかし、CESの調査対象は12万2,000以上の会社や政府機関である一方で、CPSは6万世帯に過ぎない。従って、通常は雇用の伸びについてはNFPを扱うCESを重視する傾向が強い。

チャート:雇用関連の調査回答率は低迷

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(出所:Street Insights)

〇起業・閉鎖モデル

これまで筆者は、複数の職を持つ者がNFPを押し上げた可能性を指摘していた。理由は、NFPの場合、賃金をベースにカウントするためで、家計調査と異なるため(i.e. 副業を持つ就業者の場合、NFPなら2つの雇用増とされるが、家計調査は仕事が2つあっても、1人分として集計する)。最近では、NFPを算出する上での起業・廃業モデルにも注目。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙も、2023年7月に同様の記事を配信し、起業・廃業モデルなどを理由に「NFPは労働市場を過大評価している可能性」を取り上げ、筆者以外に疑問視する声の存在を感じさせていた。

今回を振り返ると、起業・閉鎖調整ベース(季節調整前)の雇用増加をみると前月比36.4万人増と、前月の2.1万人減から増加に転じ、NFPを押し上げた可能性を示唆した。

チャート:起業・閉鎖調整ベースの雇用増減(季調前)の推移

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(出所:Street Insights)

(カバー写真:Federalreserve/Flickr)

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