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米6月小売売上高のリテール・コントロールは好調、インフレ鈍化で財布ゆるんだか

by • July 16, 2024 • Finance, Latest NewsComments Off4411

Retail Sales Come In Better Than Expected, As Inflation Moderates.

米6月小売売上高は前月比.0%と、市場予想の0.3%減を上回った。前月の0.3%増(0.1%増から上方修正)を含め、2カ月連続で増加。自動車とガソリンを除いた場合は同0.8%増と、市場予想の同0.2%増を超え、前月分も上方修正された(0.1%増→0.3%増)。国内総生産(GDP)の個人消費のうち約4分の1を占めるコントロール小売売上高(自動車、燃料、建築材、外食などを除く)も同0.9%増、2023年1月以来の強い伸びに年初来では6カ月間のうち、プラスは3回目となる。米6月消費者物価指数(CPI)が前年比で鈍化し、コアが2021年4月以来の低い伸びとなるなかで、消費者の財布の紐がゆるんだようだ。

チャート:米6月小売売上高、前月比横ばい

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(作成:Street Insights)

内訳をみると、主要13カテゴリー中で10が増加し、前月の速報値ベースの8を上回った。今回は無店舗が増加をけん引したほか、裁量的支出の建築材/園芸や家具も好調。ヘルスケア、服飾、一般小売なども増加に寄与した。一方で、ガソリンスタンド、自働車・部品、スポーツ用品/書籍/趣味が減少した。

(プラス品目)

・無店舗(主にオンライン)→1.9%増と過去6カ月間で3回目の増加、前月は1.1%増
・建築材/園芸→1.4%増と過去6カ月間で3回目の増加、前月は0.7%減
・ヘルスケア→0.9%増、過去6カ月間で3回目の増加、前月は0.3%増
・家具→0.6%増と過去6カ月間で4回目の増加、前月は0.6%増
・服飾→0.6%増と3カ月連続で増加、前月は1.2%増

・一般小売→0.4%増、過去7カ月間で6回目の増加、前月は0.1%増
(百貨店は0.4%増、前月は横ばい)
・電気製品→0.4%増、過去6カ月間で5回目の増加
・雑貨→0.3%増と3ヵ月ぶりに増加、前月は1.3%減
・外食→0.3%増と3ヵ月連続で増加、前月は0.4%増
・食品/飲料→0.1%増と過去6カ月間で4回目の増加、前月は0.2%減

(横ばい品目)

なし

(マイナス品目)

・スポーツ用品/書籍/趣味→0.1%減、過去6カ月間で3回目の減少、前月は1.7%増
・自動車/部品→2.0%減、過去6カ月間で4回目の減少、前月は1.0%増
・ガソリンスタンド→3.0%減と過去6カ月間で3回目の減少、前月は2.1%減

チャート:米6月小売売上高、13品目中、10で増加

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(作成:Street Insights)

小売売上高の前年同月比は2.3%増と、4カ月ぶりの低い伸びだった。なお、年初来の平均の伸びは6月までで2.3%増、2023年の3.6%増を下回った。

チャート:米6月小売売上高、前年比は4カ月ぶりの低い伸び

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(作成:Street Insights)

――米6月小売売上高は、ガソリンスタンドと自動車・部品が弱く、食品・飲料などの伸びが小幅だった一方で、裁量的支出を含め幅広く増加しました。実質ベースの小売売上高も横ばいとなり、インフレの落ち着きを確認。ガソリン価格の下落で財布の紐がゆるんだようにも見えますが、アマゾンのプライムデーを控える7月を前に、オンラインを指す無店舗が大幅増加したのは、6月にかけ続いたメモリアルデーや父の日の値下げキャンペーンが影響した可能性があります。

チャート:米小売売上高、実質ベースは前月比横ばい

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(作成:Street Insights)

決算を振り返ると、ペプシコのラモン・ラグアルタ最高経営責任者(CEO)Q2決算後に、低所得層の消費者は「伸び悩んで」おり、「月末まで予算をやりくりするために多くの戦略を練っている」と指摘していました。

一連の結果を受けながら、FF先物市場で9月利下げ開始の織り込み度を始め、12月の3回利下げ織り込み度も低下は小幅にとどまっています

・9月利下げ開始織り込み度は91.6%、前日は91.9%
・11月の追加利下げ織り込み度は59.1%、前日は61.7%
・12月の3回利下げ織り込み度は53.1%、前日は55.2%

チャート:FF先物市場、9月利下げ開始予想が高まる

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(出所:Fedwatch)

パウエルFRB議長は7月15日、過去3ヵ月間のインフレ指標を受けて、インフレ2%へ回帰する確信が「幾分高まった」と発言。時期こそ示唆しませんでしたが、利下げ期待を支えました。

加えて、米銀決算もFedが利下げを決定する要因として意識されています。不良債権処理費用はJPモルガン・チェース(JPM)、バンク・オブ・アメリカ(BofA)、ウェルズ・ファーゴ(ウェルズF)、シティグループで軒並み拡大。前期比でそれぞれJPMで62%増、BofAで14.3%増、シティグループで4.7%増、ウェルズFで31.8%増でした。

チャート:米銀大手、不良債権処理費用

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(作成:Street Insights)

決算資料から情報が入手可能なJPM、BofA、ウェルズFでは、クレジットカードの貸倒償却率もそろって上昇し、Q2の数字はコロナ禍の経済活動が停止した2020年Q2の水準を全て上回ります。

チャート:米銀大手、クレジットカードの貸倒償却率

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(作成:Street Insights)

米6月小売売上高は予想外に好調でしたが、もともとボラタイルな数字なだけに、FF先物市場の影響も限定的だったのでしょう。

(カバー写真:Christof Timmermann/Flickr)

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