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米7月CPIはデフレではなくディスインフレ環境を示唆、0.25%利下げ観測優勢に

by • August 16, 2024 • Finance, Latest NewsComments Off4585

July CPI Supports Disinflation Scinario, Eases Deflation Fears.

米7月消費者物価指数(CPI)は前月比0.2%上昇し、市場予想と一致した。コロナ禍で経済活動がほぼ停止していた2020年5月以来のマイナスの転じた前月の-0.1%から上昇に転じた。CPIコアも同0.2%上昇し市場予想通り。前月の0.1%を上回った。

CPIは前年同月比2.9%と市場予想と前月の3.0%以下となり、2021年3月以来の3%割れとなった。4ヵ月連続で伸びが鈍化した。CPIコアは同3.2%と市場予想と通りで、前月の3.3%を下回り、2021年4月以来で最低だった。

チャート:米7月CPIとコアの前年同月比、鈍化トレンドを維持

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(出所:Street Insights)

CPIの内訳を前月比でみると、原油価格が6月に一時84ドルへ上昇した後で74ドル台まで下落するなか、エネルギー(全体の6.9%を占める)が2ヵ月連続で2.0%低下を経、横ばいに転じた。ガソリンはも前月の3.7%低下を含め2カ月連続でマイナスだった後、0.1%の上昇に。エネルギー・サービス(電力・ガスなど公益)は0.1%低下し4カ月連続でマイナスだった。電力が0.1%と上昇に転じたものの、ガスが0.7%と低下した。食品(全体の13.4%を占める)は同0.2%と、3カ月連続で上昇した(詳細は後述)。

チャート:米7月CPIの前月比、上昇に反転

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(出所:Street Insights)

食品とエネルギー以外を前月比でみると、引き続き航空運賃、自働車(新車、中古車)が押し下げた自動車の値下げは、自働車ディーラー1.5万店向けにソフトウェアを展開するCDKグローバルへのサイバー攻撃を経て、独立記念日セールのディスカウント幅が拡大した可能性が考えられる一方で、家賃が押し上げるなど住居は伸びが前月から加速し、コアCPIを支えた。家賃は住宅より伸びが下回り、通常1~2年契約という事情もあってサンプルに足元の動向は反映されづらい特徴があるなか、徐々に減速し始めてきた流れにブレーキが掛かった。一方で、CPIの2.9%を占める自動車保険は2カ月連続で上昇も、自動車メンテナンスはマイナスに転じた。自動車保険と自動車メンテナンスはこれまで、電気自動車(EV)の普及が構造的な物価上昇をもたらしたと考えられ、EVの場合、バッテリー交換などで数百万円掛かり、保険とメンテナンスを押し上げていた。エネルギー関連と食品・飲料以外で主要な項目の前月比は、以下の通り。

(上昇項目)

・自動車保険 1.2%上昇し2カ月連続でプラス、前月は0.9%
・自動車メンテナンス/修繕 0.3%低下し7カ月ぶりのマイナス、前月は0.2%上昇
・帰属家賃 0.4%上昇しプラス圏を維持、前月は0.3%上昇
・家賃 0.4%上昇しプラス圏を維持、前月は0.3%上昇
・住宅 0.3%上昇しプラス圏を維持、前月は0.1%上昇
・娯楽 0.5%上昇し2カ月連続でプラス、前月は0.4%上昇
・宿泊 0.2%上昇し4カ月ぶりにプラス、前月は2.0%低下
・娯楽 0.1%上昇し2カ月連続でプラス、前月は0.1%の上昇

(横ばい、低下項目)

・中古車 2.3%低下し2カ月連続でマイナス、前月は1.5%の低下
・航空運賃 1.6%低下し5カ月連続でマイナス、前月は5.0%低下
・服飾 0.4%の低下、前月は0.1%上昇
・医療サービス 0.3%低下し5カ月ぶりにマイナス、前月は0.2%上昇
・新車 0.2%低下し6カ月連続でマイナス、前月は0.2%低下

――経済正常化の初期に著しい上昇を遂げた項目の前年同月比を振り返ると、自働車保険を除き全てマイナス。最も伸びが著しい自動車保険(前月:19.5%→18.6%)と3カ月連続で鈍化し1年ぶりに低い伸びだった。その他はマイナスで、宿泊(前月:2.1%→2.0%)、中古車(前月:9.5%→10.3%)、新車(前月:0.9%→1.0%)となった。航空運賃(前月:5.1%低下→2.8%低下)は、前月に続き下げ幅を縮めた。

チャート:経済活動の再開で上振れが目立った項目、自動車保険以外は鈍化続く

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(出所:Street Insights)

CPIの13.4%を占める食品の前年同月比は、まちまち。肉・魚・卵(前月:2.6%上昇→3.0%上昇)と3カ月連続で加速。食費(前月:1.1%→1.1%)、外食(前月の4.1%→4.1%)と変わらず。ただし、シリアル・パン類(前月:0.5%→0%)は鈍化した。

チャート:食品関連、外食含め全て鈍化傾向

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(出所:Street Insights)

7.0%を占めるエネルギーは前年同月比で1.0%上昇し4カ月連続でプラスとなった。電力・ガス(前月;4.3%上昇→4.1%上昇)と、プラス圏を維持。ただ、ガソリン(前月:2.5%上昇→2.2%の低下)は2カ月連続でマイナスに転じた。

チャート:ガソリンがマイナス圏、食費や家賃も鈍化続く

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(作成:My Big Apple NY)

パウエルFRB議長を始めFedが注目する住宅を除くコアサービス=スーパ―コアは前月比0.2%上昇し、3カ月ぶりにプラスに転換した前年同月比4.5%と、3カ月連続で鈍化した前月のプラス反転も前年比の鈍化も、ドライバーは自動車保険となる。

チャート:スーパ―コア、前月比ではデフレを示唆

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(出所:Street Insights)

チャート:スーパーコア、前年同月比は3ヵ月連続で鈍化

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(出所:Street Insights)

住居も、家賃が2022年4月以来の5%割れやや後退したが、緩やかながら着実に鈍化トレンドをたどる。

チャート:住宅関連のCPI、前年同月比で家賃以外で鈍化トレンドを維持

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(出所:Street Insights)

実質の平均時給は前年同月比で0.7%上昇。前月の0.8%を下回ったとはいえ2023年5月以降のプラス圏を維持した。CPIの鈍化により、名目賃金上昇率が鈍化しているものの、実質賃金の上昇が確保され、消費を下支えしている。

チャート:実質賃金の下落を続けたものの、下げ幅は縮小

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(出所:Street Insights)

以上の結果を踏まえ、FF先物市場では9月FOMCでの0.5%利下げが後退、0.25%利下げ織り込み度が上昇した。

(カバー写真Blink O’fanaye/Flickr

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