景気後退を経て、米国の二極化が加速

by • October 9, 2010 • NY TipsComments (0)359

※お仕事原稿を時間差を置いて更新したものです。通常のおちゃらけ内容と異なりますので、悪しからず。

~富めるものはさらに富み、貧しきはさらに困窮化すすむ~

米国勢局の調査によると、2009年の貧困率は14.3%となり前年の13.2%から上昇した。実に15年ぶりの高水準を記録している。約3億人の人口のうち4360万人が貧困にあえいでおり、その割合は7人に1人。米国の2009年の所得が1.8%減少しており、貧困率を押し上げたとみられる。一方で経済誌フォーブスの調査で明らかになったところ、米国で最もリッチな400人の所得は全体で前年比8%もの増加を達成。米国における富裕層と低所得者層の断層は、さらに深まり続けている。

09年の米個人所得、55都市中52都市が減少の憂き目

経済分析局が8月9日に発表した2009年の米個人所得は、前年比1.8%の減少となり2008年の2.7%の増加から減少へ転じた。2009年と言えば、2008年9月にリーマン・ショックが米国を直撃した後遺症を引きずる年。所得をみると、55大都市別(人口100万人超の都市)では52都市が前年比で所得減少を記録しており、わずか3都市で上昇したに過ぎない。

景気のどん底にあって、所得の増加を達成できた都市はどこかというと、ヴァージニア・ビーチ(ヴァージニア州)、サンアントニオ(テキサス州)、そしてワシントンD.C。米国に詳しい筋ならピンとくるように、すべて政府・軍関係の拠点となっている。ワシントンD.C.は連邦政府の心臓部であることは言わずもがなである一方、ヴァージニア・ビーチには世界最大の海軍基地から空軍基地など軍事基地が密集する。テキサス州サンアントニオも、米独立軍がメキシコ軍と戦った場所で知られる、軍事的な要だ。つまりこの結果を言い返れば、民間職の所得は圧倒的に減少したということになる。事実、政府の所得は実に2.6%増加していたが、民間の所得は6.0%も急減していた。

こうした数字の結果が、貧困率に表れている。米国勢局が9月16日に発表したリリースによると、2009年の貧困率は14.3%と、前年の13.7%から上昇。1994年以来の水準へ悪化していた。また貧困者と高所得者層のギャップも大きく拡大したことが分かっている。2009年において、年収10万ドル以上とされる米国の高所得者層のわずか20%が、米国で発生する所得の49.4%を占めていた。反対に貧困層は3.4%に過ぎない。結果、高所得者層と貧困層との給与ギャップは14.5対1となり、2008年の13.6対1から拡大しただけでなく、過去最大を記録した。1968年に過去最低の示現した7.69対1から、ほぼ倍近くに格差が開いたかたちだ。

9.6%と高止まりを続ける失業率ですら、PR業界に最近就職したばかりのアンジェリーナ・ネルソン氏からは「調べたらパートタイムの主婦ですら被雇用者にカウントされていて実体を表していない」との不満が聞こえる有様。米国民の多くは生活水準を引き下げざるをえず、ウィルソン氏も最近ダウンタウンのアパートを出て、ハーレム近くの友人宅に身を寄せる。ニューヨークの地下鉄でも約1年前をほうふつさせるがごとく、朝のラッシュに合わせて物乞いが出没してきた。そのうちの1人は、白人の20代後半の女性である。

↓ショッピング客でにぎわうメイシーズの近くで、女性の物乞いも

My Big Apple

長者番付上位400人の所得は、逆風でも8%増の快挙

人々の不安、不満、不透明感がくすぶる過去をひもとくと、歴史はひとつの教訓を与えている。ポピュリストの出現であり、現代米国で進行しつつある例がティーパーティーの台頭だろう。共和党の予備選では、デラウェア州の米上院選で勝利したクリスティン・オドネル氏が格好の例だ。彼女は元州知事でエスタブリッシュメントの支持を有する対立候補、マイケル・キャッスル米下院議員を破ったことで知られる。デラウェア州だけでなくスウィング・ステートとして知られるウィスコンシン州の米上院選、そして伝統的にリベラル・ステートであるニューヨークの州知事選の予備選で、それぞれティーパーティー派が当選している。共和党のお抱えケーブル局フォックスは、こうした事態に一計を案じ、看板ニュース・キャスターのビル・オライリー氏を通じ、反ティーパーティー活動を進める有様だ。

米国民のティーパーティーへの傾倒は、富めるものと貧しきものの格差が一段と開いたことが一因として挙げられよう。フォーブス誌の調査によると、2010年版全米の長者番付のうち上位400人の所得は、前年比で8%増加の1.37兆ドルに達した。首位は前年と同じくマイクロソフト創立者のビル・ゲイツ氏で、前年の500億ドルから8%増の540億ドルだった。2位の投資家ウォーレン・バフェット氏も、前年比12.5%増の450億ドルとなっている。
ベスト5をみると、両名の他にコッチ・インダストリーズの経営者チャールズ、デビッドのコッチ兄弟を含め、4人が前年比で増加。4位のウォルマート創業者一家の妻クリスティー・ウォルトン氏が減少するにとどまり、3位でオラクルの最高経営責任者(CEO)のラリー・エリソン氏は横ばいにとどまっている。金融危機を経て、富裕層の資産はびくともしなかったどころか逆風もなんのその、むしろ強さを増したかたちだ。

富裕層の資産増加と貧困率の上昇という、米国で加速する二極化をみると、エアロスミスの名曲「リヴィング・オン・ジ・エッジ」の歌詞が頭に浮かんだ。「いまの世界は何だか分からないけど、何かがおかしい・・・全然驚きじゃないよ、だって僕らはギリギリのところで生きているんだ」。富裕層と低所得者層は、米国大陸という大地の決して交わらない極でそれぞれの生活を営んでいる。(了)

↓そろそろ、ブッシュ前大統領がなつかしくなったりして

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