こんな映画を観た自分が、信じられません。
アメリカ人の友人のお宅にお邪魔したとき、バカ笑いしたいという話になり、映画鑑賞と相成ったわけですよ。コメディにしぼって友人の映画コレクションから絞り込み、人気ドラマ「オフィス」の名脇役レイン・ウィルソンが主演する映画「Super 」に決めました。映画のポスターからして、笑いを誘うような負け犬系・お馬鹿キャラに期待を寄せたんです。負け犬系キャラといえば、ザ・オフィスに主演していたスティーブ・カレルの出世作ですし・・現在の笑いの潮流ど真ん中ですからね。
↓見た瞬間、プッと吹き出したくなるでしょ?でもこれが間違いでした・・。
これが大失敗で・・・。しがないダイナー、つまりは食堂でコックとして働く主人公フランクは、同じ食堂で出会った元中毒患者で刑務所帰りの美人ウェイトレスに出会い、結婚します。ところが彼女は悪い癖を思い出し、その美貌もあいまって地元のドラッグ・ディーラーの元へ去ってしまうのです。絶望の底に突き落とされた彼は、たまたまTVに映っていたスーパーヒーローから着想し、かつ夢の中でお告げを聞いて、つぎはぎでできた深紅のスーツに身を包むスーパーヒーロー「クリムゾン」に変身。世のため、人のために尽くすヒーローとなり、奪われた(と錯覚する)妻の奪回を目指します。
夢のお告げを聞くシーンでは、なぜか巨大タコの足の爪で東部を輪切りにされ、脳みそにケチャップをかけられるシーンが登場するなど、映像は気持ち悪さ全開。素手でちまたの悪者に立ち向かっていたときに、武器が必要と認識してスーパーヒーローを扱うアメコミのお店の女性店員にアドバイスを請うのも、いい加減にして下さい、といいたい。さらには長蛇の列に横入りしたカップルを女性店員の助言を得て手にしたレンチで飛び掛かるのも、不用意な流血シーンがこれでもかと描かれます。ひどい、あまりにひどい・・・。主要キャラの一部が意味なく頭部を半分割られて殺される意味も、まったく理解できません。間違いなく、私の生涯で観た最悪最低の映画でした。
一番意味不明な点は、この映画のメイン・キャラである元ドラッグ中毒の妻にあのリブ・タイラー、リブ・タイラーを操っていた地元のドラッグ元締め役にケビン・ベーコンが出演していたのは、余りにも痛い。リブ・タイラー、ファンタジー大作「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ以降、「超人ハルク」に出演したくらいでしたから、仕事が欲しかったのか・・・。
切ないのは、ケビン・ベーコン。80年代の青春映画の金字塔「フットルース」で世に躍り出た彼は、着実に演技の幅を広げ、ハリウッドの地位を不動のものとしたはず・・・。その冷酷無常なるシャープな表情の奥深くに光るアイスブルーの瞳が悪人キャラには最高だったり。今年の大ヒット映画「Xメン;ファーストクラス」でも、その存在感はいかんなく発揮されたはず・・・なのに、なぜこんな、「Dawn of the Dead」なんてB級映画を作るジェームス・ガンの作品に登場しなければならなかったのでしょう??
↓「Dawn of The Dead 」、B級ホラーの決定版ですな。私は予告でサヨナラです。
ふと思い出すのは、マドフ事件。そう、元NASDAQの会長であるバーナード・マドフが引き起こした史上最大最大規模のねずみ講事件です。ケビン・ベーコン 、女優で妻のキーラ・セドウィックとともに投資を行い、巨額の資金を失ったんですから・・・。彼の事情を考えると、軽いジョークだったかもしれませんが、こんな映画に出演するなんて、同情を禁じえません。
↓ハリウッドきってのおしどり夫婦。奥さんはドラマ「クローザー」で主演中。
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