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共和党大会、締めくくりは「ダーティー」にアノ人が参戦!

by • September 2, 2012 • Latest NewsComments (0)1991

Republican National Convention Left ‘Dirty’ Taste In Our Mouths.

共和党大会は、ハリケーン「アイザック」の直撃を受け1日遅れという波乱の幕開けだっただけに、締めくくりも一筋縄ではいきませんでしたね。

まさか、映画「ダーティー・ハリー」シリーズで知られるハリウッドの大御所+オスカー監督であるクリント・イーストウッドが登場するとは・・・ご記憶の方も多いでしょう、2012年スーパーボウルのハーフタイムで放映されたクリント出演、クライスラーのコマーシャルを。車というアメリカの象徴を通じ、リーマン・ショック後に襲った経済衰退から再起を賭ける姿を映し出し、「後半戦は、これからだ」というクリントの言葉で幕を閉じた作品です。当時はアメリカ人の誇りに呼び起こした類稀なる名作と賞賛を受ける一方で、車のCMというよりは雇用回復を目指すオバマ政権のプロパガンダという批判を受けました。

歴史に残る名作に仕上がったCM、今でも人々の心に刻み込まれていることでしょう。

蓋を開けてみれば、ミット・ロムニー共和党大統領候補の応援にフロリダ州タンパへ駆けつけたクリントさん。スピーチでは即興と思しきドラマで観衆を盛り上げてくれました。空席を壇上に用意しオバマ米大統領が座っているという設定で、インタビューする形式を取ったのです。「大統領、あなたの約束をどうはたすんですか?」といういたって普通の切り口から、クリーン・エネルギーの推進するオバマ米大統領を皮肉りエアフォース1の利用につき「飛行機を使ってもいいとは思うんですがね、あんなガス食い虫で大学を飛び回って学生ローンの話をするのはどうなんでしょうかね」と痛烈な皮肉を浴びせたり。オバマ米大統領が、数々のクリントの質問にぶち切れして、ついには「Go F%ck yourself(くたばっちまえ!)」とFワードを飛ばしたかと仮定する場面も。まるで毒を飲んだかのように苦々しい顔を作るクリントは、「I can’t do that to myself(そんなことでいったって知りませんよ)」だなんて、芝居っ気たっぷりに応じてましたっけ。

スピーチが終焉に近づくと、「もし誰かが仕事をしないんなら、そんな奴らを辞めさせなくちゃいけない(when somebody doesn’t do the job, you gotta let them go)」と目を光らせます。もちろんキメ台詞は「Go ahead, make my day!(日本語訳では『やれよ、楽しませてくれ』)」。クリントの名演技に酔った会場の共和党員は、「Make my day」を大合唱してました。

翌日のNYポスト紙は、ミットではなくクリントが一面に!

会場は盛り上がったかもしれませんが、党大会の会場から一歩外へ出ると受け取り方は正反対。クリントの架空のオバマ米大統領へ語りかけるインタビュー形式のスピーチは、特に民主党寄りのMSNBCに格好のエサを投げつけたも同然となりました。同局の政治専門家は「disaster(最悪)」、「茶番劇」とこき下ろしてましたよ。政治情報サイトのポリティコによると、共和党寄りのフォックス・ニュースですら、扱いをスルーしたといいます。MSNBCの論客で冠番組をもつレイチェル・マドウと共和党のストラテジスト、スティーブ・シュミットが意見の一致をみたのは、「82歳の高齢なのだから」でした・・・。

クリントのスピーチがいかに間が悪かったかは、その後に登壇したフロリダ州選出の米上院議員でかつヒスパニック系ということで副大統領候補にも名が挙がったマイク・ルビオ氏のひと言で明らかにしてくれます。ルビオ議員はクリントが12分間のスピーチでノドを潤した水を差し「僕も今、クリントが口にした水を飲んだよ」とジョークで流さなければなりませんでした。

クリントが満を辞して共和党大会に加勢に来たのに散々な結果となったおかげか、共和党大会後の世論調査(ロイターとIPSOS)では45%でオバマ米大統領とロムニー候補の支持率が同率でした。1週間前にロムニー候補が46%と、オバマ米大統領の42%に水をあけていたのですが・・

ロムニー陣営がクリントに声をかけたのは、分からないのでもないのですよ。だってクリントは共和党寄りとはいえ、中絶賛成、同性婚賛成ですからライアン副大統領候補を指名した後で、1)高齢層の支持、2)リベラル寄りへの歩み寄り--をみせたかったのでしょう。ロムニー候補がかつて中絶賛成、同性婚賛成だったこととかぶりますしね。しかし、クリントのスピーチはロムニー陣営の目論見とは正反対の方向で大きな注目を浴び、ロムニー候補の「家族」に重点を置いた指名受諾演説への注目は皆無に等しいものとなりました。

オバマ米大統領はクリントのスピーチに対し「This seat’s taken」と反撃。クリントのファンと語る余裕もみせつけました。

今回、むしろ世間からの評価をグッと上げたとされるのはアン・ロムニー夫人。男女同権のしがらみを点く実に見事な演説で、WSJ紙も「Stunning(素晴らしい!)」と賞賛してました。真っ赤な口紅に真っ赤なワンピースが印象的で、影の薄さを打ち消した点もお見事だったでしょう。共和党大会では愛を謡い、「ミットとは若くして結婚して、地下室で新生活を始めたのよ」なんてお涙頂戴のエピソードで共感をあおりまくり、「アメリカはミットを必要としています」と締めくくったアン。乳がんや多発性硬化症という難病を克服し5人の子供を育て上げた「実績」もあって、今後さらに注目されること間違いなしでしょう。

スピーチ後にはミットとキス。ミットの唇が赤く染まっていなかったところに計算を感じてしまう。

彼女のファッション・センスについてVOGUE誌がどう評価するのかと思ったら、アンは同誌のインタビューを断っていたのですね。アナ・ウィンター編集長が民主党寄りでオバマ米大統領へも惜しみない寄付を送っているためか、サラ・ペイリン元副大統領候補などを扱ったときに政治理念よりファッション・テイストなど彼女を包む衣装に視点が置かれたからなのかは、謎。VOGUE誌自体が華美で絢爛なので、「資産家の妻」というレッテルを貼られるのを嫌ったのかもしれません。VOGUE誌面では、いかんなく「愛と人間性」を発揮できないと判断したのか。VOGUE誌のリーダーが必ずしも専業主婦ではない点も、一因なんでしょうかね。

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