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リスク許容度の低下をたどる映画界、これだけの事実

by • November 20, 2012 • Gossip, Latest NewsComments (0)1848

Movie Industry Has Lost Appetite For Risks Like Wall Street.

2008年9月に発生した金融危機が全世界を震撼させてから、投資スタイルは変化を遂げました。超低金利時代を迎えながら、債券投資が定着して久しい。国際投資信託協会(ICI)のデータをみると、米国株が上昇する局面でも米株投信フローは約4ヵ月も売り越しの状態。債券の投信フローがほぼ半年も買い越しである実態を踏まえると、リスクテークを嫌う兆候が見て取れます。

投資の世界だけでなく、映画の世界でもリスク許容度の低下がアリアリとうかがえます。以前にお話したキマシアさんが直面する映画化への資金調達難も、その一環といえるでしょう。反対にリスクの低い映画は、アメリカでもどんどん世に送り出されていますよね。ホラー映画がその典型のひとつといえるでしょう。なぜなら3つのセオリーが証明されているから。すなわち

1)無名の俳優でOK

2)低予算で撮影可能

3)確実にリターンが期待できる

というゆるぎない事実があるから。

その究極の例が、1999年にアメリカで公開され日本をも震撼させた「ブレア・ウィッチ・プロジェクト(The Blair Witch Project)」。予算2万2000ドル(178万円)と日産マーチが買えるくらいの金額で制作した映画、2億4865万ドルと途方もないリターンをもたらしたわけですから金の成る木に変貌する期待も大きい。続編というおいしいおまけもついてくるので、なおさらです。キマシアさんが自身の作品「The Good Citizen(s)」を映画化する前に、友人からホラー映画のメガホンを取ることを勧められたのも、納得ですな。

ブレア・ウィッチといえばこのシーン、何度パロディされたことか・・。

映画界がリスクを回避している2つ目の証左は、ご存知の通りアメコミの実写化。昔からコアのファンを有するだけに、スパイダーマン、バットマン、アベンジャーズなどは全て大ヒットを記録しましたね。特に「アベンジャーズ(The Avengers)」は、公開初週で2億74万ド(163億円)を叩き出し、これまでの過去最高だった「ハリー・ポッターと死の秘法パート2(Harry Potter and the Deathly Hallows)」の1億6920万ドル(137億円)を軽く超えていきました。

アニメ、リメイクやシリーズ作はもちろんのこと・・・リスクを嫌う映画界が重宝しているのが、勧善懲悪モノではないでしょうか。今年は「ハンガーゲーム(The Hunger Games)」、「トータル・リコール(Total Recall)」と貧富の格差がストーリーの軸であり、格差撲滅運動とされる「ウォールストリートを占拠せよ!」が一大ムーブメントとなった世相とマッチしていた感があります。

2012年の公開初週トップ3、勧善懲悪モノが勢ぞろいですよね~。

2012年
1位 ザ・アベンジャーズ(The Avengers)
2位 ダークナイト・ライジング(The Dark Knight Rises)
3位 ハンガー・ゲーム(The Hunger Games)

ちなみに以下は2009年から2011年の興行成績トップ3。恋愛モノはトワイライト・シリーズのみですか。ヒューマン・ドラマは完全に鳴りを潜めてます。

2009年
1位 アバター(Avatar)
2位 トランスフォーマーズ/リベンジ(Transformers:Revenge Of The Fallen)
3位 ハリー・ポッターと謎のプリンス(Harry Potter And The Half-Blood Prince)

2010年
1位 トイ・ストーリー3(Toy Story 3)
2位 アリス・イン・ワンダーランド(Alice In Wonderland)
3位 アイアン・マン2(Iron Man 2)

2011年
1位 ハリー・ポッターと死の秘法パート2(Harry Potter and the Deathly Hallows)
2位 トランスフォーマーズ・(Transformers:Dark Of The Moon)
3位 トワイライト・サーガ(The Twilight Saga:Breaking Dawn Part 2)

こうみると、2006年と2005年はまだ想像力があったといいますか・・。

2006年
1位 パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト、(Pirates of the Caribbean: Dead Man’s Chest)
2位 ナイト・アット・ザ・ミュージアム(Night at the Museum)
3位 カーズ(Cars)

2005年
1位 スターウォーズ・エピソード3/シスの復讐(Star Wars: Episode III – Revenge of the Sith)
2位 ナルニア国物語、ライオンと魔女(The Chronicles of Narnia: The Lion, the Witch and the Wardrobe)
3位 ハリー・ポッターと炎のゴブレット(Harry Potter and the Goblet of Fire)

長々と失礼いたします、最後にこれだけ。歴代の映画ポスターをみて、気づいたことはありませんか?

たとえば、1997年の名作タイタニック。

女性のバイブル、SATC。

太平洋戦争を描いたご存知、硫黄島からの手紙。

デザイナーさんじゃなくっても、一発で見抜けるかもですね。そう、これら全部、使っているタイトルのフォントがTrajanでぜ~んぶ一緒なんです。どんな名作でもポスター作りに想像力が発揮されてないと分かると、ちょっと感動が薄れてしまう気がするのは、私だけでしょうか。

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