Back To School Sale May Score Grade F.
バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が議会証言で17日、資産買入につき「既定路線はない」と発言しました。ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙のFed番記者であるヒルゼンラスをして「ハト派寄り」と解釈させる内容でした。バーナンキ議長の脳裏には労働市場、インフレ、財政政策という3つの要因だけでなく、消費動向への不透明感が横切っていたのかもしれません。
15日発表の米6月小売売上高は前月比0.4%増となり、市場予想の0.8%増に届かず。4ヵ月ぶりに高い伸びとなった前月の0.5%増(0.6%増から下方修正)も下回っていました。
このサイトでおなじみのJPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、結果を踏まえ「今回は自動車とガソリンが消費を押し上げており、この2つを除いた場合の小売売上高は前月比0.1%減と年初来で初めての減少を示す」と指摘。また「コア小売売上高(自動車、ガソリン、建築材除く)も0.1%増と小幅にとどまり過去分も下方修正され、1-6月期ベースでも2012年に7回上回った0.3%増の水準にも届かなかった」といいます。
給与税増税や高所得者層を中心とした所得税増税の負担が尾を引き消費が鈍化するなか、同エコノミストによると米4-6月期消費自体も「従来の予想1.7%増を下回る1.3%増になると試算でき、同期国内総生産(GDP)の予想である1.0%増を下回るリスクが出てきた」とまとめていました。JPモルガンは小売売上高が発表される前週末時点で同期GDP予想を従来の2.0%増から1.0%増へ引き下げていたにも関わらず、さらに見通しに慎重さをにじませたかたちです。
消費への懸念は、今夏も続きます。
9月に新学期が始まるアメリカでは、親御さんが7月から8月末の夏休みの間が新学期の準備に取り組みます。これが、いわゆる新学期セール。11月末からクリスマスまでのホリデー・シーズンに次ぐ重要な商戦なんですね。そんな新学期セール動向については、あらゆるデータで視界不明瞭な兆候が現れているんです。
バロンズ誌が小売系調査会社のカスタマー・グロス・パートナーズの調査を元に報じたところ、7月から8月末まで親御さんが新学期を迎えるわが子のために準備する新学期セールは今年、前年比3.4%増となる見通しです。2012年の4.2%増、2011年の6.2%増を下回り、2009年以来の低水準にとどまるんですって。クレイグ・ジョンソン社長は、伸び鈍化の一因が「個人所得」と指摘。年初来で「前年比1%以下」であるとして、財布の紐が堅くなっていると説明しておりました。
金融危機後、週当たり労働時間35時間のパートタイム労働者がフルアイムを逆転してますもの。
(出所:Houston Chronicle)
新学期セール、減少していないだけマシじゃないかと思ったあなた。全米小売業協会(NRF)の予想をチェックしてみて下さい。
今年の新学期セール総額予想は、7250億ドル(72兆6650億円)。2012年の8380億ドル(83兆9676円)から、13.5%減と前年割れとなる見通しなんですよ。1世帯当たりでは634.78ドル(6万3600円)と、2012年の688.62ドル(6万9000円)から7.8%減少します。調査対象の10世帯のうち、8世帯が「経済的理由」を挙げておりました。大学入学生を抱える世帯の出費額も836.83ドル(8万3850円)と、前年の907.22ドル(9万90円)を7.8%下回ってます。800ドル台って、ラップトップを買って終わりの金額ですよ。予算が切り詰められるため、大衆系デパートのメイシーズはベッド一式セットが75%オフの状態なんだとか。
新学期セールの行方をにらみ、各州で消費税を一時的に免税する措置を発表しています。ピュー・チャリタブル・トラストの調査では、50州のうち一時的な消費税免税を発表した州はコネティカット州をはじめフロリダ州、アラバマ州、テキサス州など現時点で17州。州政府すら、お買い物にインセンティブを与える必要性を感じるほど切羽詰まっているんですね。
ノースカロライナ州の場合はパソコン3500ドルまでが減税対象なほか、新学期セール後も消費税免除。
GDPの7割を占める消費が覚束ないとあってバーナンキさん率いるFed、大胆に出口政策のファンファーレを奏でられないんでしょう。
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