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米7月雇用統計、生ぬるい回復を再確認

by • August 2, 2013 • Latest NewsComments (0)1463

July Jobs Report Shows Lukewarm Recovery.

米7月雇用統計、発表されました。ざっくり内容をおさらいしますね。

米7月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比16.2万人増となり、市場予想の18.5万人増より弱い結果となった。前月の18.8万人増(19.5万人増から下方修正)を下回り、4ヵ月ぶり低水準。バーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が失業率が低下する増加ペースの「15万人増」も超えたものの伸びを鈍化させている。過去2ヵ月分の修正は、2.6万人減だった。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が16.1万人増となり市場予想の19.5万人増より弱い内容だった。前月の19.6万人増(20.2万人増から下方修正)以下となり、4ヵ月ぶり低水準。2桁増トレンドは12ヵ月連続となる。サービスは15.7万人増と前月の18.8万人増を下回り、4ヵ月ぶりの低い伸びにとどまった。財生産業は0.4万人増となり、前月の0.8万人増以下にとどまりつつ2ヵ月連続で増加した。建設が0.6万人減と前月の増加を打ち消している。反対に製造業は米7月ISM製造業景況指数が約2年ぶりの高水準を達成するなか、0.6万人増と5ヵ月ぶりに増加に転じた。 政府は強制歳出削減が3月から始動しながら、0.1万人増と3ヵ月ぶりに増加した。連邦政府が0.2万人減と3ヵ月連続で減少も、州・地方政府が補った。

時間当たり平均の労働賃金は、市場予想の前月比0.2%の上昇より弱い0.1%低下の23.98ドルとなった。2008年11月以来の高水準を示した6月の0.4%を下回り、2012年10月以来のマイナスに落ち込んでいる。前年比も市場予想の2.2%を下回るの1.9%。前月の2.1%(2.2%から下方修正)を下回り、4ヵ月ぶりに2%を割り込んだ。週当たりの平均労働時間は、市場予想および前月の34.5時間を下回り、34.4時間。製造業は雇用が増加に転じたものの、前月の40.8時間から40.6時間へ短縮し全体を押し下げた。

失業率は、市場予想の7.5%より強い7.4%。前月の7.6%を下回り、2008年11月以来の水準へ改善している。もっとも、労働参加率が前月の63.5%から63.4%へ低下し1979年以来の低水準である4月の63.3%に接近したことが一因。同時に失業者数が前月比26.3万人減と3ヵ月ぶりに大幅減となったほか、就業者数も22.7万人増と4ヵ月連続で増加していた。雇用率は前月の58.7%で変わらず。平均失業期間は、前月の35.6日から36.6日へ延びた。一方で、経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている失業率は前月の14.3%から14.0%へ低下した。

失業率は着実に低下・・でも、労働参加率が改善していないのが難点。

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(出所:WSJ)

決して悪くはない内容ながら、生ぬるさ加減は否めず・・・。

エコノミストの評価をみてみましょう。

▽エコノミック・アドバイザリーのエコノミスト、マニンダー・シビア氏

予想を小幅に下回る内容だったが、毎月18万-19万人増付近の増加トレンドをたどっており、経済成長が2%増への道筋にある。9月にQE縮小に踏み切るとの予想を維持する。

▽JPモルガン・チェースのマイケル・フェローリ米主席エコノミスト

決して悪い内容ではなく、9月にQEを縮小するとの見通しを維持する。7-9月期国内総生産(GDP)の予想も2.5%増で据え置き4-6月期の1.7%増、1-3月期の1.1%増からの回復を見込むが、米6月個人消費支出・所得と合わせると成長には下方リスクが出てきた。時間当たり賃金が5-7月の3ヵ月比年率で1.5%増とにとどまるほか、平均労働時間の短縮もあり給与は2%程度の伸びとなる見通し。7月の家庭調査で就業者数が前月比22.7万人増だったとはいえ、パートタイムが大半だった。所得の伸びが鈍化すると見込まれ、消費支出とともに企業利益を圧迫する可能性がある。

▽BNPパリバのジュリア・コロナド米国担当主席エコノミスト

失業率の低下は労働参加率が一因であり、労働賃金も前月分の大幅上昇の反動で低下しており、労働市場の回復ペースは加速しているとはいえない。米4-6月期国内総生産(GDP)が1.7%増、1-3月期も1.1%増にとどまる割りに雇用統計・NFPは堅調だが「GDPとNFPには慣例としてラグが生じることもあり、米連邦公開市場委員会(FOMC)は9月の資産買入縮小を見送るのではないか。FOMCでは、12月の買い入れ縮小見通しを維持したかたちだ。

以上をみるとFOMCの9月QE縮小は依然として、メインシナリオでございます。ただ楽観的な見通しは後退気味であるため、QE縮小後も低金利は継続するとの見通しが行間からにじみ出ています。株価にはプラスであり、今月いっぱいは強気相場を維持しそうなモメンタムといえそうです。

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