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FOMC、イエレンFRB議長のデビュー戦を予想

by • March 17, 2014 • Latest NewsComments (0)1449

Yellen’s Debut At Fed : 3 Things To Watch.

米連邦公開市場委員会(FOMC)、いよいよ18-19日ですね。

100億ドルのテーパリング追加実施が広く予想されるなか、今回の注目は1)フォワード・ガイダンスの改定、3)経済・政策金利見通し、3)イエレンFRB議長の記者会見デビュー、となります。

1)フォワード・ガイダンス
→バーナンキFRB前議長率いるFOMCはフォワード・ガイダンスを時間軸の「2015年半ば」から、2012年12月に声明文にて「失業率6.5%以下、インフレ率2.5%以上」で第1弾の利上げに踏み切るという数値目標へさらっと転換した実績がある。1月FOMC声明文で「委員会は同時に労働市場をはじめインフレ圧力やインフレ見通し、そして金融市場の動向を評価する方策などを追加的に検討していく」と明記していたことを踏まえると今回、新たに付帯条件を課してくる公算が大きい。内容によって、利上げ時期の思惑が変わってくるの点には要注意だろう。ちなみにインフレ下限設定は声明文でほぼ実施済みと言え、今回は対象に加えていない。

選択肢①不完全失業率
→アトランタ連銀のロックハート総裁が「影の労働力(shadow labor force)」と呼ぶ、不完全失業者が有力候補。フルタイムを希望するもののパートタイムを余儀なくされているカテゴリーについてはイエレンFRB議長を始め、ハト派寄りとして知られるボストン連銀のローゼングレン総裁も言及済み。足元で不完全失業率は12.6%と2008年11月の水準まで回復しており、利上げ期待を前倒しさせる可能性がくすぶる。

不完全失業者は、金融危機後に増加しただけにFedも注目。
marginally attached workers
(出所 : marketrealist)

選択肢②短期失業率
→ブルームバーグによるとRBSセキュリティーズの米国担当チーフエコノミスト、ミシェル・ジラード氏は短期失業率の低下を通じ、賃金が押し上げられると予想する。実際に短期失業率は過去50年間を下回っており、仮に採用されれば利上げ期待を前倒しさせやすい。一方で26週を超えて仕事のない長期失業者は2月の失業者数の約37%を占め、前回のリセッション(景気後退)が始まる以前の20年間平均である16%を大幅に上回っている点が問題か。

選択肢③賃金動向
→インフレと直結する賃金は、見逃せない。2月雇用統計の結果をみると生産・非幹従業員の時間当たり賃金は前年比で2.5%上昇の20.50ドルだった半面、週当たり賃金では前年比1.0%低下していた。動向はまちまちで、中立寄りの選択肢といえる。一方で賃金を参考にするといえば、「賃金の伸び率が高過ぎるため利上げします」と宣言するようなもの。米議会からの反発は必至とみられ、インフレ率につなげた方向を見出すか。

2)経済・政策金利見通し
→成長率は2013年7-9月期に4.1%増、同10-12月期に2.4%増だったものの、1-3月期に2%前後へ鈍化する見通し。2014年のレンジが下方修正される余地が残る。PCEデフレーターは2013年春から1%±0.3%ポイント内が続いており、こちらも2014年を軸に下限引き下げか。失業率は1、2月で6.6%、6.7%まで低下しており微調整が入るだろう。

前回2013年12月時点の見通し、()内は前回同年9月時点の数字
失業率 長期的失業率見通しは5.2-5.8%(前回5.2-6.0%)
2013年 7.0-7.1%(9月時点7.1-7.3%)
2014年 6.3-6.6%(9月時点6.4-6.8%)
2015年 5.8-6.1%(9月時点5.9-6.2%)
2016年 5.3-5.8%(9月時点5.4-5.9%)

インフレ(PCE) 長期的見通し2.0%(前回は2.0%)
2013年 0.9-1.0%(9月時点1.1-1.2%)
2014年 1.4-1.6%(9月時点1.3-1.8%)
2015年 1.5-2.0%(9月時点1.6-2.0%)
2016年 1.7-2.0%(9月時点1.7-2.0%)

コアインフレ(食品・エネルギーを除くPCE)
2013年 1.1-1.2%(9月時点1.2-1.3%)
2014年 1.4-1.6%(9月時点1.5-1.7%)
2015年 1.6-2.0%(9月時点1.7-2.0%)
2016年 1.8-2.0%(9月時点1.9-2.0%)

FF金利見通しは、バーナンキ氏が去った程度で前回から大幅な変更の可能性は低いとみる。

3)イエレンFRB議長の記者会見
JPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、数値目標の修正が政策スタンスの変更にならないよう細心の注意を払うと予想する。まるで、インディ・ジョーンズが(映画レイダース/失われたアークで)黄金像と砂袋をすり替えたように。映画では、すり替えが失敗するのだが・・・。

以上、FOMCの予想をざっとお届けしました。

(カバー写真 : New York Post)

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