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リセッション後の米雇用創出、けん引役は低賃金の職

by • August 21, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off2333

Lower-wage Industries Where Jobs Were Created Since Recession.

アメリカ人がいかに有給休暇に消極的か、調査結果をお知らせいたしました。理由別ランキングでは、「有給休暇を取る余裕がない」との回答が3位でしたよね。

このデータをみると、切実な現状が浮かび上がってきます。

非営利団体である米国雇用法プロジェクト(National Employment Law Project 、NELP)の調査では、2013年7月から2014年7月の1年間で新規創出された雇用のうち、低賃金の職(時給9.48−13.33ドル、982—1380円)の割合が41%に達していました。リセッション入りした当時から230万人増加したといいます。

ミドルクラス賃金の職(時給13.73−22.00ドル、1420—2277円)は26%と、景気後退の開始時点から69万8000人減少。高賃金の職(時給20.03—32.62ドル、2073—3376円)は33%を占め、52万2000人減少していたのです。リセッション初期から増加を遂げていたのは、低賃金の職のみでした。

賃金自体も、低下基調を強めています。実質時間当たり賃金は、2009年から2013年にかけ平均で3.4%低下していました。

2009年と2013年の比較をご覧下さい。

nelp
(出所:NELP)

低賃金に属する職種ほど下落率が著しい一方で、高ければ高いほど下落率は小幅にとどまっています。まるで日本の賃金デフレをみるようですね。

2009−2013年で賃金の落ち込みが目立った職業は、被雇用者数別ランキングで以下の通り。左から職業、被雇用者数、時給、下落率となります。

1. 小売販売員:448万5180人 $10.20(1055円) 4.2%下落
2. レジ係:334万3470人 $9.15(948円)2.3%下落
3. ファストフードを含む食品関連の接客:302万2880人 $8.84(915円) 2.3%下落
4. ウェイター/ウェイトレス:240万3960人 $8.97(928円) 3.5%下落
5. 在庫・注文係 :180万410人 $10.85(1123円)1.5%下落
6. 介護員:113万5470人 $9.70(円) 6.3%下落
7. 料理人:105万7550人 $10.69(1106円)8.3%下落
8. メイド/清掃係:91万7470人 $9.54(987円) 5.8%下落
9. 食品準備係:82万4080人 $9.38(970円) 6.3%下落
10. 住宅介護員:80万6710人 $10.14(1050円)5.8%下落

こうしてみると、マクドナルドやウォルマートなど中低所得者層向け企業の決算が芳しくないのも頷ける。日本化=ジャパナイゼーションの波は、静かに着実にアメリカで浸透しつつあります。

(カバー写真 : David Tan)

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