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米7月個人消費支出は予想外に減少、7−9月期GDPの鈍化示唆

by • August 29, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off1920

Consumer Spending Dips In July : Suggesting Slower Growth In Q3.

米7月個人消費支出は前月比0.1%減となり、市場予想の0.2%増より弱い結果となった。前月の0.4%増を下回り、6ヵ月ぶりにマイナスに落ち込んでいる。

消費の内訳は、以下の通り。
・耐久財 0.7%減、前月の1.0%増から転じ3ヵ月ぶりに減少
・非耐久財 0.1%減、前月の0.2%増から転じ足元久々に減少
・サービス 0.01%減、前月の0.2%増から転じ足元久々に減少

耐久財は他消費の落ち込み、好調な自動車販売の足を引っ張った。非耐久財は、ガソリン価格の下落に加え平年を下回る気温で冷房需要が後退し減少を促している。サービスは、わずかな減少にとどまった。

ビーチに出掛ける人々も、今年は少なめ?
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(出所: Boston Globe)

米7月個人所得は前月比0.2%増となり、市場予想の0.3%増より弱い結果となった。前月の0.4%増を下回りつつ、7ヵ月連続で増加。可処分所得は6月まで3ヵ月連続で0.5%増を経て、0.1%増へ鈍化。貯蓄率は支出が減少した分、むしろ前月の5.3%を上回り5.7%と2012年12月以来の高水準を示した。

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金・所得 0.2%増、前月の0.4%増を下回りつつ7ヵ月連続で増加
(民間が0.2%増と過去7ヵ月間で最小の伸び、サービスは0.3%増、財生産業は横ばい、政府は0.1%増)
・不動産収入 0.2%減、前月の0.9%増を下回り8ヵ月ぶりに減少
(農場が11.8%減と3ヵ月ぶりにマイナス、非農場は0.5%と2ヵ月連続で増加)
・家賃収入 0.9%増、前月の0.6%増を上回り17ヵ月連続で増加
・資産収入 0.1%増、前月の0.6%増を下回りつつ6ヵ月連続で増加
(配当は0.4%増と6ヵ月連続で増加、金利収入は0.1%減と4ヵ月ぶりに減少)
・社会福祉 0.3%増、前月の0.4%増を下回り増加トレンドを維持
(メディケイド=低所得者層向け医療保険が1.4%増と7ヵ月連続で増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と、前月の0.4%増を下回りつつ4ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.2%増、前月の0.3%増を下回り少なくとも8ヵ月連続で増加

米7月個人消費支出(PCE)デフレーターは、前月比0.1%の上昇で市場予想と一致した。前月の0.2%には届かず。前年比は1.6%の上昇と、前月と変わらなかった。PCEコアデフレーターは市場予想と6月の数値通り、前月比0.1%。前年比は市場予想と一致し、3ヵ月連続で1.5%と2013年2月以来の高水準を維持した。とはいえPCEデフレーターとともに、米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」からかい離した水準を維持。「2%」割れは、そろって2012年5月以来となる。

JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、今回の結果に対し「電力消費は8月に多少持ち直すとしても、サービスを含め消費は全般的に弱い」と振り返った。その上で「米7−9月期消費見通しを従来の2.5%増から2.0%増」へ下方修正。米7−9月期国内総生産(GDP)も、「当方の予想3.0%増を下回るリスクが出てきた」としている。PCEデフレーターに対しては「4月や5月の上振れが一時的だったことを確認した」とまとめた。

バークレイズのマイケル・ギャピン米エコノミストも、成長見通しを下方修正した。米7−9月期GDP予想を「従来の2.7%増から2.2%増」へ引き下げている。

以上の結果をみると、米8月消費者信頼感指数が現況指数に押し上げられ2007年10月以来の高水準だったのが不思議なほどです。貯蓄率の増加に現れている通り、見通し指数は小幅に鈍化し楽観まっしぐらということでもなさそうですが。米8月ミシガン大学消費者信頼感指数・改定値も、2007年10月以来で最高。現況指数がけん引し、見通し指数は伸び悩んでいましたね。現況指数は米新規失業申請件数の改善、低金利、株価上昇——で支えられていますが、見通し指数のズレが今後広がっていくのか気になります。

(カバー写真 : AP)

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