Hong Kong press freedom march

香港の民主化デモ、ウォールストリートの認識は?

by • September 30, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off3472

Hong Kong Democracy Protest : How Wall Street Sees it?

香港の民主化デモ、6日目に突入し収まる気配は一切感じられません。

初めて直接選挙で香港行政長官の選出が可能と聞いて喜んだのも束の間、候補者は中国政府が実質組織する指名委員会が認可した人物のみなんて騙し討ちに遭えば猛反発せずにいられませんよね。ホワイトハウスにも救いを求めており、嘆願書サイトでのヘッドラインは「Support Hong Kong Democracy and Prevent A Second Tiananmen Massacre in Hong Kong」。あえて「crackdown=弾圧」ではなく「第2の天安門大虐殺(=massacre)を回避すべく」と明記しています。中国政府が民主的な選挙を実施するよう、オバマ米大統領に働きかけるにあたって十分センセーショナルな言葉を選んでいました。

全世界が固唾をのんで見守る民主化デモ。中国建国を祝う10月1日の国慶節と重陽節を前に沈静化の兆しがみえないなか、化粧品大手ロレアルは10月6日まで香港への出張禁止を決定しました。こうした企業の動きが加速すれば、航空・輸送、小売、ホテル業界などを中心に香港経済を直撃すること必至です。

「1つの国、2つのシステム(One Country, Two Systems)」というスローガンを掲げ、1997年に中国へ返還された香港。こちらをみると億万長者が集まる富裕地域であることは間違いない一方で、若年層の虐げられた実体が浮かび上がっています。2013年と古いデータですが15—24歳の6−8月期失業率は9.4%と、全体の3.3%の3倍近くに及んでいました。アメリカと同じくIT関連や建設部門をはじめとした特殊技能職で労働不足が指摘される半面、経験不足で学位のない若者の肩には厳しい現実がのしかかっています。

しかも香港政府が最低賃金条例を導入したのは2011年5月と、まだ日が浅い。導入時の時給=28香港ドル(395円)から30香港ドル(420円)まで引き上げられたとはいえ、スターバックスのトール・コーヒー代金27.50ドル香港以下とあってないような水準ですから低賃金労働者の実体は極めて苛酷といえます。これでは若手層を中心に、格差撲滅運動「ウォール街を占拠せよ!(Occupy Wall Street)」から派生した「中環を占拠せよ!(Occupy Central)」が勢いを増すはずですよ。

こうした香港の状況をよそに、米株相場の反応は限定的。29日の寄り付き直後こそ約180ドル急落したものの、以降は月末・四半期末のドレッシング買いもあって小康状態をキープしています。

なぜかは、こちらをご覧になって頂ければひと目でご理解頂けるかと。

hk-poll
(出所:CNBC)

アメリカ人の49%は、香港が中国経済にとって「重要な地位を占めていない」と認識しているんです。サンプル数が1750人と小規模とはいえ、アメリカ人の楽観的な志向もあって下値を拾ってくるのは納得。米株相場が「アラブの春」で耐性を実証したせいもあるのでしょう。あの頃と比較して、Fedが出口政策入りに向かっていながら底堅さを示すはずです。

ちなみに筆者のフェイスブック上でもあまり取り上げられず、中国系アメリカ人は静観を決め込む方々が多いんですよね。まあ香港系や台湾系でなければ「母国の悪口は言えない」という立場なのかもしれませんが・・・。

(カバー写真:Nation Of Change)

Comments

comments

Pin It

Related Posts

Comments are closed.