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米8月住宅価格指数は予想以上も、住宅建設の受注軒数は軟調

by • October 23, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off1874

FHFA House Price Index Highest In Five Months.

米住宅金融公社(FHFA)が発表した米8月住宅価格指数は前月比0.5%の上昇となり、市場予想の0.3%より強い結果となった。9ヵ月連続でプラスを遂げ、前月の0.2%(0.1%から上方修正)も超えている。5ヵ月ぶり高水準となった。前年比では4.8%の上昇を示し、前月の4.6%を上回る。ただし2013年5月の8.6%から、鈍化トレンドを維持した。2005年国勢調査ベースの9地域別中では7地域で上昇し、前月と横ばいだった。

バークレイズのエコノミストは、結果を受け「2014年の伸びが鈍化するというのは規定路線で、同社の予想と整合的」とまとめた。

S&P/ケースシラーやコアロジックでも、住宅価格の鈍化は明らか。
barclays
(出所:Barclays)

なおこの住宅価格指数は、S&P/ケース・シラー住宅価格指数とは対象が異なる。米連邦住宅貸付機関監督局(OFHEO)傘下のFHFAの場合はプライム層向けの住宅価格がメインで、融資額が政府保証機関(GSE)の買取基準額を超えるジャンボローンや、低所得者層向けのサブプライムを含んでいない。従って数字自体は現状より強めの数字が出ると言われている。こうした背景からFHFAは2011年6月分から、フレディマックやファニーメイなどGSE以外のローンを含んだ住宅価格指数を拡大版として、公表を開始した。

——以上、住宅価格の上昇が予想を上回りつつ前年比では引き続き伸び鈍化を示すなか、米住宅建設会社3位のパルト・グループはこんな決算を発表しました。

パルトグループがが寄り前に発表した7−9月(第3四半期)決算では、純利益が前年同期比94%減の1億4050万ドルだった。税制優遇を通じた21億ドル相当の押し上げ効果がはく落し、大幅減益を計上している。1株当たり利益は37セントと、市場予想の36セントより強い。売上高は0.8%増の15億9000万ドルと、市場予想と一致した 。

金融サービスを除いた住宅売上高は、4%増の15億5000万ドル。平均住宅販売価格が8%上昇の33万4000ドルと寄与したが、4−6月期の12%および2013年7−9月期の11%から伸びを縮小し、約2年ぶりの低水準を示す。引き渡し軒数も4%減の4646軒と、価格上昇を反映して減少した。新規住宅受注軒数も、 0.1%減の3779軒と価格上昇が仇に。新規受注額は販売価格の上昇に支えられ、3.3%増の12億5000万ドルだった。

——はい、決算こそ好調でした。ただし1)住宅価格の上昇率縮小、2)引き渡し軒数の減少、3)新規受注軒数の鈍化——が確認されています。これまでの価格上昇が「行き過ぎ」と判断され、住宅市場に調整しつつあるように見受けられます。

それもそのはず。米4−6月期国内総生産(GDP)が4.6%増と3期ぶりの高水準で7−9月期も3.1%増と堅調な伸びが期待される一方、潜在的な住宅買い手は賃金の伸び低迷が示すように成長拡大の恩恵を受けているとは言い難い。ウェルズ・ファーゴをはじめ銀行決算で明らかになったように住宅ローン組成額も前年比ベースでの減少を維持しており、住宅市場が勢いづく兆候はみられません。

(カバー写真 : Wahaonline)

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