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米10月中古住宅販売、1年ぶり高水準でも安心できない理由

by • November 20, 2014 • Finance, Latest NewsComments Off1900

October Existing Home Hits Highest In A Year As Investors Emerge.

全米リアルター協会(NAR)が発表した米10月中古住宅販売件数は526万件となり、市場予想の517万件から加速した。前月の518万件(517万件から上方修正)を1.5%上回り、2013年9月以来の高水準を果たす。過去6ヵ月間で5回目の増加を示した。前年比では2.5%増と、1年ぶりに増加に反転。金利上昇を懸念した2013年半ばからのソフトパッチから、ようやく切り返しつつある。

内訳をみると、一戸建てが前月比1.3%増の463万件、複合住宅も3.3%増の63万件とそれぞれ2ヵ月連続で増加した。

4大地域別では、9月に続き3地域が増加。今回は9月に3ヵ月ぶりの減少をみせた中西部が5.1%増の124万件となり、全体の伸びをけん引。南部は2.8%増(2ヵ月連続で増加)の217万件、北東部は2.9%増(3ヵ月連続で増加)の71万件となる。反対に西部は5.0%減の114万件となり、前月の7.1%増から減少に転じた。

在庫件数は、前月比2.6%減の222万件と2ヵ月連続で減少した。販売件数が増加したため、在庫相当は前月の5.3ヵ月から5.1ヵ月と7ヵ月ぶりの水準へ短縮。ただ金融危機後で最も短期化した1月の4.3ヵ月からは、遠のいた水準を保つ。中央価格は前年比で5.5%上昇の20.83万ドル。7ヵ月連続で20万ドルに乗せたが、前月比では0.4%下落し4ヵ月連続で前月比マイナスだった。売り出し平均期間は63日と、前月の56と前月の53日から延び、足元最短だった2013年6月の37日を上回った水準を保つ。

買い手の内訳は、以下の通り。

・差し押さえ物件 7%=前月は7%、前年同月は9%
・ショートセール(担保残債価額よりも安い価額で販売する住宅) 2%<前月は3%、前年同月は5%
・差し押さえとショートセールを合わせた不良債権物件 9%<前月は10%、前年同月は14%
・新規購入者 29%=前月と合わせ4ヵ月連続で29%、前年同月は28%
・現金での購入者 27%>前月は24%、前年同月は31%
・住居用ではなく投資向け 15%>前月は14%、前年同月は19%

NARのローレンス・ヤン米エコノミストは、「低金利と在庫状況の改善に伴い価格が安定するなかで、買い手が戻ってきた」と評価。また「雇用も過去6ヵ月間で足取りを固めており、今後も前年比で増加を遂げる期待が大きい」と楽観的な見方を示した。

大和キャピタル・マーケッツのマイケル・モラン米主席エコノミストは、足元の回復を歓迎しながら「2013年の半ばからソフトパッチに入っており、今回の増加は減少分を取り戻したに過ぎない」と厳しいコメントを寄せる。その上で「2013年時点のピークを依然として下回っており、住宅市場の回復は力強さに欠ける」とまとめた。

中古住宅販売件数、08年以降は500万件超えで増加に足踏み状態。

daiwa
(出所:Daiwa Capital Markets)

—−以上、今回の数字は住宅市場の回復を示す一方で気掛かりな点があります。前月に続き新規購入者に占める割合が横ばいである一方、現金購入者と投資目的の割合が上昇していますよね。すなわち、住宅価格が前月比で4ヵ月連続で下落しお手頃感が高まった上に、低金利という背景も重なって「住宅転がし」を目論む買い手が増えていた。労働市場の改善に質的な問題が囁かれるなか、住宅市場の回復にも疑問符が残ります。

(カバー写真:AP)

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