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米11月雇用動態調査、新規採用件数が減少し雇用統計とかい離

by • January 13, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1893

November Job Openings Surge to A 14-year High While The Number Of Hires Decreases.

米労働省が発表した米11月雇用動態調査(JOLT)の件数ベースでは、求人数が前月比2.9%増の497.2万人と、市場予想の487.5万人を上回った。前月の483.0万人(483.4万人から下方修正)を軽々超え、2001年1月以来の高水準となる。

新規採用人数は2.2%減の499.0万人となり、約7年ぶりの高水準を達成した前月の510万人から減少に転じた。リセッションが開始した2007年12月時点の500万人の大台を3ヵ月ぶりに割り込んでいる。米11月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は、改定値で35.3万人増加したことと大幅にかい離する結果となった。

離職者数は5.0%減の462.3万人と、3ヵ月ぶりに減少。定年を含む自己都合による退職者も262万人と、前月の271万人を下回った。定年を除いた自発的離職者数も161万人と、前月の176万人から減少している。

JOLTの求人率をみると、前月の3.3%から3.4%へ上昇した。民間が前月の3.6%から3.7%へ上向き、全体に寄与。民間のうち製造業、貿易・輸送・公益、専門・ビジネスサービスが上昇している。ただし娯楽・宿泊が前月の4.6%から4.1%へ大きく低下したほか、教育・健康も鈍化。建設は横ばいだった。政府は前月の1.8%から2.1%へ上昇した。

就業者に対する新規採用率は、前月の3.7%から3.6%へ低下した。民間が前月の4.1%を下回る4.0%となり、全体を押し下げている。政府機関は3ヵ月連続で1.4%だった。自発的および非自発的、あるいは引退などを含めた離職率は前月の3.5%から3.3%へ低下。民間が前月の3.9%から3.7%へ低下したほか、政府も前月まで2ヵ月連続で1.4%を経て1.3%へ鈍化している。自発的離職率は1.9%と、2008年4月以来の高水準だった9月の2.0%以下に。2007年12月の2.1%到達がまたお預けになった。

11月までの過去1年間で、離職者数は5490万人だったものの採用人数は5760万人だった。ネット採用者数は、270万人増となる。なお2014年通年の非農業部門就労者数(NFP)は295万人増と1999年以来で最高を遂げ、民間就労者数でも1997年以来の高水準を達成した。求人1件当たりの競争倍率は1.8倍と前月の1.9倍を下回り、景気後退に突入した2007年12月の水準に並んだ。

——以上、米11月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいしてみましょう。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004−07年平均 3.0%
現時点 3.4%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点) 2.0%
2004−07年平均 1.4%
現時点 1.2%

3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004−07年平均 2.1%
現時点 1.9%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004−07年平均 3.8%
現時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004−07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 28.9万人

6)失業率—×
2009年10月(最悪時点) 10%
2004−07年平均 5.0%
現時点 5.6%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004−07平均 8.8%
現時点 11.2%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004−07年平均 19.1%
現時点 31.9%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004−07年平均 66.1%
現時点 62.7%

——雇用動態調査は求人件数が約14年ぶり高水準だったものの、11月雇用統計に反し新規採用件数が減少したほか自発的離職者数も減少しモメンタムの緩やかな失速がみられました。米12月雇用統計・NFPは11月から伸びが鈍化しており、新規採用件数が高水準を維持できるか注目されます。

前日に米連邦準備制度理事会(FRB)が公表した米12月労働市場情勢指数(LMCI)は、6.1ポイント上昇していました。7ヵ月ぶりの高水準を遂げています。結果、景気回復サイクルに入ってから上昇幅は325ポイントとなり、リセッション入りしてからの低下幅である367ポイントを90%埋めてきました。バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、同結果を受け「このまま5ポイントの上昇ペースを維持すれば、9ヵ月以内に正常値を回復する」と予想。第1弾の利上げを「2015年6月」とする同氏の予想と整合的とまとめました。

(カバー写真:UWW ResNET)

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