NFIB Small Business Optimism Reaches Its Pre-recession Level In December.
米連邦準備制度理事会(FRB)が公表するLabor Market Conditions Index(LMCI)、労働市場情勢指数に含まれる米12月NFIB中小企業楽観度指数は100.4となり、市場予想および前月の98.1を上回った。2006年10月以来の高水準を達成している。リセッション前の平均値100も回復した。
発表元である全米独立企業盟(NFIB)のウィリアム・ダンケルベルグ主席エコノミストは、結果を受け「11月の上昇は2カテゴリーがけん引した半面、12月は売上拡大をはじめ広範囲にわたる」と指摘。その上で「中小企業の成長急拡大の可能性を秘めており、経済への見通しが改善していることに疑問の余地はない」と楽観的なコメントを寄せた。
楽観度指数、リセッション前の水準を回復するのに6年を要しました。
内訳をみると、12項目中プラス圏にのせた項目は前月と変わらず10項目。11月の数値を上回った項目は、12項目中で9項目に及んだ。今回は「売上拡大を予想」する回答が20%だったほか「賃上げ見通し」も17%へ上昇し、それぞれ足元で最高に達した。「雇用を増加させる」、「設備投資を拡大させる」も前月からさらに上昇。「経済がより良くなる」との回答は2ヵ月連続でプラス圏を維持しつつ、若干低下した。とはいえ、全体的に良好な結果となっている。以下は、項目ごとの変化。
「設備投資を拡大する」29%→前月の25%から上昇、6ヵ月平均は25%
「求人件数」25%→ 前月まで2ヵ月連続の24%から上昇、6ヵ月平均は24%
「売上の拡大を予想」20%→ 前月の14%から上昇、6ヵ月平均は11%
「賃上げ見通し」17%→前月の15%から上昇、6ヵ月平均は15%
「事業拡大に良いタイミング」16%→ 前月の11%から上昇、6ヵ月平均は12%
「雇用を増加させる」15%→ 前月の11%から上昇、6ヵ月平均は11%
「経済がより良くなる」12%→ 前月の13%から低下、6ヵ月平均は2%
「販売価格の上昇」4%→前月と変わらず、6ヵ月平均は7%
「在庫を増加させる」5%→ 前月の2%から上昇、6ヵ月平均は2%
「在庫満足度」−3%→ 前月を含め3ヵ月連続で変わらず、6ヵ月平均は−2%
「信用状況が緩和する」‐5%→ 前月の−6%から改善、6ヵ月平均は-6%
「黒字トレンドにある」‐15%→ 前月の‐17%から改善、6ヵ月平均は−18%
——米12月雇用統計と整合的で雇用は増加する見通しとなった半面、時間当たり賃金が2013年7月以来の低下に転じたにも関わらず賃上げ見通し2ヵ月連続で強含んでいました。12月の時間当たり賃金の低下といえば、カレンダー要因との分析があります。米雇用統計は、12日を含む最初の月前半の数字で計算されますよね。2014年12月でいえば、雇用統計の対象期間は11営業日となります。2013年12月の10営業日より、1日多かったんです。
米企業の20%が2週間ごとに、36.5%が月2回給与を支払うシステムを採用している事情を踏まえると、11営業日でカウントした場合は働く日数が1日延びるため時間当たり賃金が低下する傾向が高い。もちろん、米労働省はカレンダー要因を承知して計算していますよ。それでも、ストーン・アンド・マッカーシー・リサーチのレイモンド・ストーン氏いわく「時間当たり賃金の統計が開始した2006年以降、10営業日の前月比伸び率平均は0.258%に対し11営業日は0.168%に過ぎない」と指摘しています。
12月雇用統計での時間当たり賃金の低下は原油安を背景としたエネルギー関連の下押しなどもあって一時的だった可能性を残しますが、11月分も下方修正されていたことも事実。ひとまず、米1月雇用統計で中小企業オーナーの賃上げ見通しが反映されるか見極めが必要ですね。
(カバー写真:Department for Business, Innovation and Skills)
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