JP Morgan Chase & Co sign outside headquarters in New York

JPモルガン、10−12月期は減益・減収、訴訟関連費用と引き当てが痛手

by • January 14, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2643

J.P. Morgan Misses Both EPS And Revenue, Hit By Legal And Credit Loss.

JPモルガン・チェースが14日寄り前に発表した10−12月(第4四半期)決算は、純利益が前年同期比6.6%減の49億3100万ドルだった。11月に為替不正取引問題をめぐり当局と和解金支払いで合意するなか、訴訟関連費用が30%増の11億ドル(税引後9億9000万ドル)を計上。引き当て金も8億4000万ドルと、1−3月期以来の高水準となり利益を圧迫している。調整済み1株当たり利益は1.19ドルとなり、市場予想の1.31ドルに届かず。収入は2.3%減の235億5200万ドルと、アナリスト予想平均の236億4000万ドルを下回った。

不良債権の減少に合わせ貸倒引当準備金も縮小、利益を底上げするものの力及ばず。
jpm
(出所:JP Morgan Chase)

トレーディング収入は、前年同期比13%減の36億4000万ドルだった。マリアンヌ・レイク最高財務責任者(CFO)が2014年12月、現物商品ビジネスからの撤退と信用取引の減速を背景に予想していた15−19%減より下げ幅を縮めている。債券が23%減の25億2000万ドルとなった一方、株式はボラティリティ上昇を背景に25%増の11億ドルだった。

コーポレート・投資銀行部門の利益は前年同期比3.3%増の9億7200万ドルだった。7−9月期の16億8700万ドルからは大幅に減少している。収入は20%増の73億8600億ドルだったが、7−9月期の91億1800万ドル以下に終わった。投資銀行手数料は、8.4%増の18億1000万ドル。助言業務の手数料は、横ばいの4億3400万ドルだった。債券引き受け業務は31%増の10億500万ドルだったが、株式引き受け業務は株式市場のボラティリティ上昇を背景に25%減の3億2700万ドルとなっている。債券サービスは3.3%増の10億310万ドル。貸出は33%減の2億6400万ドルだった。

消費者・地銀部門の純利益は、前年同期比10.9%減の21億7900万ドルだった。収入も4.3%減の109億9400万ドルとなり、7−9月期の113億6700万ドルを下回る。信用損失への引き当て金が32%増の9億5000万ドルとなり、利益を押し下げた。純金利収入は0.7%減の71億ドルと、3期連続で前年比マイナス。非金利収入は10%減の38億ドルで、減収に転じた。住宅ローンおよび関連業務の減少に加え非中核部門の一部クレジットカードから撤退背景にある。非金利費用は12.4%減の64億1100万ドルだった。平均預金額は前年同期比8%増の4977億ドルとなり、7−9月期の4920億ドルからも増加した。伸び率は3年連続で米銀トップを飾っている。

住宅ローン部門の純利益は、前年同期比43%減の3億3800万ドルだった。7−9月期の4億3900万ドルからも、減少。同部門の従業員数が前年比7500人減となり、経費が大幅削減されたものの減益にいたっている。収入は2.1%減の19億ドル。住宅ローン組成額は前年同期比1%減の230億ドルだったが、7−9月期に示した48%減の212億ドルから改善した。

クレジットカード/自動車ローン部門は、純利益が前年同期比7.5%減の9億8000万ドルだった。7−9月期の11億ドルからの減少。収入は4%減の45億ドル。非金利収入は2.1%減の12億ドルだった。非中核部門からの一部撤退と償却コストが響いた半面、自動車ローンが支えた。クレジットカードの売上額は10%増の1236億ドルとなり、7−9月期(12%増の1195億ドル)に続き27期連続で強い伸びを維持。クレジットカード・ローン残高は、3%増の1310億ドルとなり7−9月期の1270億ドルを上回った。自動車ローン組成額は8%増の68億ドルで、7−9月期の68億ドルから増加した。

商業銀行部門は、純利益が前年同期比2.5%減の6億9300万ドルとなり7−9月期の6億7100万ドルを上回った。収入は6%減の17億7000万ドル、7−9月期の17億300万ドルからは増加している。貸出総額は8.2%増の1485億600万ドルとなり、7−9月期の1438億4300万ドルを上回った。

資産運用部門は、純利益が前年同期比7.1%減の5億4000万ドルだった。7−9月期の5億9000万ドル以下にとどまる。収入は横ばいの32億ドルだったものの、7−9月期の3億460万ドルから増加。顧客資産は2.4兆ドルと、前年同期比2%増を示した。資産運用額は9%増の1.7兆ドルだった。

中核的自己資本(コアTier1)比率は10.1%と、7−9月期と変わらず。前年同期の9.5%を上回った。株主資本利益率(ROE)は9%と、7−9月期の10%から低下。総資産利益率(ROA)も0.78%と、7−9月期の0.90%を下回った。有形普通株式株主資本比率は11%と、7−9月期の13%および前年同期の14%から低下した。

2014年の純利益は21.8%増の218億ドル、1株当たり利益は5.29ドルと過去最高を遂げた。収入は2%減の979億ドルだった。

ジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は、決算資料にて「2015年も長期的成長と成功に向け、準備は整っている」と自信を示した。レイクCFOは、カンファレンス・コールにて分割案を一蹴。中小規模の金融機関であれば、当局からの規制強化を受けずに済むとのアナリストの指摘に対し「健全な状態で外科手術を施すようなもの」と否定した。

——訴訟費用と引き当て金に泣いて減益決算を計上しましたが、15億ドルの自社株買いを行っていたことを踏まえると余計に傷が痛みます。減収の背景は、住宅ローン組成額や自動車ローン組成額の伸びがさえなかったことも一因。投資銀行部門で貸出が大幅に減少し、ボラティリティ上昇で株式の引き受け業務が落ち込んだもの打撃でした。GAAPベースでの収入は225億ドルと1年ぶりの低水準となっており、株価がNY時間の午前中に一時4%急落したのも頷けます。

(カバー写真:Socialdashboard)

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