Tesla Posts Quarterly Loss, Misses Its Sales Goal Of 33,000 For 2014.
当初の時間より遅れて発表されたテスラの10−12月(第4四半期)決算では、純損失が前年同期比6倍強の1億760万ドルだった。1株当たりの損失は7倍増の0.86ドル。調整済み純損失は1620万ドルとなり、前年同期の4590万ドルの黒字から赤字に転換した。調整済み・希薄後の1株当たり損失は0.13ドル。前年同期は0.33ドルの黒字、市場予想の0.31ドルの黒字に反し赤字転落している。7−9月期に反し、ネガティブ・サプライズを届けたかたちだ。
売上高は56.6%増の9億5670万ドル。非GAAPベースの売上高は10億9560万ドルとなり、市場予想の12億300万ドルを下回った。粗利益率は調整済みベースで26.7%と、前期の23.0%を上回り過去最高だった4−6月期の26.8%近くへ改善した。
EPSの推移をみると、予想値(濃い青)とのかい離の激しさが一目瞭然。
(出所:Zacks Investment Research)
キーファクターは、以下の通り。
▽10−12月期実績
・販売台数は9834台、ただし市場予想の1万1142台以下にとどまる
・販売台数が予想以下に終わった背景として、2014年11月に販売を開始した全輪駆動車および部分的オートパイロット(自動操縦)搭載の”モデル S P85D ”の生産遅延をはじめ、ドル高、悪天候、そして潜在顧客の休暇取得で1400台相当押し下げられたと説明
・生産台数は1万1627台、2014年の目標生産台数3万5000台をクリア
・営業費用は3億6540万ドル、前期比で15.7%増と同社予想の10%増超え
・販促/一般管理費用は94%増の1億9700万ドル、海外展開費用に加え125件の無料充電スタンド(スーパーチャージャー)、21件の販売店およびサービス店を新規オープン
・研究開発費は前期比103.8%増の1億3960万ドル、全輪駆動車およびオートパイロット(自動操縦)搭載の”モデルS”、”モデルX”向け支出増加を反映
・設備投資は3億6870万ドル、前年同期比4倍増
10−12月期は、オーストラリアで納車を開始。
(出所:Tesla)
▽2014年通期
・2014年の販売台数は3万2733台、従来予想の3万5000台から下方修正した目標の3万3000台以下に
・”モデル S”、売上の55%は北米
・アジア太平洋の受注数は前年比横ばい、売上シェアは15%
・欧州の売上シェアは30%
2014年通期の純損失は2億9400万ドルと、前年同期の7400万ドルから大幅に拡大した。売上高は58.8%増の31億9840万ドル。調整済み1株当たり利益は0.14ドルとなり、前年同期の0.78ドル以下にとどまった。
▽見通し
・1−3月期の研究開発費および販促一般管理費などの費用は前期比12−15%増
・1−3月期の粗利益率は、26%
・ドル高の為替差損を補うため値上げ、各通貨の下落率に対し5割
・ドル高の悪影響は4−6月期まで具現せず
・2015年の販促/一般管理費用は15億ドルへ
・スポーツ多目的車(SUV)の”モデル X”、出荷は7−9月期序盤から8月の可能性を点灯
・2015年の”モデルS”と”モデルX”の販売台数目標は5万5000台、従来の5万台から上方修正
・ギガファクトリーでの燃料電池生産は2016年開始で維持
——以上の結果を踏まえ、株価は一時4%超も急落しました。1)予想外の赤字、2)売上高が予想以下、3)販売台数が予想以下、4)中国をはじめアジア太平洋での受注が前年比横ばい、5)10−12月期の研究開発、販促/一般管理費用、設備投資の拡大——などが嫌気されたことでしょう。
特に中国をめぐっては、決算発表の直前である10日に販売不振に激高したイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が海外取締役陣に解雇をちらつかせたといいますから、穏やかではありません。ロイターの報道では、中国での1月販売台数はたったの120台。マスクCEOは「早ければ中国は2015年に米国並みのマーケットへ成長する」と期待を寄せていただけに大打撃だったんでしょうが、恐怖政治でモチベーションと売れ行きが改善されるかは甚だ疑問です。2020年に販売台数50万台と掲げる目標達成にも、クエスチョンマークの文字が大きく浮かび上がってきました。
なお本日のカンファレンス・コールは、マスクCEOがスペースXのシャトル発射に合わせ米東部時間午後7時30分(日本時間の午前9時30分)から開始予定です。気になる情報があれば、追記いたしますね。
(カバー写真 : Bloomberg)
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