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米1月個人消費は2ヵ月連続で減少、貯蓄率は約2年ぶり高水準

by • March 2, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2107

Consumer Spending Falls 2 Months In A Row, Savings Rate Highest In Almost 2 Years.

米1月個人消費支出は前月比0.2%減となり、市場予想の±0%より弱い結果となった。2014年12月はホリデー商戦の真っ盛りにも関わらず2009年9月以来初めてマイナスに落ち込み0.3%減となっており、2ヵ月連続で不振に終わっている。消費の内訳は、以下の通り。

・耐久財 0.1%減>前月の1.44%減と合わせ3ヵ月連続で減少
・非耐久財 2.17%減<前月の1.36%減から下げ幅を拡大し3ヵ月連続で減少
・サービス 0.49%増>前月の0.25%増を含み増加基調を維持

耐久財は大寒波を受け新車販売台数が打撃を受けたとみられ、弱含みが続いた。非耐久財は、ガソリン価格の下落を反映。サービスは大寒波と積雪を背景に、暖房需要が伸び公益が支えた。

1月、NYで観測史上最大の積雪に見舞われるとのニュースが飛び出したものです(幸い平年並みでしたが)。
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(出所:K.T/Facebook)

米1月個人所得は前月比0.3%増となり、市場予想の0.4%増を下回った。13ヵ月連続での増加となる。可処分所得は、2014年12月まで3ヵ月連続で0.3%増を経て、今回は0.4%増。貯蓄率は所得の増加と支出の減少に合わせ2014年12月の5.0%から5.5%へ上昇、2012年後半以来の高水準を遂げた。

所得の内訳は、以下の通り。

・賃金・所得 0.6%増>前月の0.1%増を上回り8ヵ月連続で増加
(民間が0.6%増と前月の0.1%増から加速、財生産業が0.5%増と5ヵ月ぶりに減少した前月の0.2%減から改善。原油安の余波が意識されつつ、製造業も0.5%増と前月の0.2%減から増加した。サービスは最低賃金の引き上げもあって0.7%増と、前月の0.2%増より強い。政府は前月まで3ヵ月連続で0.1%増だったものの、今回は0.2%増へ切り返した。)
・不動産収入 0.9%減<前月の1.0%増から反転
(農場が15.7%減と4ヵ月ぶりに減少し、非農場も0.2%減と反転)
・家賃収入 0.3%増<前月の0.7%増を合わせ23ヵ月連続で増加
・資産収入 0.2%減<前月の0.1%増から反転、5ヵ月ぶりに減少
(配当は0.1%増と12ヵ月連続で増加したものの、金利収入は低金利を受け0.5%減と7ヵ月連続で減少)
・社会福祉 1.2%増>前月の1.2%増を含め3ヵ月連続で増加
(メディケイド=低所得者層向け医療保険は1.1%増と前月の0.3%増に続き増加、メディケア=高所得者向け医療保険は0.3%増と前月の0.5%増を含め2ヵ月連続で増加)
・社会補助 0.4%増>前月は0.2%増、少なくとも14ヵ月連続で増加

米1月個人消費支出(PCE)デフレーターは前月比0.5%の低下となり、市場予想の0.4%より下げ幅を広げた。前月の0.2%の低下を含め、3ヵ月連続でリーマン・ショックの衝撃が冷めやらぬ2008年12月以来で最低を示す。前年比は0.2%の上昇にとどまり、前月の0.8%(0.7%から上方修正)以下に。2009年10月以来の低水準だった。コアPCEデフレーターは前月比0.1%の上昇となり、市場予想と一致。前月の±0%からは、上向いた。前年比は、市場予想および前月値と同じく1.3%。PCEデフレーターとコアPCEともに、米連邦公開市場委員会(FOMC)の目標値「2%」からかい離した水準を維持。目標値割れは、そろって2012年5月以来となる。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米エコノミストは、結果を受け「名目の所得と消費は予想以下にとどまるものの、インフレ調整後ではガソリン価格下落の恩恵が確認できる」と説明。燃料価格下落といったインフレ減速を踏まえた場合「可処分所得は0.9%増ヘ拡大し、個人消費も0.3%増になる」ためだ。個人消費の3ヵ月比年率も、「1月は3.3%増と2014年10月時点の4.7%増および同年11月の4.4%増から鈍化した」ものの、堅調なペースを保っており決して悪い数字ではない。実質の可処分所得も2014年11月と同年12月の0.5%増から今回は0.9%増へ伸びを広げ、貯蓄率も2012年後半以来の高水準に達した。消費へ向けた環境はと整っており、「家計消費には1−3月期に伸びしろがある」との見解を示している。ただし原油安が一服するなかインフレも落ち着きを取り戻すとみられ、「3月末頃にはガソリン価格下落の消費押し上げ効果が減退してくるだろう」とも付け加えた。

——米1月個人消費が2ヵ月連続で減少した代わりに、貯蓄率が上昇していました。米小売売上高が2014年12月と1月に減少した謎を解くカギとして貯蓄率が挙がっていた通りの結果となっています。小売売上高で反映されないサービスの消費もしっかりしており、支出の行く先を確認しました。バークレイズのゲイピン氏が指摘するように、3月にかけガソリン価格底打ちと大寒波収束を背景に消費がどこまで伸びて行くのかが試されます。

(カバー写真:Alvin Trusty/Flickr)

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