Earnings Roundup : GM, 3M, Catarpillar, Dow Chemical.
23日の寄り付きに発表された決算を振り返ります。ドル高を背景にゼネラル・モーターズ(GM)、3M、ダウ・ケミカルそろって売上が市場予想を下回り、足元のトレンドを反映していました。キャタピラーは予想外に好決算ながら、最高経営責任者(CEO)は見通しに慎重なスタンスを示しています。
▽GM
自動車メーカー最大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比4倍増の9億4500万ドルだった。前年同期は点火スイッチの不具合に関するリコール(無償回収・修理)費用により、大幅に利益が押し下げられていた。リコール関連費用をはじめ、ロシアでの工場閉鎖および同国での”オペル”撤退費用を除く調整済み1株当たり利益は0.86ドルと、市場予想の0.97ドルより弱い。売上高は4.5%減の357億ドルで、市場予想の376億ドルを下回った。ユーロ安をはじめロシア・ルーブル安、ブラジル・レアル安に圧迫されている。株価は一連の結果を受け、一時3.7%も沈んだ。
地域別での利益・税引き前利益(EBIT)は、以下の通り。
>北米 21億800万ドル、前年同期の5億5700万ドルを超え2009年以来で最高
>欧州(ロシア含む) 2億3900万ドルの赤字、前年同期の2億8400万ドルから縮小
>その他海外(中国、その他アジア、中東、アフリカ) 3億7100万ドルで中国がけん引、前年同期は2億5200万ドル
>南米 2億1400万ドルの赤字、前年同期は1億5600万ドルから拡大
チャック・スティーブンス最高財務責任者(CFO)は、再編費用4億2800万ドルを投じるロシアで事業再構築が完了すれば「2016年に欧州で黒字に反転する可能性がある」と指摘。欧州では1999年以来、赤字を垂れ流している。
世界販売台数は前年同期比2%増の240万台で、中国が9%増、北米が6%増とけん引した。ただ欧州と南米を中心に他の地域が振るわず、世界でのシェアは11.0%と前年同期の11.1%からわずかに低下した。
GMの世界販売動向、2014年1−3月期との比較。
(出所:GM)
▽3M
複合大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比0.7%減の11億9900万ドルだった。株主帰属の1株当たり利益は1.85ドルで、市場予想の1.92ドルに届かず。営業費用は4.4%減の54億4800万ドルだったものの、ドル高により9000万ドル、1株当たり0.10ドル押し下げられたという。売上高は3.4%減の75億7800万ドルとなり、市場予想の78億4000万ドルを下回った。
売上高の部門別動向は、以下の通り。
>産業財 4.3%減の26億5800万ドル
>安全・管理 3.6%減の13万7200万億ドル
>ヘルスケア 3.3%減の13億2900万ドル
>消費者 2.9%減の10億4800万ドル
>電気・エネルギー 0.8%増の13億2900万ドル
2015年の1株当たり利益は7.80〜8.10ドルを見込み、従来の8.00〜8.30ドルから引き下げた。市場予想の8.14ドル以下の水準となる。売上高は6〜7%減とし、従来の4〜5%減から下方修正。こちらも、アナリスト予想平均の約1%増の320億ドルを下回った。業績内容と見通しを受け、株価は一時2.4%落ち込んだ。
▽キャタピラー
工業機械メーカー大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比20.5%増の11億1100万ドルだった。再編費用を除く希薄後の1株当たり利益は1.86ドルで、市場予想の1.35ドルより格段に強い。売上高は4.1%減の127億200万ドルながら、市場予想124億6000万ドルを上回った。ドル高を乗り越え市場予想を上回る決算を叩き出した一因として、ダグラス・オーバーヘルマン最高経営責任者(CEO)は2014年1−3月期の業績が悪天候で押し下げられていた点を指摘。前年比超えのハードルは低かったとの考えを示す。ただし、株価は一時1.0%高を示した。
主力の機械・エネルギー・輸送の売上高は4%減の119億6000万ドルだった。部門別詳細は、以下の通り。
>エネルギー・輸送 横ばいの47億6200万ドル
>建設 7%減の46億9500万ドル
>資源 9%減の19億2800万ドル
>その他 6%増の5億8600万ドル
地域別での売上動向は、以下の通り。北米が全ての部門で増加していたため、他の地域での減少を抑えた。
>北米 9%増の56億8700万ドル
>欧州・アフリカ・中東 11%減の27億4800万ドル
>アジア太平洋 13%減の23億500万ドル
>南米 19%減の12億2100万ドル
2015年の売上高は、500億ドルで維持。市場予想の495億4000万ドル以上の水準を保つ。再編費用を除く1株当たり利益は4.70〜5.00ドルとし、従来の4.60〜4.75ドルから引き上げた。レンジ下限は、アナリスト予想の4.67ドルを超えている。再編費用は2億5000万を見込み、従来の1億5000万ドルから上方修正した。
キャタピラーのオーバーへルマンCEOは、決算発表後にCNBCに出演し好結果にも関わらず「1−3月期の業績が年内続くとは限らない」と釘を刺した。背景として「ドル高」を挙げ、「売上高500億ドルを掲げており、厳しい年になるだろう」と結んでいる。
▽ダウ・ケミカル
化学大手が発表した1−3月(第1四半期)決算では、純利益が前年同期比40.8%増の14億7800万ドルだった。株主帰属の希薄後の1株当たり利益は1.18ドルと、市場予想の0.76ドルより強い。高い利益率の事業へ集約してきた効果が現れたと言える。調整済みの税・金利・償却前利益(EBITDA)率は16.6%と、前年同期の16.0%を上回った。売上高は14.5%減の123億7000万ドルとなり、市場予想の130億4000万ドルを下回った。ドル高と原油安という二重の逆風で、2桁減収を記録している。もっとも、大幅増益が奏功し一時1.8%上昇した。
売上高の部門別動向は、以下の通り。
>特殊プラスチック 22.7%減の42億6900万ドル
>特殊素材・化学 9.4%減の32億900万ドル
>農業化学 12.1%減の18億6400万ドル
>インフラ・ソリューションズ 10.2%減の18億2800万ドル
>消費者ソリューションズ 1.3%減の11億2300万ドル
なお同社は3月末、塩素事業のスピンオフ(分離・独立)を発表。同業のオリン・コーポレーションと合併させる計画を発表した。
(カバー写真:GM)
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