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イエレンFRB議長「米株相場は割高」、ダウは上昇打ち消す

by • May 6, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off4617

U.S. Stock Wobbles After Yellen Warns ‘Potential Dangers’ In Equity Valuation.

米連邦準備制度理事会(FRB)は6日、「米株市場は割高」と発言しました。ラガルド国際通貨基金(IMF)専務理事とのディスカッションで、警告を発したかたちです。イエレンFRB議長は「米株市場のバリュエーションは、全般的に非常に高い点を強調したい(I would highlight that equity market valuations at this point generally are quite high)」とコメント。そこから一歩踏み込み、「潜在的な危険性が存在する(There are potential dangers there)」とはっきり注意を促しています。

米株市場のバリュエーションに公の場で言及したのは、2014年7月の議会証言に続き2回目。当時は「ソーシャルメディア、バイオテクノロジー、小型株」を槍玉に挙げていましたね。あの頃と違い、個別のセクターではなく株式市場全般について言及した点は、特筆すべきでしょう。なお2014年7月15日の議会証言の直前にあたる同3日、イエレンFRB議長は奇しくもIMFの会合で株式市場を除くスプレッド縮小をはじめとした懸念材料を並べていました。

イエレンFRB議長は今回、株式市場だけではなく「ハイ・イールド債のスプレッドも縮小しており、高い利回りを求める傾向が明白」とも発言。2014年6月でのスタンスをあらためて打ち出すとともに、2014年1月同年4月開催分の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録と同じく、資産バブルへの警鐘を鳴らします。

金融政策にこそ直接言及しなかったものの、イエレンFRB議長は「Fedが利上げ開始時期を決定した場合、ターム物のプレミアム(上乗せ金利)が上振れし長期金利が急伸しかねない」との見方を表明しました。その上で、「金融政策を明確にすべく、市場にサプライズを与えないようコミュニケーションを図っている」と述べています。イエレンFRB議長はまた、流動性リスクにも言及。資産運用者は、相次ぐ償還に追われる可能性もあると付け加えていました。

一連の発言は、年内の利上げを見据えた地ならしと言えるでしょう。米株市場は発言直後、素直に売りで反応しました。ダウ平均は序盤に一時91.55ドル高の18019.75ドルまで上昇した後、ニュースを受け一時147.17ドル安の17781.03ドルと約1週間ぶりの水準へ下落。S&P500とナスダックも、それぞれ一目均衡表・雲の上限を抜けてきました。NY中盤の時点でS&P500は約1週間ぶり、ナスダックは4月6日以来の4900p割れが接近。「5月に売り逃げろ(Sell in May and go away)」の言葉が脳裏にちらつくなか、相場に嫌なムードが漂いつつあります。

【追記】

終値は以下の通り。ダウ平均は一時195.08ドル安の17733.12ドルまで沈み、年初来の上昇幅を打ち消した後で買い戻されました。引け値では、約1週間ぶりの低水準となります。S&P500とナスダックも下げ幅を縮小しつつ、一目均衡表・雲の上限まで切り返せず。終値ベースでは、4月17日以来の安値をつけました。

ダウ平均  17841.98  -86.22 -0.48%
S&P500  2080.15 -9.31  -0.45%
ナスダック 4919.64  -19.68 -0.40%

(カバー写真:IMF/Flickr)

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