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中国は母の日に追加利下げ、成長減速と債務拡大に配慮

by • May 10, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2376

China Adds More Stimulus As Growth Slows And Debt Swells.

中国人民銀行は10日、25bpの利下げを実施しました。1年物貸出金利は5.1%、1年物預金基準金利も2.25%に設定。2014年11月に約2年ぶりの利下げを実施して以来、2015年2月に続き3回目となります。2月4月の預金準備率を引き下げと併せ、年初来で4回目の緩和策に踏み切りました。11日から施行されます。

声明では「資金調達コストを一段と引き下げ、実態経済の健全な発展を支援する」と明記していました。また「中国経済は比較的、大きな下方圧力に直面している」と指摘。同時に「国内の物価は低水準にとどまり、実質金利は歴史的水準と比較して高い」とし、利下げ余地があったと説明しています。

中国の経済減速は否定できない状況で、マーケット関係者にとって追加緩和はそれほどサプライズを与えたなかったのかもしれません。中国1−3月期国内総生産(GDP)は前年同期比7%増と2009年以来の低水準となり、成長鈍化が鮮明に。中国4月HSBC製造業PMI改定値も48.9と速報値の49.6から下方修正され、1年ぶりの水準に落ち込んだものです。挙げ句の果てに、中国3月貿易収支は輸出が前年同月比15%減と市場予想の12%増に反し大幅減少を示したほか、輸入も12.7%減と市場予想の11.7%減より下げ幅を拡大させていました。

成長減速だけでなく、思い出されるのが膨張し続ける債務です。人民銀行は8日、四半期に一度公表する金融政策レポートで「債務規模の拡大により中国は返済やロールオーバーのためにあらゆる資源を活用する必要がある」と指摘していました。中国の不良債権が年初から3月末時点で1400億元(約2兆6900億円)増と少なくとも2004年以来で最大の増加幅を記録した結果、9825億元(約18兆8900億円)に膨らんだとの発表が思い出されます。不良債権の割合は3月末に1.39%を占め、2014年末の0.14%から急伸していました。

中国工商銀行をはじめ5大銀行、増益ペースは6年ぶり低水準。
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(出所:Queqiaoba)

フォーブス誌の「世界で最も規模の大きな企業ランキング」では、中国工商銀行をはじめ4大銀行が上位を独占しました。しかしながら、こうした銀行は不良債権の増加を背景に2004年以来で最も低い増益率にとどまるリスクまで浮上中。「大きいことは良いことだ(Bigger is better)」という図式に、変化の兆しが現れ始めています。

中国人民銀行は8日に発表した金融政策報告書で量的緩和(QE)の導入に否定的な見解を寄せたとはいえ、可能性がないとは言い切れません。マーケットは中国の追加利下げを歓迎しているようですが、アパルーサ・マネジメントのデビッド・テッパー氏のような認識がある点は留意しておいた方が良さそうです。

(カバー写真:mg-trade)

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