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米3月雇用動態調査、新規採用者数と自発離職者数が増加に反転

by • May 12, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2191

Job Openings Decline Modestly, While Hires And Separations Rise In March.

米労働省が発表した米3月雇用動態調査(JOLTS)は求人数が前月比2.9%減の499.4万人となり、市場予想の515.8万人を下回った。2001年1月以来の高水準を遂げた前月の514.4万人(513.3万人から上方修正)から減速。とはいえ、2001年以来で2番目の高水準と示した。

新規採用者数は前月比1.1%増の506.7万人で、年初来では最高に。リセッション入り直前にあたる2007年11月以来の高水準を達成した2014年12月の523.9万人増(514.8万人増から上方修正)には、届いていない。米3月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)が改定値で8.5万人増だったことと整合的だ。

離職者数は、前月の479.3万人(483.4万人から方修正)から4.0%増の498.3万人だった。3ヵ月ぶりの増加を示す。定年を含む自己都合による退職者が278.3万人と前月の272.0万人(修正値)から2.3%増加し、2008年4月以来の高水準に到達。解雇者数にいたっては179.3万人と前月の168.8万人(修正値)を6.2%も急増し、3ヵ月ぶりに増加した。

JOLTSの求人率は、前回の3.5%から3.4%へ低下した。民間が前月の3.8%から3.6%ヘ戻しており、民間のうち建設、製造業、貿易・輸送・公益、小売、教育・健康が前月を下回っている。一方で専門・その他サービスが上昇していた。政府は前月と変わらず、2.2%だった。

就業者に対する新規採用率は、前月に続き3.6%だった。民間が前月の3.9%から4.0%へ上昇したほか、政府機関も前月の1.5%から1.6%へ上向いている。自発的あるいは引退などを含めた離職率は前月の3.4%から3.5%へ上昇、3ヵ月ぶりに前月超えを示した。民間が前月の3.7%から3.9%へ上振れした半面、政府は3ヵ月連続で1.5%で変わらず。自発的離職率は2.0%と前月の1.9%を超え2008年4月以来で最高だった1月に並んだだけでなく、リセッションが開始した2007年12月の2.1%が迫った。解雇率は前月の1.1%から、1.3%へ上昇した。

求人率は低下した一方、新規採用率(青)は横ばいで離職率(赤)は上昇。
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(出所:BLS)

3月までの過去1年間で離職者数は5670万人、採用人数は5970万人だった。ネット採用者数は、300万人増となる。求人1件当たりの競争倍率は1.7倍となり、前月と変わらず。2014年12月に続き、景気後退に突入する直前の2007年11月の水準に並んだ。

——以上、米3月雇用動態調査を受けたイエレン・ダッシュボードをおさらいすると、クリアした項目はこれまでと変わらず。()内の最悪時点とは、金融危機以降での最も弱い数字を示します。

1)求人率—○
2009年7月(最悪時点) 1.6%
2004−07年平均 3.0%
現時点 3.4%

2)解雇率—○
2009年4月(最悪時点) 2.0%
2004−07年平均 1.4%
現時点 1.3%

3)自発的離職率—×
2010年2月(最悪時点) 1.3%
2004−07年平均 2.1%
現時点 2.0%

4)採用率—×
2009年6月(最悪時点) 2.8%
2004−07年平均 3.8%
現時点 3.6%

5)非農業部門就労者数—○
2009年3月までの3ヵ月平均(最悪時点) 82.6万人減
2004−07年の3ヵ月平均 16.2万人増
現時点の3ヵ月平均 19.1万人増

6)失業率—×
2009年10月(最悪時点) 10%
2004−07年平均 5.0%
現時点 5.4%

7)不完全失業率—×
2010年4月(最悪時点) 17.2%
2004−07平均 8.8%
現時点 10.8%

8)長期失業者の割合—×
2010年4月(最悪時点) 45.3%
2004−07年平均 19.1%
現時点 29.0%

9)労働参加率—×
2014年9月(最悪時点) 62.7%
2004−07年平均 66.1%
現時点 62.8%

——米3月雇用動態調査は求人件数が鈍化しつつ、自発的離職者と新規採用者数は3ヵ月ぶりに増加し2月と正反対の結果となりました。一方で、解雇者数が6.2%も大幅増加した点も見過ごせません。ドル高や原油安で石油関連のほか多国籍企業の収益が悪化するなか、合併・買収(M&A)も加速。米4月チャレンジャー人員削減予定数が不気味に増加しており、労働市場の改善にブレーキが掛かるリスクを残します。前日に米連邦準備制度理事会 (FRB)が発表した米4月労働市場情勢指数(LMCI)は、労働市場が正常な状態に戻るまで時間が掛かる可能性を点灯させましたが、年内利上げを視野に入れるFedはどう解釈してくるのでしょうか。

(カバー写真:World Relief Spokane/Flickr)

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