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米4月雇用統計はゴルディロックス継続の証、米株は大幅高

by • May 8, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2575

U.S. Stock Market Welcomes ‘Goldilocks’ Jobs Report.

米4月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)は前月比22.3万人増と、市場予想の22.0万人増を小幅に上回った。前月の8.5万人増(12.6万人増から下方修正)を超えたとはいえ、西海岸の港湾労働者ストライキや悪天候での反動は小幅にとどまる。2−4月期平均は19.1万人増となり、2014年10−12月期平均の31.7万人増から大きく後退した水準を維持した。

NFPの内訳をみると、民間就労者数が21.3万人増となり市場予想の22.3万人増を下回った。3月の9.4万人増(12.9万人増から下方修正)からは、大幅に改善。民間サービス業は18.2万人増となり、3月の11.5万人増(14.2万人増から下方修正)を超えていった。

(サービスの主な内訳)
・ビジネス・サービス 6.2万人増>前月は3.5万人増、増加トレンドを維持
そのうち派遣は1.6万人増>前月は1.3万人増、2ヵ月連続で増加
・教育/健康 6.1万人増>前月は3.5万人増、増加トレンドを維持
・貿易/輸送 2.4万人増<4.3万人増、増加トレンドを維持
そのうち小売は1.2万人増<前月は2.5万人増、4ヵ月連続で増加
・娯楽/宿泊 1.7万人増>前月は0.6万人減となり増加トレンドにブレーキ
そのうち食品サービスは2.6万人増、前月の0.7万人減から増加に転じつつ2014年平均の3.3万人増には届かず
・金融 0.9万人増>前月は0.7万人増、13ヵ月連続で増加
・情報 0.3万人増>前月は横ばい
・政府 1.0万人増>前月0.9万人減

財生産業は3.1万人増と、2013年12月以来の減少を迎えた前月の2.1万人減から増加に反転。悪天候要因が払拭され、建設がけん引した。

(財政産業の内訳)
・建設 4.5万人増>前月は0.9万人減
・製造業 1.0万人増>前月は横ばい
・鋼業 1.5万人減<前月は1.2万人減(鋼業サービスが1.0万人減、石油・ガス採掘は0.3万人減)、4月の鋼業の結果は2009年5月以来で最大の減少幅、なお鋼業全体の2014年・月平均は4.1万人増

4月NFP、3月から改善も勢いは乏しい。
nfp
(出所:BLS)

時間当たり平均労働賃金は前月比0.1%の上昇の24.87ドル(約2980円)となり、市場予想および前月の0.2%増に届かず。前年比は2.2%の上昇となり、3月の2.1%(速報値)を上回っただけでなく5ヵ月ぶり高水準だった1月に並ぶ。生産労働者・非管理職の場合は、前月比0.1%増の20.90ドル(約2510円)で、前年比は1.85%と2月の1.56%(速報値)から改善した。全従業員の週当たり賃金は、前月比で0.1%増の858.02ドル(約10万300円)と前月の微減から増加に転じている。前年比でも2.2%増と、3月の2.1%増(速報値)を上回った。生産労働者・非管理職の週当たり賃金の場合は前月比0.1%増の703.66ドル(約8万4440円)。3月の微減から、増加に転じている。前年比では1.9%増と、3月の1.8%増(速報値)を超えた。もっとも、2月の2.5%増(速報値)からへ伸びをせばめた。

週当たりの平均労働時間は前月に続き、34.5時間だった。製造業の平均労働時間は前月の40.9時間から40.8時間へ短縮。2014年6月に続き、2007年以来の高水準に並んだ2014年11月の41.1時間以下にとどまる。

失業率は5.4%となり、市場予想と一致した。2008年7月以来の6%割れを維持。リーマン・ショック以前にあたる2008年5月以来の低水準を続けた。3月米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーによる2015年末予想のレンジを超える水準を保つ。マーケットが注目する労働参加率は62.8%。3月は62.7%で、2014年12月に続き1978年2月以来の低水準を示現していた。

失業者数は前月比2.6万人減となり、前月の13.0万人に続き3ヵ月連続で減少した。雇用者数は19.2万人増で、11ヵ月連続で増加。就業率は4ヵ月連続で59.3%となり、約5年ぶりの高水準を維持した。

経済的要因でパートタイム労働を余儀なくされている不完全雇用率は、10.8%。前月の10.9%から低下し、8ヵ月連続で2008年10月以来の12%割れを維持している。平均失業期間は30.8週と、前月の30.7週から短縮。失業期間の中央値は11.7週と前月の12.2週から短縮し、少なくとも2009年以来の低水準を示現した。

フルタイムとパートタイム動向をみると、フルタイムは前月比0.2%減の1億2077万人となり5ヵ月ぶりに減少した。逆にパートタイムは1.6%増の2774万人と、3ヵ月ぶりに増加に転じている。

イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長のダッシュボードに含まれ、かつ「労働市場のたるみ」として挙げた1)不完全失業率(フルタイム勤務を望むもののパートタイムを余儀なくされている人々)、2)賃金の伸び、3)失業者に占める高い長期失業者の割合、4)労働参加率――の項目別採点票は、以下の通り。

1)不完全失業率 採点-○
4月は10.8%、3月の10.9%から低下し、少なくとも2008年9月以来の低水準を維持。不完全失業者数は前月比1.9%減の658.0万人と、前月の増加分を打ち消した。

2)長期失業者 採点-○
失業期間が6ヵ月以上の割合は29.0%と、3月の29.81%を下回り直近で最低。平均失業期間は30.8週と、3月の30.7週から若干延びた。6ヵ月以上の失業者数も3月に252.5万人と、3月の256.3万人から減少。

3)賃金 採点-△
4月は前月比0.1%増となり、前月の0.2%増に届かず。4月の前年同月比は逆に2.2%増と3月の2.1%増を超え、5ヵ月ぶり高水準だった1月の水準に並ぶ。もっとも、2012年11月から続く1.9−2.2%のレンジを維持している。なお生産労働者・非管理職の場合は前月比0.1%増の20.90ドルと前月の±0%から、前年比でも1.9%増と3月の1.8%増(速報値)からそれぞれ改善。ただし管理職を含むヘッドラインの0.1%増に合致したといはいえ、前年比は2.2%増からかい離したままだ。

4)労働参加率 採点-△
4月は62.8%。3月は2014年12月に続き62.7%と、1978年2月以来の低水準だった。非労働人口は9319万人と、3月の9318万人を超え過去最悪を更新。軍人を除く民間労働人口は前月比0.1%増の1億5707万人となり、3ヵ月ぶりに増加した。

バークレイズのマイケル・ゲイピン米主席エコノミストは、結果を受け「1−3月期成長率の鈍化を踏まえると、NFPは今後数ヵ月20万〜22.5万人のレンジで推移する」と予想した。賃金をめぐっては、「非管理職にあたる生産労働者の伸びが引き続き芳しくない」と指摘。全体的に「米4月雇用統計は成長モメンタム喪失への警戒を払拭させたとはいえ、勢いに欠ける」と論じ、「利上げ開始予想を9月で維持する」とまとめた。

ロイターによると、FF先物は12月の利上げを51%織り込んでおり直前の62%から後退した。

——以上、米4月雇用統計・NFPは確かに3月から改善したものの力不足感は否めません。3月分の大幅な下方修正を含めれば、なおさらです。おかげで米株相場は6月利上げの完全消滅を見込み、ダウ平均は序盤から250ドルの大幅高を記録。米金利も上昇が一服し、ゴルディロックス万歳といった趣きを示しました。

(カバー写真:Workforce Development Center)

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