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アジア系アメリカ人は、白人を差別すべきか?

by • May 8, 2015 • Latest News, NY TipsComments Off10545

Would Asian American Discriminate Against White American?

メリーランド州ボルティモアを舞台に黒人による警察への抗議活動が火を噴いてから1週間以上が過ぎ、4月27日に発動された非常事態宣言は6日夜にようやく解除されました。”黒人の暴動”と化したデモに、眉をひそめる方々も多かったことでしょう。

黒人と同じく「マイノリティ=少数派」に分類されるアジア系となれば、存在感は一線を画します。アジア系には、「マイノリティの鑑(model minority)」との称号を与えるほど。では、「鑑」であるアジア系アメリカ人は多数派の白人をどのように評価しているのでしょうか?

インド系アメリカ人でソーシャルメディアのシンクアップ創業者のアニル・ダッシュ氏は、ツイッターでそんな疑問にこう答えます。

「白人が黒人を批判するようにアジア系が白人を批判するなら、白人は『排斥法』を復活させるだろう。」

「白人とアジア系アメリカ人を暴力、教育、所得で比較した場合、彼らの子供は『悪党』と言える。」

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(出所:Quartz)

センセーショナルかつ挑発的なダッシュ氏のツイッターは、本当に的を得ているのでしょうか?クオーツが、データを元に実態に迫っています。アジア系と白人を 1)所得、2)学歴、3)離婚率、4)人口と受刑者の比率——の4項目で比較した結果は、以下の通り。チャートは出所を元に、筆者が作成しています。

▽所得

白人男性を100%とした場合、アジア系男性は113.5%に及びます。3番目に高所得なのは、アジア系女性。白人女性との差は、ダブルスコアを叩き出しました。

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(出所:Quartz, IWPR analysis of American Community Survey Microdata)

▽学歴

2013年時点で25〜29歳層の最終学歴が大卒以上の割合は、アジア系が60.1%でトップ。白人の40.4%に、大差をつけました。

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(出所:Quartz, National Center for Education Statistics)

▽離婚率

2013年時点でアジア系の離婚率は5.1%と、突出して低い。ほぼ同率の白人・黒人の半分以下に過ぎません。

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(出所:Quartz, U.S. Census American Community Survey)

▽人口比率、米連邦刑務所の受刑者に占める人種の割合

アジア系・ミクロネシアの人口が圧倒的に少ない点を踏まえると、適切な比較ではないかもしれません。それにしても、白人とヒスパニックの受刑者比率が過半数であるのは驚きに値しますね。この場合の「白人とヒスパニック」に含むヒスパニックは「自身を白人と見なす」方々を意味しますが、白人のみだと急低下するのでしょうか?

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(出所:Quartz, National Council on Crime and Delinquency )

全てのデータを振り返ると、アジア系男性に熱い視線を注ぐ白人・黒人女性が増加中なのも納得です。ただ、結婚となるとハードルは依然として高い。離婚率の低さから保守的な性質が窺えるように、他の人種との結婚を回避する傾向が見て取れます。

数字だけで判断するなら、白人はアジア系にとって「アメリカ市民の鑑」とは言い難い。でも、アジア系は白人を教育水準などで見下しませんよね? 肌の色だけで人種差別する方々には、多角的な方面から英語の表現にある「put yourself in my shoes」—私の立場に立ってみたら、という言葉を投げかけてあげたいものです。

(カバー写真:Eric E Castro/Flickr)

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