India Cuts Rates For The Third Time This Year, Before Inflation Risks Materialize.
インド準備銀行(RBI)は2日、政策金利であるレポ・レートを25bp引き下げ7.25%に設定した。1月15日、3月4日に緊急会合で25bpの利下げを経て、今回で3回目。市場予想通りの措置となる。リバース・レートも合わせて25bp引き下げ6.25%に設定した一方、現金準備率は4.0%で据え置いた。
ラジャン総裁は、会合後の記者会見にて「国内の稼働率が低い水準にあり、回復を示す経済指標はまちまちで、投資および信用の伸びは抑制的」と指摘。インド1−3月期国内総生産(GDP)は7.5%増と中国の7.0%増を超え、インド5月HSBC製造業PMIは分岐点50を19ヵ月連続で上回った。一方で、3月鉱工業生産は前年同月比2.1%増と前月の4.9%増から減速。4月消費者物価指数(CPI)も前年同月比4.87%と前月の5.25%から鈍化していた。さらにインド4月貿易収支では輸出が5ヵ月連続で減少し、ドル高を背景に企業収益も圧迫されつつある。ラジャン総裁自身、記者会見で企業業績を踏まえ「最終需要の回復」動向が十分ではないとの考えも示した。
そこへモンスーン降雨量不足に伴う食品価格の上昇懸念、原油先物の巻き戻しなどインフレ圧力が加わる。インフレ上方リスクに合わせ、RBIは2016年1月のインフレ見通しを4月時点の5.8%から約6.0%へ上方修正。新たな見通しは、2016年1月までの目標値水準に並ぶ。こうした環境に配慮し、声明では「予め利下げで対応し、経済指標が不透明性を払拭するまで様子を見守ることが適切」との見解を寄せた。
結果を受け、エコノミストの間では利下げサイクルは終了したとの見方が大勢を占める。ノムラ・インターナショナルは「今後で打ち止めする」と予想。BNPパリバのアジア担当エコノミスト、リチャード・アイリ—氏も「インフレに上方リスクがくすぶるため、今回で利下げサイクルに幕引きした」との見解を示した。
(カバー写真:Mercenie Banking Manual)
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