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米5月チャレンジャー人員削減予定数は6ヵ月ぶりに減少、 原油関連がけん引

by • June 4, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1771

May Job Cuts Decrease For The First Time In 6 Months, With Oil Layoffs Slowing.

米5月チャレンジャー人員削減予定数は、前年同月比22.5%減の4万1034人だった。6ヵ月ぶりに減少に転じている。4月は人員削減予定数として2012年5月以来で最悪となる6万1582人を記録していたものの、前月比で33.4%減。原油安を背景にしたエネルギー産業での人員削減が大幅に鈍化したためで、5月はわずか2.5%にとどまる。4月の34%、3月の35%、2月の38%、1月の40%から大幅に縮小した。

原油関連の人員削減数に、ようやく減速の兆し。
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(出所:Challenger, Gray And Christmasのデータを元にMy Big Apple NYが作成)

4大地域別では、2地域で増加。4月は、全地域で増加していた。今回は北東部が23.6%増の1万7706人、エネルギー産業に依存する南部は17.2%増の5641人で、そろって2ヵ月連続で増加。一方でITの雇用がけん引してきた西部は73.2%減の9801人と、前月の急増分をほぼ打ち消した。シェールガス関連を抱える中西部は50.0%減の7886人となり、3ヵ月ぶりに減少している。

発表元であるチャレンジャー・グレイ・アンド・クリスマスのジョン・チャレンジャー最高経営責任者(CEO)は、結果を受け「石油採掘・掘削関連企業は原油安に迅速に対応したが、原油価格が安定するなか一段の削減を回避し需要拡大に備えようとしている」と説明した。一方で、地方政府での人員削減に注目。マサチューセッツ州が18億ドルもの赤字予算を補填するために4500人のリストラを発表したためと説明しつつ「マサチューセッツ州をはじめ、16州で年金問題が重しとなっている」と指摘した。金融セクターでの増加は、JPモルガンが年内5000人の人員削減を発表したことが主因と片付け「年初来では28%減の1万4853人にとどまる」としリストラの増加示す兆候ではないとの考えを示した。

月ベースでも、2012年5月以来で最悪だった4月から改善。
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(出所:Challenger, Gray And Christmas)

1−4月期に人員削減が多かったセクター、ランキングは以下の通りで%は前年同期比を示す。4位は圏外から金融がランクインし、4月に4位だったヘルスケアは5位に順位を落とした。

1位 エネルギー 1609%増の6万230人
2位 小売 6%増の2万7283人
3位 産業財 126%増の2万5181人
4位 金融 38%減の1万4853人
5位 ヘルスケア 30%減の1万2738人

5月人員削減予定件数のセクター別をみると、1位は年初来から1位を維持してきたエネルギーが消えコンピューターが入り1万8799人、2位に3月から4月まで3位だったヘルスケアが順位を上げ1919人、3位に政府で3246人が入った。小売も前月の3594人減から472人減と、改善を示す。

リストラ実施の理由、3月のランキングは以下の通り。原油安が4月の1位だった前月から圏外に落ち込み、代わりに買収・合併(M&A)が食い込んだ。そのほか再編、閉鎖などが順位を上げている。

1位 再編 1万6239人 年初来 6万9698人
2位 閉鎖 8530人 年初来 3万5038人
3位 コスト遡源 7700人 年初来2万344人
4位 需要低下 1685人 年初来 1万6487人
5位 M&A 1489人 年初来 8762人

採用予定人数は1万2598人と、前月の1万3898人から減少した。1位は小売で5210人を計上し、前月の3440人に続き3ヵ月連続で増加をたどる。2位は2ヵ月連続で自動車に。ガソリン価格の下落や米5月新車販売台数で明らかなように需要の高まりを背景として、2305人を記録した。3位は通信で1650人に達した。

——人員削減予定件数は前年比で6ヵ月ぶりに減少し、エネルギー関連が主導しました。年初来では前年同期比13%増の24万2830人ながら、ようやく米新規失業保険申請件数との整合性が現れています。米5月雇用統計にも、今回の結果が反映されるのでしょうか。

(カバー写真:Trade and Export)

 

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