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高級ブランドにも変革の波?リシュモンがで他ブランドに協力要請

by • June 8, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off6761

Richemont Invites LVMH And Kering To Form An Online Sales Platform.

高級宝飾ブランド「カルティエ」を抱えるスイスのリシュモンが、ネット販売でLVMHやケリングといった競合ブランドに協力を呼びかけました。通販サイト運営会社ユークス・ネッタポルテへの出資を願い出ています。

ユークス・ネッタポルテは、リシュモンが傘下に置いていたネット販売部門ネッタポルテとイタリアの競合ユークスが株式交換を通じた合併で合意済み。リシュモンのヨハン・ルパート会長が「高級ブランドにふさわしいプラットフォームを目指す」必要性を訴えるように、アマゾンをはじめとしたオンライン小売への対抗策に踏み込んだかたちです。また中国のアリババなど大手通販サイトで偽物ブランドが氾濫している現状への打開策を、ユークス・ネッタポルテを通じ模索しているように見えます。

リシュモンの2014年度(2015年3月末)決算を振り返ると、純利益は前年比35%減の13億3400万ユーロと同社の事前予想36%減から縮小しつつ大幅減益を記録していました。売上高は4%増の104億1000万ユーロとなり、市場予想の109億ユーロ以下に。4月の売上高は為替変動を除くベースで8%減を計上しており、マカオや香港が足を引っ張ったといいます。

2014年度のアジア太平洋、売上シェアは39%で欧州を超えナンバー1。
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(出所:Richemont)

LVMHの2014年決算では、エルメス株の売却益で押し上げられた利益とともに売上高が過去最高を達成したものの、為替差損もあって減速の兆しを見せていました。1−3月期は売上高が前年同期比6%増の72億ユーロと市場予想の71億7000万ユーロを小幅に上回り、主力の服飾・革製品が9%増と市場予想の5〜7%増超え。一方で、中国の汚職撲滅運動が響き引き続きワイン・酒類が3%減より弱く安心は禁物です。既存事業売上高の国・地域別でも米国と欧州がそれぞれ9%増、10%増だったものの、日本とアジアは10%減、9%減と明暗を分けています。

ケリングの2014年決算では、純利益が前年比で約10倍増の5億2890万ユーロでした。もっとも、売上高は4%増の100億4000万ユーロとなり、市場予想の100億5000万ユーロにいま一歩及ばず。1−3月期は売上高が11.4%増の26億5100万ユーロながら、既存店売上高は0.6%減。営業利益の6割を占めるグッチの既存店売上高が8%減と、市場予想の4.5%減より下げ幅を拡大していました。ボッテガ・ベネタも3%増にとどまっています。

各ブランド大手が左団扇で売上拡大を謳歌できない今、ショッピング・スタイルの変化に伴い売上テコ入れの狙いをオンラインに定めてもおかしくありません。リシュモンのインビテーションもといSOSに、LVMHや偽造品販売奨励を理由にアリババを提訴するケリングは反応するのでしょうか。

(カバー写真:mike appel/Flickr)

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