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NY連銀総裁は9月利上げに慎重、Fedサーベイでも利上げ予想を先送り

by • August 26, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2285

Fed’s Dudley Says September Rate Hike Looks ‘Less Compelling’.

ニューヨーク連銀のダドリー総裁、9月利上げに慎重なスタンスを明確に打ち出しました。

ダドリーNY連銀総裁は、講演後の質疑応答で「私自身の見解では今この時点で、9月16−17日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)で金利正常化を開始するのは、数週間前より説得力に欠けるように映る」と発言。年内の利上げをめぐっては「本当に(really)望む」と語りつつ、実際に利上げできるかどうか判断する以前に「経済指標がどのように展開していくかを検討していく」と述べています。金利正常化は「経済見通しを形成する上で重要な経済状況のほか、海外および金融市場の動向など追加情報を得た時点の会合で、より説得性を増す」とも付け加えました。

米株が2012年以来となる6日続落を記録し、過去6日間でS&P500の時価総額が2.1兆ドル(約250兆円)も吹き飛んでしまっただけに、配慮せざるを得なかったのでしょう。ダドリー発言の前に、ビアンコ・リサーチのジム・ビアンコ代表からは「Fedの政策運営は経済指標頼みから、金融市場の安定に軸を移した」との声も聞かれていました。

ダドリーNY連銀総裁は、中国発の金融市場の混乱に配慮し9月利上げへのハードルを引き上げたと言える。

BNPパリバは、ダドリー発言に対し「海外動向と金融市場を注視し、経済見通しへの影響をあらためて精査していく姿勢を鮮明にした」と指摘。12月利上げの予想を維持し、「9月利上げの確率はほぼゼロに近い」とのコメントを寄せています。さらに「年明けに持ち越しとなるリスクが大きくなった」との見解も示しました。

9月利上げ予想の維持を25日の顧客向けレポートで表明したJPモルガンのマイケル・フェローリ米主席エコノミストは、ダドリー発言を受けて「注意深く発信されたFedからのメッセージ」と振り返ります。その上で「9月利上げを除外せず、新たな経済指標が力強く市場が落ち着けば」利上げもありうると予想。ダドリー発言は、「9月利上げの確率が50%以下と判断する当方の認識と整合的」と結んでいました。

27日から開催するジャクソン・ホール会合で、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長は欠席します。欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁も、出席を見送る予定。代わりに、FRBからはフィッシャー副議長が29日に登場し講演を行います。テーマは、「インフレ動向」。8月10日に低インフレへの警戒をちらつかせていただけに、今回の講演で9月利上げ観測を打ち消して来るのか注目が集まります。

ジャクソン・ホール前、CNBCが実施したFedサーベイでは9月利上げ派が後退していました。今回は38%のみで、前回7月時点の50%超えから大きく低下しています。

利上げ時期として最も有力視されている時期は、12月。前回から3ヵ月先送りされました。バランスシートの縮小も2016年9月と、こちらも3ヵ月後ろ倒しに。利上げ終了時期は2018年7−9月期を見込み、1四半期遅らせています。

利上げペースも、以前よりかなり緩慢なペースを予想。

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(出所:CNBC)

2015年末は前回の0.47%から0.37%、2016年末は前回が1.41%のところ1.12%まで低下しました。Fedは2013年、テーパリング開始を当初見込まれていた9月から12月へずらした過去があります。当時は債務上限引き上げ・暫定予算の交渉が決裂するという国内要因が仇となりましたが、今回は中国発の世界経済減速への不安が決定打になるのか。仮に後ろ倒しを決定すれば、「イエレン・プット」再開と判断し強気派が精力を増してきそうですね。

(カバー写真:Bridget Bennet/Bloomberg via Wall Street Journal

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