New Car Sales Heat Up In August.
米8月新車販売台数は、ゼネラル・モーターズ(GM)をはじめビッグ3が市場予想を上回った。日系メーカーもホンダ以外、アナリスト予想平均を超えている。今年の8月はレーバー・デーの週末が前年と比べ1週間後ろ倒しとなったためセール期間を含まなかったものの、夏本番に力強い数字を叩き出した。引き続きトラック、スポーツ多目的車(SUV)が売上に寄与。ガソリン価格が7月の2.745〜2.834ドル台から、8月に2.510ドルと約4ヵ月ぶりの水準へ下落したことも材料視したようだ。
オートデータが発表した米8月新車販売台数は、上述のようにレーバー・デーのカレンダー要因を受けて前年同月比0.5%減の157万7407台だった。減少したとはいえ、7月の水準を軽々と超えている。ただ、ドライブ・シーズン入りを祝うかのような5月の163万4952台には届いていない。年率では1781万台と、市場予想の1730万台および5月の1770万台をあっさり抜き去り2005年7月以来の快挙を果たした。
ケリー・ブルー・ブックによると、8月の平均販売価格は前年同月比3.4%上昇の3万3543ドル(約410万円)だった。前月比では、0.2 %と若干の下落を示す。
メーカー別の8月平均価格、前月比ではビッグ3のみ上昇。
(出所:Kelley Blue Book)
前年比で価格が上昇した一因として、引き続きSUVやトラックや輸入車など高価格帯の好調な売れ行きが挙げられる。エドマンズ・ドットコムの調査では、特に2014年までの10年間でトラックの値上がりが著しく41%を遂げ、SUVの9%を大幅に上回っていた。
気になる自動車ローン期間は1−3月期で組まれたもので平均67ヵ月(約5年半)となり、標準とされる36ヵ月(3年)から大きくかけ離れた。高額な大型車および輸入車の人気を反映しローン規模も過去最高に達するなど、あらためて自動車ローンへの健全性に疑問を投げかけている。
年間ではガソリン価格の下落とペントアップ・ディマンドを受け絶好調だった2014年に続き、2015年も快進撃を維持するとの見方が優勢。2015年の新車販売台数につき、自動車ディーラー最大手オートネーションのほか自動車価格情報サイトのトゥルーカーも「1700万台」を予想する。8年ぶりの高水準に並んだ2014年の販売台数を超える見通しだ。
以下、ビッグ3をはじめメーカー別動向。
GMは前年同月比0.7%減の27万480台となり、市場予想の2.6%減より下げ幅を縮めた。カレンダー要因を受け、7月から減少に反転。4大ブランド別では、2ブランドが増加し7月の3ブランドを下回った。トラックやSUVを抱えるGMCが3.5%増の4万9363台となり、ピックアップ・トラックが寄与。単月としては、2005年以来の最高を遂げている。高級車ビュイックも0.6%増の2万2281台と、クロスオーバーが28%増と支え2ヵ月連続で増加した。反対に、シボレーは1.5%減の18万3098台と減少に転じた。クロスオーバーが9ヵ月連続で増加したものの、「ユコン」などのトラックが押し下げている。高級ブランドのキャデラックは5.5%減の1万5738台と4ヵ月連続で減少した。
フォードは5.6%増の23万4237台となり、市場予想の0.2%減からサプライズの増加を遂げた。2006年以来で最高に達している。2大ブランド別では、そろって増加。フォードが5.4%増の22万5601台と、3ヵ月連続で増加した。アルミ製ボディの新型トラック「Fシリーズ」が4.7%増の7万1332台と2ヵ月連続でプラスをたどる。SUVの「エクスプローラー」も、22.0%増の2万1658台と前月に続き2桁増で寄与。小型車「フォーカス」の26.1%減の1万6321台などの減少を打ち消している。「マスタング」にいたっては70.1%増の9997台となり、2007年以来の高水準を示した。リンカーンは6.0%増の8636台となり、5ヵ月連続で増加。7年ぶりの高水準を打ち立てた。
フィアット・クライスラー・オートモビルは1.7%増の20 万1672台となり、市場予想の1.2%減を軽々と抜き去った。年初来で20万台を上回ったのは、2回目。前年比プラスは65ヵ月連続で、単月ベースでは2002年以来で最高を達成している。5大ブランド別では、7ヵ月連続で3ブランドが前年比プラスに。ジープが18%増の8万804台と、6ヵ月連続で単月ベースにて史上最高を更新した。ラムは6%増の4万2386台となり、単月では2005年以来で最高を達成。フィアットは1%増の3388台と、7ヵ月ぶりに増加した。一方で、ドッジは15%減の4万2386台と7ヵ月連続でマイナス。クライスラーは14%減と減少に転じ2万5580台だった。
日本車では、トヨタが8.8%減の22万4381台で市場予想である12%減ほどの悪化を回避した。ブランド別では、トヨタが10.5%減の19万894台。SUVの「ハイランダー」が16%増と支えた一方、「カムリ」などセダンが減少していた。レクサスは2.1%増の3万3487台となり、増加トレンドを維持した。
ホンダは6.9%減の15万5491台となり、市場予想の6%減より弱い結果となった。ブランド別では、ホンダが7.5%減の14万178台となった。「CR-V」が2.0%増の3万4771台、「オデッセイ」も11.6%増の1万3423台となった一方、セダンの「アコード」が19.9%減に4万931台だったほか小型車「フィット」に至っては52.1%減の2901台と押し下げた。アキュラは1.1%減の1万5313台で、5ヵ月ぶりに減少した。
日産は0.8%減の13万3531台となり、市場予想の3.9%減より下げ幅を縮めた。ブランド別では日産が2.0%減の12万2716台で、前月から減少に反転。SUV・トラック部門の「ローグ」が単月で最高だった一方、セダンや小型車が減少している。インフィニティは16.1%増の1万635台で、前月に続き2桁増を記録した。
その他の海外メーカーではアウディを除くVWが8.1%減の3万2332台と、4ヵ月ぶりに減少へ転じた。ヒュンダイ・キアは5.0%増の13万1909台となる。
高級車部門別ランキングは、以下の通り(%は全て前年比)。今回はレクサスが7月に続きトップに君臨したほか、キャデラックがアキュラを抜き去り7位から6位へ浮上した。
1位 レクサス
2.1%増の3万3487台、前月と合わせランキングを制覇。1−8月期では11.7%増22万2151台。2011年まで11年間連続で首位を飾っていた。
2位 メルセデス・ベンツ
5.8%増の3万633台、1—2月、4—5月まで首位を維持していたものの、3月、6月、7月、8月に続き2位に甘んじた。1−8月期では7.8%増の23万8074台で王座を死守。2013年は1位だったが、2014年ではBMWに1位を明け渡していた。
3位 BMW
2.0%増の2万7744台、3月、6月は2回目の首位を奪取したが7月に続き3位と後塵を拝した。1−8月期では5.9%増の22万3348台となり、メルセデス・ベンツを追撃する状況で変わらず。2014年では1位、2013年は2位だった。
4位 ビュイック(GM)
0.6%増の2万2281台、前月と変わらずアウディの上に立つ。1−8月期では2.6%減の14万9386台。
5位 アウディ(VW)
9.9%増の1万8794台、前月と横ばい。1−8月期では12.1%増の13万63台。
6位 キャデラック
14.1%減の1万5738台、前月の7位からアキュラを交わし6位へ浮上。1−8月期では2.8%減の11万791台。
7位 アキュラ
1.1%減の1万635台、前月の6位から転落。1−8月期では10.8%増の11万7315台。
8位 インフィニティ
16.1%増の1万635台、前月と同じく8位。1−8月期で10.8%増の11万7315台。
8月版:自動車メーカー別のシェアの1位はGMで2位はフォード、3位にトヨタで変わらず。
(出所:Good Car Bad Car)
8月版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前年同月比)
1位 アコード(ホンダ)19.9%減の4万931台、前月は2位
2位 カムリ(トヨタ)14.6%減の3万7592台、前月は1位
3位 アルティマ(日産)0.5%増の3万2327台、前月も3位
4位 シビック(ホンダ)5.9%減の3万2031台、前月も4位
5位 カローラ(トヨタ)4.1%減の3万1726台、前月も5位
6位 フュージョン(フォード)4.0%減の2万8270台、前月も6位
7位 エラントラ(ヒュンダイ)1.9%減の2万2405台、前月は8位
8位 ソナタ(ヒュンダイ)3.4%増の2万1818台、前月は7位
9位 シボレー・マリブ(シボレー・GM)7.4%増の1万7553台、前月は12位
10位 キア・ソウル(キア)13.5%増の1万7108台、前月は14位
8月SUV版:新車販売台数、ブランド別ランキング(%は前月比)
1位 CR−V(ホンダ)2.0%増の3万4771台、前月も1位
2位 Rav 4(トヨタ)14.3%減の3万534台、前月は3位
3位 エスケープ(フォード)0.4%減の2万8870台、前月は2位
4位 ローグ(日産)29.2%増の2万7665台、前月も4位
5位 エクィノックス(シボレー)17.9%増の2万5211台、前月は6位
6位 エクスプローラー(フォード)22.1%増の2万3671台、前月は5位
7位 ジープ・チェロキー(フィアット・クライスラー)2.9%増の1万8763台、前月は8位
8位 ジープ・ラングラー(フィアット・クライスラー)1.0%増の1万8160台、前月も7位
9位 フォレスター(スバル)6.9%増の1万7565台、前月は10位
10位 ジープ・グランドチェロキー(フィアット・クライスラー)6.9%増の1万7565台、前月は9位
(カバー写真:Fiat Chrysler)
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