Softer ADP Payrolls Report Could Unwind September Lift-Off Outlook.
米8月ADP全国雇用者数は前月比19.0万人増となり、市場予想の20.0万人増を下回った。前月の17.7万人増(18.5万人増から下方修正)を超えつつ、2ヵ月続けて20万人の大台を割り込んでいる。ただ、2010年2月以来の増加トレンドは維持。なおADP全国雇用者数は民間のみであり、政府を含まない。
ADP全国雇用者数、年初来で20万人乗せは3回のみ。
(出所:ADP)
内訳は、以下の通り。
▽企業規模別
中小企業 15.1万人増、増加トレンドを維持>前月は12.4万人増
大企業 4.0万人増、9ヵ月連続で増加<前月は5.3万人増
▽業種別
サービス業 17.3万人増>前月は17.0万人増
(米7月ISM非製造業景況指数の雇用は前月の55.7から59.6と少なくとも年初来で最高、8月分は3日公表)
・専門/ビジネス・サービス(派遣を含む) 2.9万人増>前月は2.6万人増
・貿易/輸送/公益 2.8万人増<前月は3.4万人増
・金融 1.3万人増>前月は1.0万人増
財生産業 1.7万人増>前月は0.7万人増
(米8月ISM製造業景況指数の雇用は前月の52.7から、51.2へ低下)
・製造業 0.7万人増>前月は0.1万人増
・建設 1.7万人増>前月は1.5万人増
ADPとともに統計を担当するムーディーズ・アナリティクスのマーク・ザンディ主席エコノミストは、結果を受けて「足元の金融市場の混乱は、未だ労働市場を鈍化させていない」と振り返った。雇用の伸びは「エネルギー産業を除き、安定的で広範にわたる」と指摘。ただ「大企業は中小企業より、雇用に慎重」と付け加えた。ADPのカルロス・ロドリゲス最高経営責任者(CEO)は「前月から小幅に改善し、年初来の平均値と整合的」とまとめた。
JPモルガンのダニエル・シルバー米エコノミストは、結果を受け「米8月雇用統計・非農業部門就労者数(NFP)の民間就労者数におけるコンセンサス20.5万人増、当社予想19.5万人増を下回った」と指摘した。ADP全国雇用者数と米雇用統計・NFP速報値の間にかい離が大きいとのコメントを寄せつつ、「米8月雇用統計・NFPの予想を20.0万人増」で維持。ブルームバーグでの米8月雇用統計・NFP予想は、22.3万人増となる。シルバー氏は「過去8年にわたり、8月の雇用統計・NFP速報値が予想以下にとどまっていた」と説くだけに、コンセンサス以下なのだろう。
——米8月ADP全国雇用者数は20万人割れで、米8月雇用統計・NFPが上振れしない可能性が浮上しました。9月利上げ観測を後退させる内容とあって、マーケットは歓迎モード。NY時間午前10時の段階で、ダウは170ドル高を達成しています。S&P500も序盤の段階で、調整入りから脱却しました。
(カバー写真 : Steven Shingler/Flickr)
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