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米7月貿易収支、輸出が回復し5ヵ月ぶり低水準

by • September 3, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1701

July Trade Deficit Decreases, As Export Rebounds.

米7月貿易収支は418.63億ドルの赤字となり、市場予想の430億ドルより赤字幅を拡大させた。6月の452.05億ドル(438.39億ドルから修正)を7.4%下回る。5ヵ月ぶりの水準へ縮小した。

ドル高が再燃したものの、自動車部門の輸出が増加し赤字を縮小させた。輸入も減少し、改善に寄与。内訳をみると、輸出が前月比0.4%増の1884.99億ドルと3ヵ月ぶりに増加している。輸入は1.1%減の2303.62億ドルと減少に転じた。

国内総生産(GDP)の算出に使用されるインフレを除いた実質ベースのモノの赤字は、562.08億ドルだった。6月の589.83億ドルから減少している。なお2014年の貿易赤字は5050億ドルとなり、2009年以来の水準まで改善した2013年の4715億ドルから増加していた。

米7月貿易収支、3ヵ月平均は縮小トレンド。

trade balance
(出所:Census)

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受けて「自動車以外の消費財や食品・飲料の輸入が減少し赤字縮小につながった」とコメント。輸出が増加した恩恵もあり、米7−9月期GDP予想を「2.3%増か2.4%増」へ上方修正している。一方で4−6月期は「過去2ヵ月分の修正が互いを相殺し合い、米4−6月期GDP確報値の予想を改定値に並ぶ3.7%」で据え置いた。

以下は、米7月貿易収支の輸出および輸入の内訳と各国ごとの貿易収支動向。

輸出の内訳をみると、モノは前月比0.2%減と前月の1.2%減と合わせ3ヵ月連続で減少した。消費財が落ち込んだものの、自動車が大幅増だったほか食品・飲料をはじめ産業材、資本財などがそろって増加している。

(増加項目)
・自動車 4.7%増、前月の0.3%増と合わせ5ヵ月連続で増加
・食品/飲料 1.7%増、前月の4.0%減から増加に反転
・産業財 0.8%増、前月の1.8%減から増加に反転
・資本財 0.4%増、前月の1.7%減を上回り3ヵ月ぶりに増加
・サービス 0.3%増、前月の0.2%増と合わせ3ヵ月連続で増加

(減少項目)
・消費財 2.5%減、前月の5.0%増から減少に反転

輸入の内訳をみると、モノが1.4%減となり前月の1.3%増から減少に反転した。ドル高局面ながら、西海岸の港湾労働者ストライキの影響を被った事情もあり過去5ヵ月間で3回目の減少を示す。原油を除いた場合は1.4%減と前月の0.5%増からあらためて減少に転じた。

(増加項目)
・自動車 1.1%増、前月0.8%増に続き3ヵ月連続で増加
・産業財 0.9%増、前月の2.9%増に続き2ヵ月連続で増加
・資本財 0.5%増、前月の2.6%減を上回り4ヵ月ぶりに増加

(減少項目)
・食品/飲料 5.3%減、前月の6.1%増から減少に反転
・消費財 5.2%減、前月の3.2%増から減少に反転

国別での貿易赤字動向をみると、最も赤字が大きくドル・ペッグ制を採用する中国への赤字は前月比0.4%増の315.77億ドルと3ヵ月連続で拡大した。日本は反対に、8.3%増の56.60億ドル。それぞれ、西海岸の港湾ストの影響が減退した様子を示す。ユーロ安を追い風に、欧州への赤字額は5.0%増の170.78億ドルと2ヵ月連続で増加した。主な原油輸出国への赤字は、原油先物の下落もあって軒並み縮小。カナダは18.2%減の19.75億ドル、メキシコは44.3%減の34.03億ドルとなり4ヵ月ぶりに減少している。石油輸出国(OPEC)は、61.7%減の1億4600万ドルだった。

——米7月貿易赤字は中国の景気減速不安を打破し、輸出の増加を確認しました。国際通貨基金(IMF)の推計では、世界経済に占めるエマージング国の存在感は増すばかり。今後、貿易赤字が縮小したとしても輸出が伸び悩み輸入が減少してこないか注意が必要です。

(カバー写真:Johan Wieland/Reuters)

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