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米9月PPI、モノ・サービスそろって下振れし8ヵ月ぶり低水準

by • October 15, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1850

Producer Prices Index Posts Biggest Decline In 8 months.

米9月生産者物価指数(PPI)は前月比0.5%低下し、市場予想の0.2%の低下より弱含んだ。前月の横ばいからマイナスに転じ、年初来から4回目の低下に。下げ幅は、1月(0.7%)に次いで2番目の大きさとなる。コアPPIは0.3%低下し、市場予想の0.1%の上昇に反しマイナスに転落。前月の0.1%の上昇にも届かず、7カ月ぶりに低下に転じた。PPIは前年同月比では7~8月こそ0.8%低下だったものの、今回は1.1%へ下げ幅を拡大。8ヵ月連続でマイナスをたどり、2010年秋以来で最大の落ち込みを示した4月以来の低迷を示す。コアPPIは0.8%上昇し、市場予想の1.2%および前月の0.9%から鈍化した。5月の水準に並ぶ。

内訳をみると、全体の6割を超えるサービスが前月に続き0.4%低下し、4ヵ月ぶりにマイナスに陥った。サービスのうち3割を占める貿易は0.4%低下し、5ヵ月ぶりに落ち込んでいる。サービスのうち6割を占めるその他サービスは0.3%低下し、4ヵ月ぶりにマイナス圏へ沈んだ。1割弱を占める輸送・倉庫も前月に続き0.7%低下した。食品は0.8%低下し、前月の0.3%の上昇から反転。鳥インフルエンザの蔓延の反動で卵が大きく低下したほか牛肉が弱く、食品を押し下げている。モノは1.2%低下し、前月の0.6%から下げ幅を拡大した。3カ月連続でマイナス圏へ沈んだ。原油安を背景にエネルギーが5.9%低下し、3ヵ月連続でマイナスに陥った。

BNPパリバのローラ・ロスナー米エコノミストは、結果を受け「モノとサービスそろって落ち込んだが、モノは全体の低下のうち3分の2を占め16.6%はガソリンが担った」と振り返る。食品の弱さも、押し下げ要因と指摘。さらに「サービスが前月比で0.4%低下したのは、驚きだった」としつつ、株式市場のボラティリティ上昇により「株式仲介・取引・投資助言の手数料が前月比で4.3%落ち込んだ」ことが背景と説く。従って「米9月消費者物価指数に波及するとは、考えていない」ものの、前月比のヘッドラインで0.1%の低下、コアCPIで0.1%程度の上昇を見込む。

米株安で売買手控えの顧客を取り戻すため、ブローカーなど手数料値下げにいそしむ。
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(出所:Buzzlamp)

——米9月PPIは、8月に続き米9月輸入物価指数と一線を画しディスインフレ環境への懸 念を煽る内容でした。ドル高および原油安の影響を被ったモノだけでなくサービスにまで波及し、9月米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でインフレへの警戒度を強めた必要性が浮かび上がります。

ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙は14日、Fed番のジョン・ヒルゼンラス記者とアナ・ルイ・サスマン記者の署名による「Fed、年内利上げに疑問符(Fed Doubts Grow on 2015 Rate Hike)」と題した記事で、一連の米経済指標を受けFOMC参加者の間で経済見通しに懐疑の念が強まりつつあると指摘。米9月雇用統計も失望を誘うなか米8月貿易収支でも輸出が減少し、9月FOMC議事録では海外景気の減速を据え置き要因に挙げていました。すでに2人のFRB理事(ブレイナード理事、タルーロ理事)が年内の利上げ開始を見送るべきと主張しており、利上げ開始に明確な経済指標の改善が必要とも伝えます。12月FOMCでの利上げ織り込み度は14日時点で27%と米9月雇用統計発表以前の40%近くから大きく低する状況。年内利上げ観測は、米9月小売売上高と合わせ秋本番にしぼみつつあります。9月のタイミングを逃した後、動きづらくなってきました。

(カバー写真:Thomas Heyman/Flickr)

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