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エンパイアとフィリー、10月もそろって分岐点割れ

by • October 17, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off2309

Empire And Philly Manufacturing Activity Continue To Contract.

米10月NY連銀製造業景況指数(エンパイア)はマイナス11.36となり、市場予想のマイナス8.00を下回った。金融危機の衝撃が冷めやらぬ2009年8月以来の水準へ沈んだ8月のマイナス14.92からは、改善基調をたどる。項目別では在庫と平均労働時間が改善した程度で、新規受注をはじめ出荷、雇用などはそろって弱含んだ。なお10月公表分のベージュブックではドル高、世界景気動向、中国に加え米連邦政府の閉鎖やシリア問題が指摘されていた。

項目別動向は、以下の通り。
・新規受注 マイナス18.91、2010年11月以来で最低<前月は12.91
・出荷 マイナス13.61、3カ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス7.98
・在庫 マイナス7.55、3カ月連続で分岐点割れ>前月はマイナス18.56、2013年12月以来で最低

・雇用 マイナス8.49、2009年8月以来の分岐点割れ<前月はマイナス6.19
・平均労働時間 マイナス7.55>前月はマイナス10.31、2014年12月以来の低水準

・仕入れ価格 0.94、2009年6月以来の分岐点割れ接近<前月は4.12
・販売価格 マイナス8.49、2009年12月以来の低水準<前月はマイナス5.15

・入荷時間 マイナス8.49、2009年12月以来の低水準<前月はマイナス6.19
・受注残 マイナス15.09、2011年7月以来のマイナス基調を維持<前月はマイナス8.25

前月からマイナス幅を縮めたとはいえ、2009年以来の下げ幅で変わらず。
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(出所:Federal Reserve Bank Of New York)

6ヵ月先見通し指数は23.36となり、2013年1月以来の水準へ沈んだ前月の23.21から若干改善した。内訳をみると新規受注(24.00>前月は23.89)、雇用(10.38>前月は7.22)、平均労働時間(0.94>前月はマイナス9.28)、在庫(マイナス6.60>前月はマイナス9.28)、設備投資(12.64>前月は11.34)、販売価格(7.55>前月は7.22)などが上昇。入荷時間もマイナス幅を縮小している。一方で出荷(24.63<前月は25.30)、仕入れ価格(27.36<前月は28.87)、受注残(1.89<前月は2.06)のみ、前月を上回った。

▽米10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数、2ヵ月連続で分岐点割れ

米10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数(フィリー)はマイナス4.5となり、市場予想のマイナス2.0より弱い結果となった。前月のマイナス6.0に続き分岐点を割り込み、2か月連続でのマイナス圏は2012年夏以来初めて。エンパイアと足並みを揃え、製造業活動の不振を伝えた。

主要な項目の内訳は、以下の通り。エンパイアと同じく新規受注や出荷が前月を下回り、そろって分岐点割れに陥った。雇用も、3カ月ぶりにマイナス圏に突入。販売価格が大幅に改善する程度だった。

・新規受注 マイナス10.6、2013年5月以来の分岐点割れ<前月は9.4
・出荷 マイナス6.1、5ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は14.8
・在庫 マイナス17.4、2013年4月以来で最低<前月はマイナス2.7、

・雇用 マイナス1.7、3カ月ぶりに分岐点割れ<前月は10.2、5ヵ月ぶり高水準
・週当たり平均労働時間 マイナス7.3、5ヵ月ぶりに分岐点割れ<前月は7.0

・受注残 マイナス11.7、4カ月連続で分岐点割れ<前月はマイナス6.6
・入荷時間 マイナス1.2、3カ月ぶり低水準>前月は0.5、5ヵ月ぶりに分岐点乗せ

・仕入れ価格 マイナス0.1、5カ月ぶりに分岐点割れ<前月は0.5
・販売価格 1.3、3ヵ月ぶりに分岐点乗せ>前月はマイナス5.0

6ヵ月先見通し指数は、36.7。前月の44.0を下回り、5カ月ぶりの水準へ落ち込んだ。項目別をみると、主要項目を中心にそろって弱含んでいる。新規受注(38.9<前月は46.4)、出荷(37.1<前月は41.4)、雇用(14.0<前月は17.9)、平均労働時間(0.5<前月は5.0)、設備投資(7.2<前月は27.2)、在庫(マイナス5.1<前月は3.9)、仕入れ価格(17.0<前月は29.2)、入荷時間(マイナス4.2<前月は2.2)、受注残(8.1<前月は12.4)など、こぞって下振れした。

現況(オレンジ)、見通し(グレー)はそろって不振。
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(出所:Federal Reserve Bank Of Philadelphia)

今回の特別質問項目は、稼働率の動向について。現時点の稼働率で最も多い回答は「60-70%」で27.1%、次いで「70-80%」が25.7%、3位は「80-90%」で20.0%だった。一方で前年同期は1位が「70-80%」が38.7%で、2位も「80-90%」で35.7%。足元の動向は、前年同期から大きく水をあけられていた。

設備投資は、拡大するとの最も回答が多かった項目は「非コンピューター機器」で34.8、次いで「ソフトウェア」が31.9%、「コンピューター・ハードウェア」は20.3%だった。

バークレイズのジェシー・ヒューウィッツ米エコノミストは、結果を受け「主要項目が2012年9月以来で最低をつけた」と振り返る。その上で「フィリーをISM製造業景況指数に換算すると今回は前月の51.0から分岐点を割り込み、44.7」と分析。エンパイアと合わせ製造業活動には、ダウンサイド・リスクが強まりつつあると結んだ。

(カバー写真:Maryland GovPics/Flickr)

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