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米9月鉱工業生産、製造業景況指数と歩調合わせマイナス基調へ戻す

by • October 19, 2015 • Finance, Latest NewsComments Off1550

Industrial Production Continued To Struggle, Along With Manufacturing Index.

米9月鉱工業生産指数は前月比0.2%低下し、市場予想と一致した。前月の0.1%の低下(0.4%の低下から上方修正)以下となる。2014年11月以来の高水準だった7月、横ばいだった6月を除き年初来からのマイナス基調をたどった。稼働率は77.5%と、市場予想の77.3%を上回った。前月の77.8%(77.6%から上方修正)には届かず、リセッション前の80%回復には距離を残した。

稼働率(グレーが全体、赤が製造業)は、金融危機以前へなかなか戻りません。
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(出所:FRB)

内訳をみると、製造業が2ヵ月連続でマイナスに陥った。新車販売台数が好調だったように自動車が増加に転じたものの、自動車を除いた場合は0.1%減に。4ヵ月ぶりの減少を迎えた。機械が2ヵ月連続で増加したものの、コンピューター・電気製品は4ヵ月ぶりに減少していた。鋼業も4ヵ月ぶりに減少に反転。公益は、温暖な気候を背景に冷房需要が高まり2ヵ月連続で上昇した。

・製造業 0.1%の低下>前月は0.4%の低下
・自動車 0.2%の上昇>前月は5.4%の低下
・コンピューター/電気製品 0.2%の低下<前月は0.2%の上昇
・機械 1.6%の上昇<前月は1.0%の低下

・公益 1.3%の上昇=前月は1.3%の上昇
・電力 2.0%の上昇>前月は1.3%の上昇
・天然ガス 3.8%の低下<前月は1.2%の上昇
・鋼業 2.0%の低下<前月は±0%

モルガン・スタンレーのテッド・ウィーズマン米エコノミストは、結果を受け「製造業の下げ幅は米9月雇用統計が示唆するより小幅にとどまった」と指摘。今回は「機械のほか化学、食品、航空機の強含みを、繊維をはじめ組み立て金属、コンピューター・電気製品、紙、石油精製品、プラスチック、木材が押し下げた」と説明する。ただし製造業の稼働率は「前月から0.2%ポイント低下の75.9%となっただけでなく、長期平均を2.6%ポイント下回った」。Fedは製造業の稼働率につき年率で0.9%増程度を予想するものの、「低いハードルながらここを超えるには一段の改善が必要」とまとめた。

——米10月NY連銀製造業景況指数および米10月フィラデルフィア連銀製造業景況指数がそれぞれ2ヵ月連続で分岐点割れを示すなか、米9月鉱工業生産も振るいません。ドル高、世界景気の鈍化の二重苦が圧し掛かっていること必至。冬場に公益部門が支える期待が強まる半面、厳冬で積雪に見舞われれば製造業の操業に悪影響を与えかねず明るい兆候は見当たらないというのが実情でしょう。

(カバー写真:Thomas Berg/Flickr)

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